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Scar-red Blues  作者: 瑠璃色カンタービレ
4/6

1章/傀儡は踊る -2-

大分日にちが空いてしまいましたぁ(T^T)

…さて、久しぶりの投稿です。

やっと戦闘パートに突入できました!

とりあえず、楽しんでくれたら嬉しいですヾ(o´∀`o)ノ

夜の住宅街を巳紗と歩く。

僕はいつ殺人鬼が出て来るのかと既に身構えているのだが、巳紗はそんな僕を後目しりめに、上機嫌に鼻歌を歌っている。

こんなヤツが魔法使いだと思うと、世間の考える魔法使いは実に滑稽だ。

魔女というのだから、黒いとんがり帽子やら魔法の杖やら持っているのかと思えば、巳紗の格好ファッションは、

ダメージの入った青のショートパンツに、

黒ベースの、白蛇の装飾が目を引くロングブーツ、

白地に向日葵ひまわり畑の絵が描かれたシャツと、

その上から赤のカーディガンである。

勿論もちろん帽子など被っているワケもなく、代わりにその朱く燃えるような髪を黄色のヘアゴムで結んでポニーテールにい、

左耳には蛇をかたどった金のピアスをかざっている。

魔法の杖の代わりは、如何いかにも高そうで、少しレトロな茶色のキャリーバッグ。おそらく革製だ。

巳紗が世界中を旅して集めてきた写真や切手等が張られていて、事あるごとに僕に旅の思い出を話してくれる。

そういう時の彼女は本当に楽しそうで、普通の女の子の様だ。

彼女が魔法使いの世界では知らぬ者がいない程の才能の持ち主などと、誰が信じるだろうか。

ちなみに、巳紗は仕事毎に服装スタイルを変えるため、この格好は今日だけのモノだ。

僕はといえば、学校帰りが多いためにほとんどが黒い制服。

装飾は無く、髪も染めず、あるのは護身用にと巳紗がくれたナイフ一本のみ。

全身黒一色なんて、これでは僕の方が魔法使いである。

ふと、前を歩いていた巳紗が歩みを止めた。

「どうした巳紗?」

巳紗はその問いには答えぬまま、民家のへいに手を触れ、

「 Secundum mana duce, qui a sua forma apparere diabolica melior(マナの導きに従い、魔性なる者よその姿を見せよ)」

聡明そうめい魔法の詠唱をした。

すると、巳紗の呼びかけに応えるかのように、人形が現れた。

「やっぱり…かなり丁寧に隠してあったけど、私の目は誤魔化せない。」

「フランス人形?何でこんな所に?」

「これは………魔導具まどうぐ?でもこれだけでは使い物にならない。少なくとも同じ物を五つは用意しないと。でも、一つ解った事がある。---魔法行使の道具があるということは、この人形の所有者は私の同業者。その意味が分かるよね?」

それは、つまり---

「巳紗と同じ魔法使い……。巳紗以外の魔法使いがいるのか?会ってみたいものだが……こいつが殺人鬼かもしれないな。殺人事件の被害者は普通の殺され方じゃあないだろう。あれは前に巳紗が話してくれた魂狩りじゃないか?」

「ええ。魂狩り----魔法使いが自らの魔力を高めるために行う、魂を抜き取り喰らう行為。外傷が無いという事は、魂狩りの標的にされた可能性が高いわね。犯人は魔法使いかも。だけど、これを作ったのは多分別の奴。事件現場を見てきたけど、魔法使いだとしても、設置型の魔法ではなく詠唱型の魔法を使っている。」

巳紗の話についていくため、何とか魔法の知識を引っ張り出す。

「ええと、設置型の魔法は強力だけど準備にも後始末にも時間が掛かる。短い時間ではどうしても痕跡が残るから暗殺には不向きだろう。対して詠唱型の魔法は、設置型には規模、威力共に劣るけど、代わりに扱い易さは圧倒的。暗殺ならこっちだな。…………合ってる?」

巳紗はコクと頷ずき、例えると、と指を立てた。

「設置型は大砲、詠唱型はピストルってところかな。設置型の魔法は魔導具の作成からして難しいから、設置型中心の魔法使いは詠唱型中心の魔法使いに比べて2割程度しかいないのよね。詠唱型と設置型両方を扱う人は更に少ないわ。そう考えるとこの人形は殺人鬼の物じゃない。」

確かにその通りだ。

「それなら、人形の持ち主はまともな人間かもな。」

「魔法使いなんて頭のおかしい奴ばかりよ。期待しない方がいい。」

「そうなのか?確かに巳紗は変な奴だけど」

巳紗はむぅと顔をしかめる。

「ちょっと、それはどういぅ----」

不意に巳紗が口を閉じ、眼前の闇にその金色の目を向ける。

常人の視力ではその先に何があるのかは判らない。

「巳紗、どうした?」

「----址故、集中!」

ゾクリ、と全身に緊張が走る。

暗闇の向こうに全神経を集中させる。

永遠とも思える静寂の後、カタカタとしきりに嫌な音を立てながら、不気味な市松人形が姿を現した。

等身大のソレは、小刻みに体を震わせながらこちらに迫ってくる。

「うっ…」

思わず後ずさりすると、それに反応してか、人形は物凄いスピードで近づいてきた。

あっと言う間に両手首を掴まれ、へいに押し付けられる。

「址故!!」

「こっのぉ!!」

必死で振り払おうとするが、逆に手首を締め上げられ、思わず苦しげな声が漏れる。

人形の口があり得ないくらい大きく開き、その白く鋭い物が見えた時、自分の無惨な姿が頭をぎった。

-----死ぬ。

それは無への収束。有機と無機の融合。無価値への下落。尊厳の消失。

イヤだ---------イヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイキるイキたい生きたい生きたい!!

でも、どうやって?どうしたらこの窮地から抜け出せる?抜け出せるか?

否、抜け出せない。僕には巳紗や夭仔さんの様な特別な力はない。僕は只の、何の取り柄も無い、人間。

この状況をただ受け入れる他、ない。

かくして僕の体は引き裂か-----

瞬間、目の前を何かが通り過ぎた。

それは魔法。

幻想を再現する神秘。

一切を焼き払う紅蓮の炎。

その美しい赤は、人形を一瞬にして灰へと変えた。

「っあ…ありが、とう」

極限状態で跳ね上がった鼓動を整えながら、巳紗に礼を言う。

巳紗は呆れたように溜息をつく。

「もう、集中しろって言ったじゃない。」

「ああ。ごめん巳紗。」

消し炭になった人形を見ると、今一度その威力に驚かされる。

「しかし、流石だな。基礎魔法でその火力とは。」

「当然。私を誰だと思ってんの?」

巳紗は得意気とくいげな顔をこちらに向ける。

…アルカトリアス・ミーシャエール。

その力は歴代の魔法使いと比べても一線を画している。

数ある魔法の中でも入門用と言われる幾つかの下位魔法は、基礎魔法と呼ばれ、単純な魔法構造と低下力で魔法使いの日常には欠かせないお手軽魔法となっている…らしい。

その反面、事象再現度の低いこれらの魔法は殺し合いには不向き、どころか使えたものではない。

しかし、巳紗の場合は例外だ。

彼女の持つ魔力構炉の規模は、常人の1000倍とまで言われており、巳紗曰く

「単純に魔力の生成量で競ったら、私に勝てる奴なんかいない」そうだ。

その為、彼女の魔法はたとえそれが基礎魔法だろうと絶大な威力を誇る。

巳紗は魔法使いの中でも、とびきりのデストロイヤーなのだ。

「今回も僕の出番は無さそうだな。」

そう言ってふと巳紗を見ると、その顔から少しばかり緊張の色がにじみ出ていた。

「どうでしょうね。ほら、お客様よ。」

巳紗の視線を追う。

建ち並ぶ家々。

その内の一軒に彼女はた。

黒を基調としたゴスロリ風の衣装を身に纏い、ウェーブのかかった金髪は夜風になびいている。

その姿はまるで、夜空に光る星の様だ。

女がゆっくりと口を開く。

あたしの友達、殺したな?」

殺意の込もった声と共に、空から無数の人形マリオネットが降り立った。

To be continued...

前半は説明ばかりになってしまいましたね…。

まだまだ説明し切れてませんが、テンポよく書いていけるように心がけたいものです。

さて、次回は!

遂に人形の主が登場!!

その目的とは!?二人はこの窮地を脱する事が出来るのか!?

といったところです笑

お楽しみに!!

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