2話『魔神の真意、勇者の絶望』
激闘の末、俺の鎌はアルトの肩を貫き、アルトの聖剣は俺の胸――「核」が存在する場所を捉えた。
「……これで、終わりだ。ノア」
アルトの声は震えていた。勝機を掴んだはずの彼の目に映ったのは、俺の「満足げな微笑み」だったからだ。
「……お見事です、アルト様。……貴方は、私が育てた中で最も優れた『掃除屋』になりました」
俺の体から、どす黒い闇が霧散していく。
俺がこれまで喰らってきた「魔神の呪い」「世界の歪み」「女神の執着」――それらすべての「負の遺産」が、俺の死と共に消滅しようとしていた。
「……え? ノア、お前……まさか、わざと……?」
『(アルト様。……主殿は、この世界を救うために「すべての毒」を自分の中に溜め込んだのです。……あなたが彼を殺すことで、世界は真に清浄なものとなる。……それが、この「猫」が最初から描いていた、最大の整理整頓でした)』
アルトが目を見開く。
俺は崩れゆく体で、最後に一度だけ、猫の姿に戻ってみせた。
そして、かつてのようにアルトの足元に擦り寄り、弱々しく喉を鳴らした。
「……にゃーん」
光が溢れ、俺の意識は深い闇へと沈んでいった。
【アークの記録帳】
• 個体名: ノア
• 種族: [次元を喰らう影]
• 状態: [消滅プロセス(Reboot準備)]
• アークの分析:全次元の「負の概念」を伴っての自滅を確認。これにより、世界は完全な自由を手にしました。……さて、主殿。あなたの魂は今、時空を逆行し、「はじまりの場所」へと向かっています。
……あなたが「猫」として捨てられた、あの日、あの場所へ。
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