ep1-5
ネーヴェック城に到着したのはいいが、門は想人兵士達によって固められていた
「よし。全員なぎ倒すか」
「……ラジャ」
武器を構える俺達
「いいか。いくらアドライバーとはいえ無敵じゃないからな。やばくなったら逃げるぞ」
実際さっきの戦いで多少の損害を受けてるしな
「……うん」
無表情で首を縦に振るノア
「さぁ。俺の家、返してもらうぜ」
~とある想人兵士~
最悪だ。この町にある元老院の支部が何者かによって破壊された
俺にとってはそんな事はどうだっていい。ただ、非番だったってのに緊急の呼び出しを食らい、こうして城壁の上で大砲を整備しているってのは大問題だ
まぁ、例えその支部をぶっ壊した奴等が来ようともこの俺の大砲捌きと思術でフルボッコだけどな
あー。まだ勤務3時間もあるじゃねーかよ
「なぁ、暇じゃね? 」
隣にいた奴に話しかける
「ああ。相手の規模が分からない以上油断はできないが、まさかこの城を落とそうとは考えないだろうしな」
そう、ここネーヴェック城は元王都の城だけあってまさに無敵要塞だ。ここを落とすには一国分の兵士が必要だろう
まぁ、相手が元老院クラスの思術使いだったら話は別だが。そんな奴はこんな反逆行為を起こさないだろう
「あーあ。今日はこのまま一杯飲んで寝るつもりだったんだがなぁ」
「待て、何か下が騒がしいぞ」
「あー? 」
隣の奴が双眼鏡で下を見ている
それに倣って俺も双眼鏡を覗き込む
「な、なんだよあれ」
双眼鏡が捉えた風景は信じられない物だった
2人の女が俺達の仲間をなぎ倒していっているのだ
「やばいやばい」
急いで大砲を準備する
「撃つぞ! 離れろ! 」
無線に言い放ち、発射する
ズガアアアアアアン!! 「ちょっいだあああああっ!!! 」
「当たったな。良い腕だ」
隣の奴が双眼鏡を覗きながら言う
「どれどれ」
俺も双眼鏡を覗き込む。1人の女が地面に倒れていた
「な、なぁ。直撃したんだよな」
「ああ。直撃だったぞ」
それなのになぜあの死体?は原型を留めているんだ?
「……ノエルを傷つけたな……っ」
!?
声のした方を振り向くとそこにはさっきの内の1人の女がいた
「と、飛んでる……? 」
その女は背中の羽をはためかせ、とてつもない憎悪を孕んだ視線で俺達を見下ろしていた
「……ふっとべ」
そのままその女が槍を俺達の足元に投げつけた
槍が城壁の床に突き刺さったと思うと俺は吹き飛んでいた
「……えええええええええっ!? ちょっ! どわあああああああっ! おかあああさああああん!! 」
何があったの?! っていうかあいつはなんだ!?
「ぐへっ! 」
地面に叩きつけられた俺
「こ、腰いてぇ」
正直あの高さでここまで落下したら死ぬだろうが、コメディに徹していたおかげで助かった
「やってられっか! 逃げる! 」
あんな化物に勝てるわけがない
「ん? 」
「え? 」
拳銃と剣を持ったやばそうな女と目があった
「ちっ! 先手必勝! 」
即座に思術を撃ち込む
「うおおおっ! 」
避けたか! ならばこれで!
「ぁバンス!!! 」
電撃の直撃を受けて吹き飛ぶ女。さすがに電撃は避けれまい
「いってぇ。まじでいてぇ。泣きそう」
「なんで余裕で立つんだよ! ふざけんな! 」
なんだこの理不尽な存在は
「うるせーよ! 不意打ちしてきたお前がふざけんなとか言うな! 」
そう言って拳銃を構える女
「拳銃の弾くらい余裕なんだよ! 」
思術による盾を展開する
「そんなのでいいのか? これは変身ヒーローの武器なんだぜ? 」
わけのわからない事を言って油断を誘っているのだろうが、その手には乗らない
「よし、じゃあ吹っ飛べ」ズガァアァァァアァアァアン!!
「えええええええええ!? メガ粒〇砲!? 」
拳銃から出たとは思えないビームが放たれた
「むぎゅううううううううっ!!! 」
吹き飛ばされて意識が無くなりつつ、俺は自分の口からでた可愛らしい悲鳴にときめいていた
~蒼井ノエル~
「あー。しんどい」
もう服とかボロボロだ
「……ノエル。平気? 」
ノアが舞い降りてきた
「多分、身体中に痣ができてる」
「……だ、大丈夫? 死ぬ? 」
オロオロするノア
「まだ死なない」
「……よかった」
まぁ変身してなかったら18回くらい死んでるけどね
「とりあえず外の奴等は全部片付けたな」
「……うん」
本当にすごいなアドライバー。これはもう世界いただいたな
「じゃ、さくっと中の奴等も片付けるぞ」
「……ラジャ」
城門を開けて中に入った




