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第14話…沈む

図書館の中は想像以上に暗かった。

しかしすでに俺は暗がりで完全に光に対して鈍感になっていたので前が見えないということはなかった。

とりあえず俺はこの街の略歴が分かる本を探した。

この街に昔何かあったのなら、あの怪物たちの正体も、灯の事について分かると思った…、

俺は歴史書のコーナーから手頃な厚さの略歴書を手にとり、椅子に座る。


本によれば江戸時代後期にこの街は始まる…、

特に変わったこともなく街は栄え、人々は平穏に暮らしていたと…、

…お、これは…?

ほお…、あの鐘はオランダからプレゼントされたのか…、でも特にこのあと変わったことはまるでないのか…。

…ふぅ…何も変わったこともなしか…。

俺は半ば諦めて最後のページを開いた…。

「…ん?」


「ごあいさつ、

今まで皆様のお陰で栄えてきていた水音街でございますが、来年2月を持ちまして、この街はダム施設となります。

いままで何卒ありがとうございました。」

…何…?

…あっ…、そうだこの街は俺が生まれたにダムに沈んだんだ!

子供のころテレビで見て驚いた記憶が蘇った…。…しかしそうだとしたらこの街はダムの底のはずだ、

となるとここはやはり霊界か何かなのだろうか…、

俺はもう意味が分からなかった…。

どういうことなんだ?

それがまったくわからず頭を掻いていらだった。

俺はとりあえずという感じで本を元に戻す。

何も分からず、むしろ混乱してしまった俺は外へ出ようとよろよろと歩き出した…、

その時一つの本に目がいった…。


「清水嘉治監修、マインドコントロールについて」


マインドコントロール?

いわゆる脳を支配することだろうか…?

俺は今までそんなことに興味は無かったが、何か無性にその本に手掛かりがある気がしてならなかった。

俺はその本を開く…、


「ここで言うマインドコントロールとは、今の人類が言う科学的な物とは根本的に違う。

もっと非科学的で神秘的な物だ。

すなわち簡単にいってしまうと催眠術の部類であるのだ。

催眠術のように不思議な力で人を支配する。

私の言うマインドコントロールとはそういうものである。

私がその催眠術に使う道具はずばり音である。

例えば人間は悲しい旋律を聞けば悲しくなり、不協和音を聞けば恐怖を感じる。はたまた素晴らしいメロディーは人の心を癒すことまでできる。いわば音の力で人をコントロールするのだ。

人の声でも同じことができる。

不味いものを食した時、もし周りが旨い旨いと言っていれば、何となく美味に感じたりはしないだろうか?

それも一つのマインドコントロール、洗脳である。

私の研究はこれらの音によるマインドコントロールを実用化することだ…」


…んん…、やはりよく分からない…。

しかしまさかとは思うが、一つの仮説が浮かんだ。

もしあの怪物たちが鐘の音にマインドコントロールされていたとしたら…。

俺はさっきの略歴書を見直した…、

…やはりだ…、

あの鐘は人々の生活に密着していた…。

時を報せる鐘であり、緊急の事態の時も鳴らされていた…、

そして俺の誕生日までその鐘は使われ続けていた…。






俺はすぐさま病院へ向かおうとした。

そういった人体科学の様なもの、病院なら少しくらい手掛かりがあるだろうと考えた、

俺は直ぐに走り出した、のだが…、

またしてもそこで鐘がなった…、

禍々しい音をたてて…。







コーン…コーン…、

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