ep1-6
おかしいな。広間まで来たけど兵士の姿がない
「フハハハハハ! よくぞここまで辿り着いたな! 」
広間の大階段の上段から1人の男がゆっくり降りてきた
「……エバンス」
ノアはあの男を知っている様子だ
「これはこれは、ノア・ウィンター殿。久しぶりですな」
仰々しく頭を下げるエバンスという男
金髪のイケメンなので殺す事にした
「とりあえずくたばれイケメン! 」
一瞬で距離を詰め側刀蹴りを放つ
「おっと。危ない」
「なっ」
反応しただけでも驚きだが、なんと攻撃を受け止められるとは思わなかった
「ふむ、なかなかの攻撃力。その不思議な格好に関係があるのかな? 」
とりあえず距離をとる
「なぁノア。あれは何者だ? 」
「……エバンス・レイ。若手の中だと一番元老院入りできる可能性がある男」
「ほほぉ。他に情報はあるか? 」
「……あいつは結界思術の天才。おそらく今も私達は奴の結界の中」
結界思術と言われてもわからんが、まぁとにかくヤバイ敵というわけか
「じゃあ今度は私の番だな」
エバンスが手に火球を出現させ、そのまま放ってきた
「こんなん当たるかよ! 」
そつなく避ける
「ふふ。私のテリトリーでは私が神なのだよ」
なんか痛いこと言ってるぞ
「おらくたばりあっつい!? 」
さっき避けたはずの火球が俺の背中にぶつかった
「……ノエル。あいつの結界の中ではあいつには勝てない」
「だろうな」
今だってほら。30人くらいに増えたし
「消えろ」×30
「あびゃああああっ!! 」
いてぇわ熱いわでもう最悪だ
「ほぉ。これを食らっても生きてるのか」
いつの間にか1人に戻ったエバンスが軽い驚きを見せた
「はっ! こんな火の玉なんかより肉まんの方がよっぽど熱いぜ! 」
うわこれ絶対火傷してるって。うわー。マジで熱すぎるだろあれ
「お前、どれだけ強がりなんだよ」
「おまっ! 心を読むなよ! 」
恥ずかしいじゃないか
「フハハハハハ!私の結界の中では私が神なのだよ! 」
「それさっき聞いた」
くっそー。こいつの結界ってのはどんな性能なんだよ。教えてくれよクソロンゲ野郎
「ふふ。なぜ自分の能力を相手に教えるのだ? 」
わかった。心を読めるんだな
「なぜ私の2つある能力の内の1つがわかった!? 」
そしてこいつは恐らくアホだ
「アホだと? 無礼な奴だ! 死ね! 」
「ふぎゃあああああああっ! 」
こんどは氷の塊をぶつけられた
「……ノエル……っ」ギリッ
心配そうに俺を見るノアに笑顔で手を振る
「……」
若干嬉しそうに手を振り返してくるノア
「何だお前等……まぁいい。ウィンター殿。覚悟」
ノアの方を向くエバンス
「!? おまっ! この場面でなんて事考えてるんだ! 」
「……」
「やばい! 度し難い痴女がいる! というか男なのかあいつ! 」
なんだ? 俺のことか?
「お前一日中無表情だと思ってたらこんなことばっか考えてたのか!? 」
待てよ……?
「……うむ」
「この変態めが! 」
これはチャンスなのでは?
「……変態ではない。一途」
「変態は皆そう言うのだ! 消えろ! 」
「お前がな! 」ズガァアアァアアアァァアアアン!
拳銃型の武器、アドヴァンス・ブラスター略してアドブラを撃つ
「しまっ! あげぼおおおおおおお!!! 」
ノアに完全に意識を向けていたエバンスは華麗に吹き飛んだ
どうやら心を読めるのは1人だけっぽいな
「ちっ。油断したか」
何事もなかったかのように立ち上がるエバンス
……まじかよ
「言っただろう? 私は神なんだ」
ちっ。今のでアドブラのエネルギーが切れた
「ノア。さっきから何してるんだ? 」
「……探し物」
こんな時にマイペースな奴だった




