第1話…鳴りし鐘
ホラー表現があります、 苦手な方はご注意下さい、あと、感想等いただいても返事出来ないかも知れませんが、いただけたらものすごく感謝いたします
鐘の音が鳴る…
静かすぎる街に…
そうだ…
あの…忌々しい鐘の音が…
平凡に過ごしていた…
とても平凡に…
飽き飽きするような毎日を少し恨みながらだが、それはそれで悪くないものだと気付いていた…
だってそうだろう?
テレビから流れるシリアスなニュース、
あの世界に比べたら俺の人生はどれだけ幸せか…
そう、幸せだったのだ、
その時までは…。
「なぁ灯…?」夕食の時、俺は妹である灯に声をかけた、
「…何?」
その声は明らかに気分の優れた声では無かった…
しかし、もうすでにそれはいつものことだった…
「大丈夫か?」
これといった意味はない、ただ、最初に妹の様子がおかしくなったときから、毎日聞いているので、習慣になってしまっているのだ、
「…うん」
いつもと同じ返事、
「なら良い…」
いつもと同じ言葉…
理由も解らないまま根暗になってしまった妹と毎日を過ごす…
それもまた、悪いことでは無かったのだろう…
翌日に起こる、
「悪夢」に比べれば…。
灯はなぜ、こうなってしまったのだろう…?
絶食症というわけでも、急性パニック症候群というわけでもなく、ただとにかく根暗になってしまった…
彼女の高校に連絡をし、いじめが無いかを調べたが、むしろ友人たちは彼女を気にかけてくれていたし、
精神科につれていっても、原因は不明だった…
灯、お前はいったい何を考えているんだ…
怯えているのか?
怒っているのか?
悲しみにくれているのか?俺はいったいお前に何をしてやれる?
守ってやれるのだろうか?
すまない…
情けない兄貴で…