ep2-2
喫茶店に入りヴァンパイアの彼の向かいの席に座った
「はい。それじゃあ面接を始めます」
「え? 」
驚いている彼を無視して続ける
「んーと。それで? 特技とかはある? 」
「特技ですか? えーと、すみません」
「すみません? それが特技なの? 」
「あっいや、そういう事ではなくて」
「なんで特技を聞いたのに謝られたのかな? 」
「いや、それは」
「はぁー、君ね。私も君が嫌いだからこうやって口うるさく言ってる訳じゃないんだよ。ただね、これがもし就職試験の面接とかだったら困るのは君だよね? 」
「あ、はい」
「君の中だと、どうせアルバイトの面接なんか適当でいいやーみたいな考えがあるのかもしれないけどね? 」
「え? アルバイト? 」
「これも立派な面接なんだからさ。真剣にやってくれないと困るわけ」
「え? 」
「まぁいいや。とりあえず結果は後で郵送するから」
「はい? 」
「と、いうわけで世界征服頑張ろうな! 」
「あ、はい。頑張りmって違う違う!!! なんなんだい一体? 」
ちっ、流れで持っていけるかと思ったのに
「なに? 世界征服の何が不満なの? ホントお前はっきりしない奴だよなー。そういうトコ直していこうぜ」
「君本当に初対面? まぁいいけどさ」
そう言うとヴァンパイア君はケータイで誰かに連絡を取り始めた
「ええ。今日こそ。はい。それでは」
「ん? なんだ? 親御さんに世界征服するって連絡したのか? 」
「いや、違うよ。それよりも少し場所を変えよう」
「? まだ俺のナポリタンが来てないんだが」
「世界征服について詳しく聞きたいんだ。ほら、こんな場所で話したら誰かに聞かれてしまうだろう? 」
……っ! それもそうだった……っ!
「すまん。つい焦っていた。よし、じゃあ場所を変えよう」
店員さんに代金を払って一言謝罪してから店を出た
「……ここならいいかな」
やってきたのは建物の路地裏
「よし。じゃあ早速」
鞄からアドライバーを取り出そうとした時
「ごめんね。いただきます」
「あ? うっぎゃああああああああああああっ!!! ちょっタンマ! いてぇいてぇ!!」
ヴァンパイア君が首筋に噛み付いてきた
くそっ、力が抜ける
「ふぅ……やった。ついに初吸血を果たした! しかもこんなに美しい女の子だ! 」
ヴァンパア君が叫ぶと周囲の建物の上にヴァンパイアが現れた
「おめでとう! 」
「これで君も立派なオスのヴァンパイアだ! 」
盛大な拍手が巻き起こる
「うっ……て、てめぇら……」
「おっと。動かない方がいいよ。暫くは貧血で……うっ!!? 」
突然ヴァンパイア君が苦しそうにし始めた
「うっ! うがあああああああっ!! 」
そして突如煙に包まれたかと思ったら
「は、はぁ……? 何が起こってるんだ……? 」
ヴァンパイア君はなんとヴァンパイアちゃんになっていた
何を言ってるのかわからねーと思うがry
「君……男なのか!? 」
元ヴァンパイア君が俺を指差す
「お、俺は男だぞ? 見て分かれよ」
「な、なんということだ! う、嘘だああああああっ!! 」
何がなんだかわからんぞ
「……久しいな。メスのヴァンパイアは」
「ああ。もう数十年見ていないな」
「うおおおっ。ムラムラっときたああああっ! 」
「ひっ! 」
突如建物の上にいたヴァンパイア達が興奮し始めた
「今行くぞ! 」
あ、やっぱり飛び降りたりはしないのね
「ま、まずい! なぁ君! 僕を連れて逃げてくれないか? 」
「……は、はぁ? 」
声までしっかり女の子になったヴァンパイア君は泣きそうになりながら俺に懇願してきた
「ちっ。しかたねー」
貧血でフラフラしながらもアドライバーを装着する
『Welcome Vanquisher』
変身してもまだフラフラするが仕方ない
「な、なんだいこれは? 」
「行くぞ! 舌噛むなよ! 」
ヴァンパイアちゃんを腕に抱いて飛び上がる
「わ、わきゃああああっ!? 」
「うるせーな。いいか? とりあえず身を隠したら詳しく話しを聞くぞ」
「う、うん」
くっそー。元から美形だったからとんでもない美少女になってやがる。いや、まぁまったくの別人になってるんだけどね
「あ、あそことか大丈夫カモ」
「おーけー」
ヴァンパイアちゃんが指差した建物に着地した
どうやら廃墟らしいな
「ここは僕の秘密基地だからね。ちょっとやそっとじゃバレないよ」
「ああ、じゃあ、とりあえず……」
「うん。あのね、まずは僕達ヴァンパイアの」
「休ませて」
限界だった俺は直ぐに布団らしき布に寝転がった




