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スクラップブック:勇者の影で笑う猫  作者: beens
第4章:異次元の監査官と、崩壊する箱庭

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4話『決別、あるいは捕食の始まり』

女神の光が虚無の世界を白く染め上げ、アルトが構えた聖剣ルミナスが「正義」の咆哮を上げる。

しかし、少年の決断は、管理者である女神にとっても、そしてノアにとっても、予測を僅かに上回るものだった。

「……ごめん、女神様」

アルトの声は、震えていたが、はっきりとしていた。

彼は溢れる涙を拭い、聖剣を俺に向けるのではなく――その切っ先を、空に浮かぶ女神の輪郭へと向けたのである。

「ノアが『バグ』だとしても……俺を助けてくれたのは本当だ。ザガンさんがパンを焼いて、魔王さんが一生懸命働いてたあの村を、あんたは『家畜の管理』って言った。……でも、俺たちがいたあの場所は、あんたの言う『正常な世界』よりずっと温かかったんだ!!」

「――愚かな。システムの一部が、設計者に逆らうというのですか」

女神の声に、明確な「殺意」が混じっていた。

純白の光が収束し、アルトを消去するためのレーザーとなって放たれる。

(……やれやれ。アーク、観測終了だ。……これ以上の『おままごと』は、こちらの処理能力の無駄だな)

俺は影の中から一歩前へ踏み出した。

放たれた女神の光を、俺は[終焉の鎌]の一振りで、紙を切り裂くように容易く両断した。

「なっ……! 私の権能を、物理的に切断した……!?」

「にゃお(女神、お前の負けだ)。……お前の『正義』は、この少年の心という小さなバグ一つ御せなかった」

俺はアルトを影の触手で後方へと放り投げると、その背後で、抑えていた全ての魔力を解放した。

 猫の姿が崩れ、漆黒の闇が天を覆い尽くす巨大な獣――プロローグで世界を飲み込んだあの「終焉の化け物」の片鱗が、虚無の世界を浸食していきます。

「……ひっ、あ、ああ……」

アルトが腰を抜かして俺を見上げている。

そこにいたのは、もう「可愛いノア」では無かった。

世界を整理し、不要なものを喰らい、神さえもただの『データ』として扱う、無機質な捕食者。

「アルト様。……貴方は私を選んだ。ならば、その報いを受けていただきます」

俺は女神のプロジェクション(投影体)を鎌で捕らえ、その「存在情報」を強引に引き摺り出した。

女神の絶叫が虚無に響き渡りますが、俺はそれを一気に咀嚼し、糧へと変えた。

「……これで、女神との『回線』は繋がった。……次は、彼女の本体がいる最上層へ行く」

俺は人型の影に戻り、アルトを見下ろした。

アルトの瞳には、もう愛着は存在しなかった。そこにあるのは、自分が何という恐ろしいものを解き放ってしまったのかという、絶望的な後悔。

「……お前、やっぱり……。村も、みんなも……こうやって食べるつもりだったんだな」

「……ええ。お望みなら、次は貴方の番にしましょうか?」

俺が冷たく微笑むと、アルトは震える手で、女神の力を宿して変質したルミナスを握り直した。

それはもはやノアの作った剣ではなく、世界そのものが「ノアを拒絶する」ために生み出した、真の聖剣。

「……俺がお前を止める。……ノア、いや、魔神。……次にお前に会う時、俺はお前を絶対に殺す」

「……期待していますよ。勇者様」

俺は[次元跳躍]を発動し、アルトを「かつて平和だったあの村」へと送り返した。

一人残された虚無の世界で、俺はアークの頁を閉じた。

いよいよ、チェス盤の駒は出揃った。

神を裏切った勇者と、神を喰らう魔神。


物語は「全面戦争」へと突入します。


【アークの記録帳スクラップ

• 個体名: ノア

• 種族: [次元を喰らうワールド・イーター]

• レベル: 32

• 称号: [神敵](New)

• 保有スキル:

• [捕食進化]、[因果捕食]、[神威の眼]、[次元跳躍]、[終焉の鎌]

• アークの分析:女神の断片を捕食したことで、上位次元の座標を特定しました。

……しかし、アルト様を生存させたことは計算外の『リスク』です。彼は今、女神の遺志を継ぎ、全次元の生存者を結集させて「対ノア連合」を組織するでしょう。

ここまでお読みいただきありがとうございます!

読者の皆様の応援のおかげで、ここまで書き進めることができています。

もし「続編が気になる!」「応援してるぞ!」と思っていただけましたら、ぜひブックマークや、星での評価で応援をいただけないでしょうか。

皆様のポイントが、ランキングを駆け上がる原動力となります!

これからも熱い展開をお届けします!

よろしくお願いします!

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