ep2-3
んー。ん?
「いただきま」
「吸うな馬鹿野郎」
貧血で倒れた人間から更に血を吸おうとするとは……さすが吸血鬼。恐ろしい子
「痛いなっ! 」
「人の血を勝手に飲もうとするからだ」
「なんだよー。ちょっとくらいいいじゃんかよー」
「さっき貧血になるまで吸わせてやっただろうがよ」
「しししっ。そこをなんとかーねぇー」
「ええい。ウザい! 抱きついてくるな! 童貞なめてんのか! 」
好きになっちゃうだろ!
「しししっ。かーわーいーいー」
お、俺が寝ている間にこいつに何があったんだ。大分キャラが変わってるぞ
「あ、驚いてる? 僕も大分驚いてるんだー! しししっ」
「あの、とりあえずその“しししっ”ってやめてくれませんかね」
やけに響くんだよそれ
「そんなことより、お話するんだよね? 」
スルーされた……まぁいいや
「そうだ。なんでこんなことになったのかという説明と血を吸ったことに対する謝罪と世界征服に参加するという確約を要求する」
一息で言い切ってやった
「しししっ。まずは勝手に血を吸ってごめんね」
「うむ。許した」
「それで、なんで僕が女の子になっちゃったかって言うのはね。ヴァンパイアっていう生き物がちょっとめんどくさいからなんだよね」
「あー確かに」
こいつめんどくさそうだもんな
「そういう意味じゃないんだけど。まぁいいか。んでね、ヴァンパイアはね、18歳にね、なるとね、人間のね、血をね、吸わなきゃね、いけないんだけどね」
「ああもうめんどくせーな! なんでいちいち文節で切るんだよ! 国語の授業か!? 」
「しししっ。めんどくさい? 」
「うんっ! 」
「じゃーやめた。まぁそれで、ヴァンパイアは18歳で人間の血を吸わないと死んでしまうんだけど」
何そのハードモード
「その時に血を吸った相手と逆の性別になっちゃうんだ」
「なんでまたそんな……」
「さぁね? 初めてを捧げた相手と添い遂げる為じゃない? 」
「おー。なるほどな。ロマンチックなのねヴァンパイア」
「まぁ僕の予想だけどね。ま、これが僕が女の子になっちゃった理由」
「今から女の血を吸えば男になるのか? 」
なるなら全力で阻止するけど
「いんや。18歳を迎えて初めての吸血だけよん」
よし……っ!
「しかしあんたが男だったとはねー」
「悪かったな。紛らわしい見た目で」
「いんやー。別にこうなっちゃったのは仕方ないしねー。それよりも私のお願い聞いてくれない? 」
「む? まぁ、世界征服に協力するって言うんなら聞いてやらんこともないな」
「うん! じゃあ早速だけど……助けに来てね」
ズォオオオオッ!と、凄い音と共にヴァンパイアちゃんの姿が黒い何かに包まれた
「なになになにーっ!? 」
そのまま窓から外へ飛んで行く黒い何か
「ふはは。悪いな。あのメスはいただくぞ」
声のする方を見るとヴァンパイアが立っていた
「ん? 誰だお前」
「しがないヴァンパイアのおっさんだよ」
「あいつを攫ってどうする? 」
「ヴァンパイアのメスってのは滅多に生まれない。なぜなら皆生まれた時は男だからだ。男の血を吸う奴なんていないわな」
頼んでもないのに細かい説明を始めるおじさん
「いや、だから。攫ってどうすんの? って聞いてんの! 」
まぁ大体予想はできてるが
「俺たちヴァンパイアは普通の人間と子を成す事もできるのだが、やはり同じ種族で作った子供のほうが優秀なんだ」
「つまり? 」
「あのメスにはこれから死ぬまで子作りをしてもらうのsぶがっ?! 」
すかさず変身しておじさんをぶっ飛ばす
そのままあの黒い何かを追う
「あった」
あの黒いやつの移動は遅いらしい。すぐに追いついてカタナで切ってみた
「いってぇ! マジかてぇ」
くそっ。早く出してやりたいのに
「おっ。スピードアップした? 」
黒い何かは速度をあげてそのまま建物の中に入った
「あー。くそ、ヴァンパイアと戦うのか」
姿は違えどヴァンパイアも想人である。思術を使ってくるだろう
「まぁお願いされたしな」
世界征服に加わってもらう為だ。頑張ろう




