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恋する不幸

作者: ボケ封じ
掲載日:2016/05/12

短編て難しいね……。

 高校3年の春が来た。

 都内の普通の私立学校に通って2年、私はまた恋をしてしまった。


 始まりは小学4年生の時。初恋だった。

 クラスでもそんなに目立つ男の子ではなく、どのクラスにも普通にいるそんな男の子。

 他の子と違ったのはやけに私に優しかった事。

 そんな二人が付き合おうとするのは普通の事だ。

 どちらともなく仲良くなり、小学生ながらにデートに行ったりもした。大体がゲームセンターやお買い物だったけど、5年生に上がるときの春休みに1度だけ遠出をして、横浜の水族館に行った。

 そこで初めて男の子から告白された。嬉しかったのを覚えてる。

 でも、次の日彼は急に九州に転校することが決まった。


 次の恋は中学1年生の時、バスケ部の体験入部で当時2年生だった先輩に一目惚れした。

 2年でレギュラーだった先輩は他の女の子にもモテていたけど、3ヶ月経った夏休み前に、いつも通り先輩を見ながら部活をこなした私が、中庭で水を飲んでいたときに先輩がやって来た。

 当時の私は好きな人が目の前にいることに耐えられなくて、水を飲んで直ぐにその場を離れようとした。

 すると先輩から声を描けてくれた。

 いつも練習熱心で、僕と一緒で遅くまで残って練習してたり凄いよ、って事を言われた。けど、それは少しでも長く先輩を見ていたかったからだけなのだ。確かにバスケは楽しいけど、私はなかなか上達しなかった。でも、先輩はそんな私に折角だから出来れば一緒に練習しないかと誘ってくれた。

 私は二つ返事でお願いしますと逆に頼んでいた。

 部活の時間が終わり、下校した後にも一緒に公園や区の体育館で練習し出して、2人の距離が近付いた。

 2年生に上がるときの春休みの最後の日に先輩に告白された。

 嬉しすぎて泣きながらOKをした。

 でも、翌日の始業式の日、先輩は学校に来なかった。

 どうしたのかと顧問の先生に聞くと、朝に倒れて病院に運ばれたという。

 それから1週間毎日見舞いに行ったが、先輩は愛知県の病院に転院することになった。

 後から知ったが白血病だった。


 しばらく恋するのが怖くなった。好きになった人とのお別れが辛すぎて……。


 中学3年生の時に恋をしてしまった。

 二学期の終わりまでずっと隣同士の席だった男の子。

 初恋の時と同じ、どちらともなく仲良くなって、時期的なこともあってよく一緒に高校の受験勉強をした。

 私よりも賢くて、解らないところを自分の時間を削って私が解るまで教えてくれたりもした。

 受験が終わり、合格発表の日に告白された。

 私は普通科、彼は同じ学校の進学科だった。その日は、春からもまたずっと一緒だねと笑いあった。

 この日初めてのキスをした。

 頭がぼぉっとして、家に帰っても火照りは取れずに、これが幸せなのかなぁなどと考えていた。

 次の日、彼のお母さんから電話があった。彼の携帯のメモリを見たら私の名前とハートマークが付いていたかららしいが、そんなことよりも電話の内容は今も頭から離れない。

 2日後に彼のお葬式に行ったのは覚えている。

 私に告白をしてキスをしあったあの日、家に帰る途中に信号無視をして突っ込んできたトラックに巻き込まれたとかそんな事だったと思うがよく覚えていない。

 死んだ、というワードだけが頭に谺していた。


 この時に私は確信した。

 私に告白をした人には不幸が舞い降りる。

 回を重ねるごとに内容は酷くなってる気もする。

 

 春になると私は人に好かれては駄目なんだと改めて思うようになった。だからか、四季の中では春が一番嫌いだった。


 

 高校3年生の春。

 周りの皆が恋や部活、新しい進路のために頑張っている。

 あたしは、恋をしないように、されないように見立たず、地味に生活していた。

 ただただ勉学に励む3年間。そして来年には大学に行ってまた勉強をして、就職して……。


 屋上のフェンスから運動場を見下ろす。様々な部活が行われ皆が元気よく活動している。

 

 誰にも注目されずに生きているあたしはあの中には入れない。今となっては皆からは私は見えていない。居ても居なくても一緒。


 フェンスを登る。

 足が、全身が震える。

 生きたい。でも……生きていても……。


 急に誰かに抱き抱えられた。


 この春から同じクラスの男子、名前はまだ知らない。

 

 「気になって来てみれば何やってんだよ!」

 「え……」


 新学期早々から浮かない顔をしていた私が気になってつけてきたのだという。


 私は泣いていた。震えながら彼の腕の中で、ごめんなさいごめんなさいと言い続けながら。


 落ち着いて話をした。

 どうしてこんなにもすんなりと話ができるのかと思うぐらい、今まで溜め込んでいたモノを名前も知らない男子に吐き出した。


 彼は黙って最後まで話を聞いてくれた。


 「ありがとう。こんな話に付き合ってくれて。もう、私行くね」

 

 立ち上がり夕陽に染まる空を一瞬見上げてから歩こうとした。誰もを必要としない、誰もが必要としない空虚な私の世界に。


 不意に腕を掴まれた。

 彼は言う。


 「そんな話は嘘っぱちだね。誰も君のせいで不幸なことがあった訳じゃない。現に、俺はこうしてまた君の前に立っているよ。この春に」


 私は恋を思い出した。


 視界が色付くのを感じた。


 あぁ、桜の花はあんなにも綺麗なんだ。


 私は春が嫌いだった。


 でも


 私は春が好きだ。


  

いやいや、物語って難しく奥深く興味深いね。


こんな話ですが、楽しんで頂ければ最上です。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 青春を思い出しました。描写が綺麗で頭の中に制服を来た等身大の女の子が浮かびました。 [気になる点] 続きが読みたいのに終わりなとこ。余韻が良いんだけど。主人公が最後の彼と幸せになるところが…
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