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手紙 ※最終話

~数日後~

 相変わらずの一人暮らし。学校も変わったことはない。あんな非日常なことがあったのに、普通に宿題やってこなかったことを怒られた。歯を磨きながら、ポストを開ける。朝の光が心地よい。日曜の朝ほど気持ちの良い世界はないだろう。いつもポストの中身はよくわからん勧誘だけだが、今朝は違った。墨で「松木岳殿」と書かれた封筒。


 松木岳殿、お元気でしょうか。時が経つのは遅いようで早いですね。たった一晩の出来事でしたが、私にとって大きな一日でした。岳殿のことは忘れませんよ。


 純白之晋親分がお帰りになったときにはカオルの怪我も良くなっていて、親分曰く、

「ヤスとタクミの性癖以外は何もかわっていない。」

らしいです。

 まゆこは小太郎くんと交際すると決断しました。同時に、石原組と久地組の合併が決定です。新組、あなる組が成立しました。これで安泰です。

 ヤスは女装が癖になり、最近はモデル活動を開始しました。パリコレを目指すらしいです。

 カオルはUFOキャッチャーの腕にさらに磨きがかかり、ついにヤス用のドレスを取ってきました。

 タクミはトモヤと交際スタート。ワイシャツが何枚あっても足りません。

 デイは北進ハイスクールに通い始めました。伊勢原先生の「情報の授業」を受けるとか。

 巨城は石原病院の看護婦のおばさんにちゃんとした義足を作ってもらったようです。これで傾くことない人生がおくれると、喜んでおりました。

 ディドロは駅員として立派に成長。今は九対一で駅員です。

 エスパー十四郎は自らエスパー組という組を築き、一からやり直すと言っておりました。近々行われる組長会議で小太郎くんと対面することでしょう。

 みゆきさんですが、そのエスパーとめでたく結婚しました。もうすでにお腹に子供がいるようで、

「お父さんに似てバドミントンが強い男の子がいいです。」

と、話しておりました。

 結婚と言えば、川﨑さんと樋口さんが結婚しました。一緒に高橋工場とサーカスを守っていくらしいです。しかし、今でも樋口さんはたまに台所から妻が包丁を握ってにらんでくると怯えておりましたが……。

 塩沢警部は、これは岳殿の方がお詳しいかもしれませんが、院長が罪を償うのを全力でサポートするとはりきっていました。

 みかんは佐藤さんのリハビリ後、再結成しました。ナナジョとコラボツアーをやるそうです。

 そのナナジョはみゆきさんの出産後、もう一度メンバーに加え、活動するらしいです。みゆきさんは前脇田さんに対して

「第三倉庫のライブ後、自分たちのライブが完璧でなかったことがわかった。間違っていたのは自分かもしれない。」

と、お話したそうです。

 ジュリアンはあの後、自分だけでも利益を得ようと、剥製に手を出したようで、帰ると客間で倒れていました。それ以来、うちの雑用です。

 ケダマは主人のもとへ帰りました。元気にゴロゴロしています。


 あなる組は毎日、三つの墓に全員で線香を手向けております。岳殿は、直接に仏とかかわりはないでしょうが、まぁ、たまには墓参ってください。


 涙より、頬笑みがこぼれた。春も近くなり、爽やかな風が通り抜ける。そういえば、この手紙、誰からだろう。俺はくしゃみをしながら、ふと、思った。

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