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<EP_017>クズ×バカ=?

<登場人物>

アストレイア:正義の女神

イーリス:虹の女神

テセウス:英雄。冥界の椅子に張り付いている

アリアドネ:テセウス被害者の会 会長。テセウスの被害者でもある

メーディア:テセウス被害者の会 顧問。百戦錬磨の魔女

パイドラ:アリアドネの妹。テセウスの被害者

ヘレネ:テセウスの被害者

ペリグネ:テセウスの被害者。シニスの娘であり、メラニッポスの母

パイア:テセウスの被害者。猪を飼ってるオバちゃん

ケルキュオーン:テセウスの被害者。オカマ

アンティオペー:テセウスの被害者。アマゾンの女王の妹。ヒッポリュトスの母

デメテル:豊穣の女神。居酒屋でめて〜るの女将


スタッフがVTRを切り替えている間の真っ暗な画面にイーリスの「二人とも、服着て。ホントに垢BANされちゃうからぁ」といった声が流れていった。


画面が切り替わると、一人の男が映し出された。

彼の名前はペイリトオスといい、ラピテス族の王であった。

ある時、ペイリトオスはアテナイの英雄テセウスの噂を聞いた。

「へぇ、アテナイ王テセウスはミノタウロス殺しの英雄なのか。いっちょ、どんなヤツか試してやろう」

そう思ったペイリトオスはマラトンでテセウスが家畜としていた牛の群れを追い払った。

家畜の牛に手を出されたテセウスはすぐさま駆けつけるとペイリトオスと対峙した。

一触即発の中、対峙している二人の中に不思議な感情が芽生えてしまった。

「おい、お前、その構え、なかなか様になってるじゃねぇか」

「お前もな。さすがはアテナイの英雄テセウスだぜ」

「お前、名前はなんて言うんだ」

「俺はラピテス族の王ペイリトオスさ」

「あのラピテス族の王か。さすがだな。なぁ、ここで俺たちが争ってもなんにもならねぇ。ここはお互い手打ちにしねぇか」

「そうだな。お前の実力は良く分かったぜ。これからはよろしく頼むぜ、兄弟」

そんな会話の後、差し出されたペイリトオスの手をテセウスはガッチリと掴んだ。

そこで画面が切り替わり、再び座敷へと戻ってきた。

「は〜い、クズ二人の出会いでした〜。テセウスさん、ペイリトオスさんとはこの後も盟友として戦うんですよね」

イーリスが問いかけると、画面内には落書きだらけで元の顔がわからないテセウスがドヤ顔で話してきた。

「そうっス。ペイリトオスとは、なんつーんスかね、出会った時にビビッと来たんですよね。ソウルブラザーっス」

コメント欄には「おい、牛はどうした?」「類は友を呼ぶ」「これは出会っちゃいけない二人…」といったコメントが並んだ。


「それじゃあ、私ですぅ」

そう言うとヘレネが証言台に立った。

イーリスが指を鳴らし、VTRが始まった。


そこには、すっかり中年となり、脂ぎった顔と少し頭部が寂しくなったテセウスと、ペイリトオスがだらしなく寝転がっていた。

かつての若々しさは消え、弛んだ腹が見え隠れしていた。

「なぁなぁ、兄弟。最近、俺たちイケてなくね?」

ペイリトオスが虚空を見上げながら、ポツリと呟くと、テセウスは気だるげに鼻をほじりながら答えた。

「そうだなぁ。お互い、ハニーが死んじゃったしなぁ……なんかこう、華がねぇっつーかさ」

テセウスの言葉を聞いた瞬間、ペイリトオスがバネ仕掛けのように飛び起きた。

「それよ! 俺たちって英雄じゃん? アテナイとラピテスの王じゃん? 英雄には隣に美女がいないと様になんないだろ。俺たちに足りないのは、それだよ!」

その言葉に、テセウスもガバッと起き上がる。

「だな! 俺たちに足りないのはそれだ! やっぱ、サイコーだぜ、兄弟! お前、マヂで天才じゃね?」

「だろ? 欠けてるピースが見つかった感じだよな」

二人はガシィッ!と固く握手を交わした。

「美女って言っても、そこらへんの女じゃ俺らに釣り合わないからなぁ」

テセウスは腕を組むと、さも重大な国家戦略を練るような顔で考え込む。

「やっぱ、最高神ゼウスの娘っしょ。英雄の俺らにはそれぐらいのランクがふさわしいっしょ。」

ペイリトオスは目を輝かせながら話してくる。

「だなぁ。俺らぐらいなら、そのレベルでようやくだよな。クレタ島の王女とかラピテスの王女じゃ釣り合いがとれなかったんだよな!」

テセウスも顔を輝かせて同意する。

「で、どこにおるん?ゼウスの娘」

テセウスの問いにペイトリオスはにんまりと笑った。

「スパルタにヘレネって超マブいのがいるらしいぜ。現在ナンバーワンの美女って噂だぜ」

「お、マジか。さすが兄弟。良く知ってるな。じゃあ、拐っちゃう?」

「いいねー。話がわかるぅ〜。お前と組んでて良かったぜ!」

ハイタッチを交わし、そのままスキップでもしそうな勢いでスパルタへと二人は歩き出した。


VTRが止まると、アリアドネは「ほぉ…クレタ島の王女程度ねぇ…」と地獄の底から聞こえるかと思うほどの冷たい声で呟き、メーディアも「ヒッポダメイアも浮かばれないねぇ」と呟いた。

コメント欄には「まるで成長してない……」「クズはいくつになってもクズ」「ペイリトオスとヒッポダメイアって割と純愛だったはずだが…」「そんなの覚えてると思うか?」といったツッコミの嵐が吹き荒れた。

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