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<EP_019>ペルセポネ誘拐未遂事件

<登場人物>

アストレイア:正義の女神

イーリス:虹の女神

テセウス:英雄。冥界の椅子に張り付いている

アリアドネ:テセウス被害者の会 会長。テセウスの被害者でもある

メーディア:テセウス被害者の会 顧問。百戦錬磨の魔女

パイドラ:アリアドネの妹。テセウスの被害者

ヘレネ:テセウスの被害者

ペリグネ:テセウスの被害者。シニスの娘であり、メラニッポスの母

パイア:テセウスの被害者。猪を飼ってるオバちゃん

ケルキュオーン:テセウスの被害者。オカマ

アンティオペー:テセウスの被害者。アマゾンの女王の妹。ヒッポリュトスの母

デメテル:豊穣の女神。居酒屋でめて〜るの女将


アテナイに戻った二人は、祝杯を挙げながら次の計画を練り始めた。

「さて、テセウスの嫁は見つかったから、次は俺の番だな」

ペイリトオスが脂ぎった顔でニヤリと笑った。

「そうだな。でも、ゼウス様の娘って他に誰がいるんだ? もう品切れじゃねぇか?」

「俺も知らねぇんだよな。神様なら知ってんじゃね?」

テセウスの疑問にペイトリオスは鼻をほじりながら答えてくる。

「んじゃ、神様に聞いてみっか。ちょうど目の前に神殿あるし」

二人は近場のデュオニュソスの神殿に足を踏み入れると、賽銭も投げずに不躾に祈り始めた。

「デュオニュソス様ぁ。ゼウス様の娘ってどこにいますか?できればサイコーのチャンネーがいいんですけどぉ」

ペイリトオスのあまりに軽薄な祈りに、神殿の奥から楽しげな声が響いた。

「ん?ボクの妹?なら冥界神ハーデスの妻のペルセポネちゃんがサイコーだねぇ。ボクのイチオシだよ」

「あざーっす!」

神託を受けたペイリトオスは、ウキウキとした顔でテセウスに告げた。

「兄弟、行き先が決まったぜ。俺の嫁はペルセポネちゃんだ」

さすがのテセウスも、その名前には一瞬だけ頬を引き攣らせた。

「え? ペルセポネ様って……あの冥王ハーデス様の嫁だぞ。さすがにヤバくね?」

青い顔で言い出したテセウスをペイリトオスは煽っていく。

「大丈夫だって。ハーデス様って陰キャって話だぜ。俺たち二人で行けば、ビビって嫁を差し出すさ。」

「そ、そうかなぁ……」

なおも渋るテセウスにペイリトオスは更に煽っていく。

「何?兄弟、ビビってんの?ミノタウロス殺しの英雄様が、今さら震えてんのかぁ?」

ペイリトオスに煽られ、テセウスも応じてしまう。

「そ、そんなことねぇよ! よっしゃ、行こうぜ兄弟!冥界なんて俺たちの庭みたいなもんだぜ!」

二人は肩を組み合い、笑いながら冥界への階段を下りていった。


コメント欄は、「神をも恐れぬ諸行とはこのことか……」「なんでバカ度が指数関数的に上がってんだ?」「-a×-b=-ab……計算式が崩壊してやがる」「止めて〜!これ以上見たら、俺のSAN値が下がっちゃう〜!」と猛烈な勢いでツッコミが並んだ。


「ちょっと待ってくれ」

アストレイアは片手を上げるとイーリスにVTRを止めさせた。

「イーリス、デュオニュソス様とはまだ繋がってるか?」

「うん、繋がってるよ」

イーリスが指を鳴らすと画面に相変わらずとんちきな格好をしたデュオニュソスが現れた。

「デュオニュソス様。先程の話は本当でしょうか?」

「本当だよ〜。だって、聞かれたのは『ゼウスの娘で最高なのは誰?』だからねぇ。ボクの妹の中の最高の美女はヘレネちゃんかペルセポネちゃんだからね。それに、いくら彼らだって冥王の嫁を拐うなんて思いもしないじゃん」

アストレイアの言葉にデュオニュソスは愉快そうに笑いながらのほほんとした様子で答えていった。

「わかりました。ありがとうございます」

そう言うと、イーリスへVTRの再開を促した。


二人が冥界の入口へとたどり着くと、そこにはハーデスが待ち構えていた。

「チーイっす。ハーデス様、本日は天気も良いようで」

日の差さない冥界でペイリトオスは挨拶をしていく。

ハーデスはにこやかな笑顔で二人を出迎えた。

「やあ、キミたちが噂のテセウスとペイリトオスくんだね。噂は冥界にも轟いているよ」

「あ、やっぱそうッスか?いやぁ、人気者はツラいっすね」

そう答えると、ペイリトオスは小声でテセウスへと耳打ちする。

「おい、なかなかフレンドリーじゃねぇか。これならサクッとペルセポネちゃんゲットだぜ」

「お、おぅ……」

二人がそんなことを話していると、ハーデスが二人へと椅子を勧めてくる。

「まぁまぁ、立ち話もなんだから、座ってネクタルでも飲みながらゆっくりと話そう」

二人は勧められるままに椅子へと座った。

二人が座ると、椅子は二人の尻へと張り付き身動きが取れなくなってしまった。

「え?え?どゆこと?」

二人が異変に気づくと、それまでにこやかだったハーデスが一瞬で顔色を変えた。

「ふん、バカなヤツらだ。我が妻のペルセポネを拐いにくるとはな。その度胸に免じて殺しはしないでやろう。そのまま、そこで座っているがよい」

そう言うとハーデスはマントを翻して冥界へと戻っていった。


コメント欄には「バカ過ぎる…」「コイツらの知能ってチンパンジー以下じゃねぇか?」「それはチンパンジーに失礼過ぎる」「じゃ、ミジンコ」「ミジンコに謝れ!」といった失笑しか流れなかった。


「は〜い、本件はここまで。アストレイア、判決は?」

最早、真面目に見るのもバカバカしくなり、おつまみのアンブロシアのゲソ天を摘んでいたアストレイアは急に振られて、慌てて飲み込み、居住まいを正す。

「本件において、被告テセウスは文句無しにギルティだ」

アストレイアの判決に会場内は笑いに包まれたが、その笑いは失笑でしかなかった。

「ペルセポネの誘拐未遂についてはハーデス様が直々に審判を下されたのでノット・ギルティとするが、ヘレネについては、未成年略取でしかない。よってギルティだ」

コメント欄も「そりゃそーだ」「それ以外無いよね」「アストレイア様も大変だなぁ」といったコメントしかつかなかった。

ペルセポネが画面のテセウスの顔へ大きくバッテンを付けると会場内には笑いが戻ってきた。

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