<EP_020>ディオスクロイ
<登場人物>
アストレイア:正義の女神
イーリス:虹の女神
テセウス:英雄。冥界の椅子に張り付いている
アリアドネ:テセウス被害者の会 会長。テセウスの被害者でもある
メーディア:テセウス被害者の会 顧問。百戦錬磨の魔女
パイドラ:アリアドネの妹。テセウスの被害者
ヘレネ:テセウスの被害者
ペリグネ:テセウスの被害者。シニスの娘であり、メラニッポスの母
パイア:テセウスの被害者。猪を飼ってるオバちゃん
ケルキュオーン:テセウスの被害者。オカマ
アンティオペー:テセウスの被害者。アマゾンの女王の妹。ヒッポリュトスの母
デメテル:豊穣の女神。居酒屋でめて〜るの女将
「は〜い、被害者の訴えはここまでで〜す。最終判決の前に、その後のテセウスくんとアテナイの様子をどぞ〜」
イーリスが指を鳴らすと画面が切り替わった。
ヘレネの兄であるスパルタのカストールとポルックスの双子は激怒した。
「おい、兄貴。ヘレネを拐ったバカの国だから更地にしてしまって構わねえよな」
「そうですね。我らの妹を拐った報いは受けていただきましょう」
ポルックスが指をバキバキと鳴らしながら言うと、カストールは不敵な笑みを浮かべた。
彼らは二人揃ってディオスクロイと呼ばれるほどの英雄である。
彼らの猛攻に王が不在のアテナイ軍は連戦連敗であった。
「ヘレネはどこだぁぁ!」
「我が妹を拐った罪を思い知れ!」
ディオスクロイがコローニスの丘に迫って来た時、一人の老人が声をかけた。
「お待ち下さい、ディオスクロイ様」
「ん?どうしましたご老人。我々は妹を探しているのです。邪魔しないでいただきたい」
カストールの言葉に老人は震えながらもカストールの前に進み出て跪いた。
「私はアカデモスと申します。この先は私の森でございます。ヘレネ様はここにはおりません。ヘレネ様はトロイゼンのアイトラ様のところにいらっしゃいます。ですから、これ以上は、お止め下さい」
アカデモスの言葉にカストールは驚くと、近くで大木を引き抜き、振り回していたポルックスを呼んだ。
「おい、ポルックス。ヘレネの場所が分かったぞ。トロイゼンだ」
「何?ホントか、兄貴!」
カストールの言葉を聞くとポルックスは大木を投げ捨てて駆け寄ってきた。
「ご老人、情報感謝する」
「いえ、私はこの森を守りたかっただけでございます」
アカデモスは跪いたまま答えていった。
「ふむ。我々はやりすぎてしまったようですね」
「にしても、この国はどうなってんだよ。兵の統率が取れて無さすぎだろ」
ヘレネの居場所を聞いたディオスクロイは冷静になり周りを見渡した。
そこには、二人の活躍により蹂躙されたアテナイの街があった。
「テセウス王は冥界に降りていかれたまま帰ってきておりません」
「そうですか。我々にアテナイを侵略する意図はありません。ヘレネを返してもらえば十分です。しかし、王がいないままでは復興もままならないでしょうね……」
カストールが考えていると一人の青年が前に進み出た。
「ディオスクロイ様。私はメネステウスと申します。先代のアテナイ王アイゲウスによって追放された先々代のアテナイ王ペテオースの息子でございます。許して下さるのでしたら、私が王となって復興を指揮したいと思います」
メネステウスの言葉にカストールは頷いた。
「わかりました。メネステウス、あなたが王として復興を指揮しして下さい。我らはトロイゼンでヘレネを奪還した後、エレウシスで秘儀を授かり、スパルタに帰還します」
「ありがとうございます」
こうして、テセウスに代わりメネステウスがアテナイの王となり、テセウスの息子であったアカマスとデーモポーンはエレペノール将軍に預けられることになった。
コメント欄では「【朗報】英雄テセウス、冥界で椅子にへばりついている間に無職になる」「ディオスクロイはガチ英雄」「英雄としての格が違うよね」「アカデモスこそ救国の英雄」といったコメントが並んだ。




