シルバーラケット
俺の名は小太郎。バドミントンに命をかけた男。銀のラケットを咥えて生まれてきた。高校に入学してからは、名門有名塾北進ハイスクールに通い、エスパー十四郎先生に稽古をつけてもらい、修業し続けた。もう、バドミントンで俺に勝てる者など存在しないだろう。
そして、今朝。ついに魔球が完成し、それでコンクリートの壁を貫くことに成功した。早速試そうと、親友の岳を誘って体育館へ誘ってみた。しかし、あいつはだめだ。相手にならん。下手すぎる。そして、なにより問題なのが、下手なりに頑張ろうという気もないことだ。それより、となりのコートの。……そう、久地まゆこ。さほどうまくないが、頑張っていた。
おっと、そろそろ着くころだ。バスのボタンを押す。石原病院。ここにみゆきが入院している。みゆきがいるのは107号室。特等の個人部屋だ。
「みゆき。」
「小太郎。」
俺はベッドに倒れこむ。熱いキスをする。入院中、患者が着る服は決まっていて、みゆきもそれを着ていた。しかし、いつも下着は着用していなかった。みゆきの柔らかい胸が俺の手に吸いつく。下を絡ませるほどにその頂点が硬くなってゆくのを手のひらで感じた。みゆきは声にならない声を上げながら、俺の袖を力強くつかんだ。目を閉じているが、その眼球が動いていることがまぶたの上からでもわかった。俺は唇から首、鎖骨へと下を滑らせ、ついに胸へ到達した。しかし、すぐに頂点へは登らず、丸い胸を包み込むようにゆっくりと舐めていく。唾液たっぷりに俺の舌がみゆきの白い肌を走るたび、みゆきは少し体をそらし、唇をキュッと結んだ。その反応を楽しみながら、ようやく乳首を口で覆う。まだ覆っただけで、触れてすらいないが、息を当てるだけで、みゆきは小さく声を漏らした。
「気持ちいい?」
「もっと。」
乳首を舐める。舌の上で転がし、不規則に吸い上げると、いきり立ったそれは、さらに硬く、大きくなり、みゆきの声には息が混ざっていった。俺は全体重をベッドに預ける。しっとり汗をかいたみゆきの額は、どんなものにも代えがたい。みゆき、みゆき、みゆきみゆきみゆきみゆきみゆきみゆき。
みゆきはベッドの上の方に腰掛ける。
「さっき、エスパー十四郎先生がいらっしゃったわ。」
みゆきはうつむきながら言う。
「また何か。」
俺はみゆきの頭を撫でた。
「おまえは心配しなくていい。あなる。」
そして、まだ間にか言いたそうなみゆきの、その目を見つめて、一言。
「あなる。」
みゆきは泣きそうな目をしたが、それを背に俺は107号室を出た。病院の外に出ると、満点の星空。オリオン座がはっきりと見える。その左肩の二等星は掴めそうなほど近くに見えた。
「よかった。雨降んなくて。あなる。」
俺はお気に入りの黄色いバイクにまたがる。