ep1-1
暇な方どうぞ。女装っ子萌ゑゑゑゑゑゑゑ!!
こことは違う世界。そこには地球っていう星があって、その上では人間とか動物が沢山暮らしてて、その中の日本という国は独特の文化を持っていて、なんでも巨大なロボットで戦争をしたりするらしい
俺、蒼井ノエル(18)はそんな日本という国を舞台にしたフィクション小説を読むのが大好きである
「……ノエル。次の駅で降りる」
隣に座る少女が無表情で語りかけてくる
「了解了解」
「……またジパング? 」
「おう。またジパング」
最近嵌っているのは“仮面戦士ジパング”という、日本侵略を夢見る少年がベルトの力を借りて変身し、日本のジ・エイ隊と激しく戦うアクション物の小説だ
「ふー。面白かった。まさかジパングの他にも日本を狙っている奴が出てくるとは」
小説を閉じて鞄にしまう
「日本が好きだね。ノエルは」
「実在してたら是非とも行ってみたいな」
「うん。そうだね」
ちなみに俺の隣に座っているのは透き通るように白い肌と髪。赤い瞳を持つアルビノ少女、ノア・ウィンター(18)である
今回の俺の野望の為に付いてきて貰った頼れる幼馴染で、癒し屋の資格を史上最年少で取得した天才少女だ
そんなすごい幼馴染がいるってことは俺、蒼井ノエルにも期待が掛かってしまうのは仕方ないだろう。だが俺は
「お。可愛いおねーさん達発見」
「ここ座っていいっすか? 」
チャラチャラした男の2人組が話しかけてきた
「ああ、構わないぞ」
対面の席に座る2人
「いやー、こんな美人2人と相席とかラッキー。2人は彼氏とかいるんすか? 」
やっぱりかー
「ノア。やっぱり俺は髪を切った方が良いよな」
「……切った所で変わらないよ」
「いっそのこと坊主とか」
「そしたら絶交」
無表情でそんな事を言う幼馴染
「それは困るぜ」
「なになに? 俺達も混ぜてよ」
「髪切るとか言ってたけど。そっちのおねーさんはロングの方が似合うと思うぜ」
ああ、そろそろこいつらの誤解を解かなくてはな
「あー悪い。水を差すようだけど、俺は男なんだよ」
「そして私は彼女」
よりかかってきたノアの肩に手を回す
「……え? 」ポカーン
「し、失礼しましたー」
このように、女と間違えられるような容姿と、自分で言うのもアレだが多少喧嘩慣れしているって事と、家庭事情が複雑ってことくらいしか特色のない奴である
「お疲れ、ノア」
「ノエルもね」
ちなみに、あえて言う必要もないことだろうが、こいつが俺の彼女っていうのは嘘である
ああいえば大体は引き下がってくれるからな
「ふふふ。美少女っていうのも困る」
ニヒルに笑うノア
「そうだね。自分で言わなきゃもっと良かったね」
謙遜しすぎっていうのもどうかと思うけどな
『スペサン、スペサンデゴザイマス』
電車が止まった
「よし、降りるか」
ノアと連れ立ってスペサン駅に降りた
「ここがスペサンか。ふふっ」
スペサンは別名“技術の町”と呼ばれる程、色々な技術が集まっている町である
ふふふ。ここから俺の野望が始まるのだ
「ニヤニヤすると気持ちわるい」
「あ、そう? カッコよくなかった? 」
「うん」
残念だ。まぁいいや、とっとと目的地に行こう
「その前に。そろそろ俺の野望を皆に教えないといけないな」
「……また独り言言ってる」
「あ、悪い。口に出てたか? 」
「うん」
まぁいいや。俺の野望とは、ずばり! 世界征服だ
その野望実現の為に今、ここスペサンに赴き、技術者であるノアの父親に極秘裏に頼んでおいた兵器を受け取りに来たのである
「よし、じゃあ行こうぜ相棒」
ちょっとカッコつけてみたり
「ええ。大いなる野望の為に」
意外とノリのいい子なのよこの子




