<EP_009>ナクソス島置き去り事件 その1
<登場人物>
アストレイア:正義の女神
イーリス:虹の女神
テセウス:英雄。冥界の椅子に張り付いている
アリアドネ:テセウス被害者の会 会長。テセウスの被害者でもある
メーディア:テセウス被害者の会 顧問。百戦錬磨の魔女
パイドラ:アリアドネの妹。テセウスの被害者
ヘレネ:テセウスの被害者
ペリグネ:テセウスの被害者。シニスの娘であり、メラニッポスの母
パイア:テセウスの被害者。猪を飼ってるオバちゃん
ケルキュオーン:テセウスの被害者。オカマ
アンティオペー:テセウスの被害者。アマゾンの女王の妹。ヒッポリュトスの母
デメテル:豊穣の女神。居酒屋でめて〜るの女将
「さてと、次は私ね」
アリアドネがそう言って立ち上がると重くなっていた会場にも活気が戻ってきた。
コメント欄にも「待ってました!」「いよいよ真打ち登場だ」といったコメントが流れていった。
「テセウス、覚悟しなさい!」
画面内ですっかりピエロのような姿になったテセウスに指を突きつけた。
そして、イーリスと一緒にカメラ目線に向き直ると、二人で声を揃えて言った。
「VTRスタート!」
そう言うアリアドネとイーリスはあざと可愛かった。
クレタ島でミノタウロスを退治したテセウス一行はアテナイへの帰路についた。
慣れない船旅のためアリアドネは体調を崩し床に臥せっていた。
テセウスはナクソス島へと船を停めることになった。
その時、アリアドネの身体が光り、かき消すように姿を消してしまう。
アリアドネはデュオニュソスによりレームノス島に連れ去られてしまったのだ。
レームノス島に連れてこられ、アリアドネは目を覚ますと眼の前にいるデュオニュソスに恐怖し、後退りした。
「怖がらないで。キミはアリアドネだよね。お初にお目にかかる。ボクはデュオニュソス。オリュンポス12神の一人さ」
「デュオニュソス様がどうして……ここは何処?テセウスは何処なの?」
怯えるアリアドネにデュオニュソスは優しく答えていく。
「ここはレームノス島さ。キミがあんまりにも可愛いから拐ってきちゃった」
悪びれた様子もないデュオニュソスにアリアドネは困惑してしまうが、それ以上に襲ってきた吐き気にこらえきれなくなってしまう。
アリアドネは口を押さえて周りを見渡し、近くに流れていた川に走り、吐こうとしたが、何も食べていなかったため何もでなかった。
「大丈夫かい?」
デュオニュソスはアリアドネの背中をさするが、吐き気が収まったアリアドネは、その手を振り払った。
「触らないでよ。この変態!」
大声で叫び、逃げようとするが、大声を出したためアリアドネは目眩を起こして、その場に倒れ込んでしまう。
デュオニュソスはアリアドネに駆け寄る。アリアドネを抱き上げると、彼女の下腹部のわずかな膨らみに気づいた。
デュオニュソスは少し考えると、アリアドネを抱きかかえたまま一緒に姿を消した。
アリアドネが消えたテセウス一行はナクソス島を探し回ったが、見つけることはできなかった。
仕方なく出航しようとした瞬間、甲板にアリアドネとともにデュオニュソスが現れた。
「誰だ!」
突然現れたデュオニュソスにテセウスは身構えた。
「驚かせて申し訳ない。ボクはデュオニュソス。オリュンポス12神の一人さ」
デュオニュソスが名乗りを上げると、テセウスたちはいっせいに跪いて頭を垂れた。
「あ、そんなにかしこまらないで。ざっくばらんに行こうよ。それより、彼女はキミの奥さんだね?」
フランク過ぎるデュオニュソスに戸惑いながらもテセウスは顔を上げて頷く。
「彼女があんまり可愛いからつい拐っちゃったけど、彼女おめでただね。それじゃあ、諦めるしかないよね。名残惜しいけど、彼女は諦めるよ」
「は?はぁ……」
デュオニュソスの言葉にテセウスはポカンと口を開けながら頷いた。
「あと、妊婦さんに船旅は酷だよ。しばらく、この島に留まると良いよ。この島はボクのテリトリーだからね。住民にキミたちの世話をするように言っておくよ。奥さんを大事にね」
そう言うと、デュオニュソスは姿を消した。




