<EP_014>アンティオペー事件 その2
<登場人物>
アストレイア:正義の女神
イーリス:虹の女神
テセウス:英雄。冥界の椅子に張り付いている
アリアドネ:テセウス被害者の会 会長。テセウスの被害者でもある
メーディア:テセウス被害者の会 顧問。百戦錬磨の魔女
パイドラ:アリアドネの妹。テセウスの被害者
ヘレネ:テセウスの被害者
ペリグネ:テセウスの被害者。シニスの娘であり、メラニッポスの母
パイア:テセウスの被害者。猪を飼ってるオバちゃん
ケルキュオーン:テセウスの被害者。オカマ
アンティオペー:テセウスの被害者。アマゾンの女王の妹。ヒッポリュトスの母
デメテル:豊穣の女神。居酒屋でめて〜るの女将
船に戻る時、テセウスは不満たらたらであった。
「いーなぁ、パイセン。あの女王様とヤッちゃうだけで任務完了っしょ?俺にもおこぼれ欲しいなぁ……」
頭の上で手を組みながらそう呟いていく。
「テセウス。これは合コンじゃないんだぞ。女王は支配権の象徴を差し出すと言ったんだ。並大抵の覚悟じゃなきゃ言えなかったはずだ。お前も王となったなら、そこを考えて話せ」
「はーい」
ヘラクレスに真顔でたしなめられ、不満そうな顔のままテセウスは黙った。
「それから、テセウス。すまんが二番艦に乗り換えてくれ。俺の一番艦に女王を迎える。さすがにコトを構えるに他人が乗っているのはマズい」
「へいへい。パイセンは二人でしっぽりやってれば良いでしょ。でもさ〜、良い女でしたよねぇ、女王様。あんなのを連れて帰って侍らしたら最高ッスよね。片乳が無いのが残念スけど、それ以外は最高ッスからね。」
「テーセーウース……」
ヘラクレスに睨まれ、さすがのテセウスもそれ以上は何も言わなかった。
そう言っているうちに船へと辿り着いた。
コメント欄には「やっべぇ……」「不穏な空気しかしねぇw」といったコメントが流れていた。
このテセウスの声を聞いていた者がいた。
それは主神ゼウスの正妻ヘラであった。
ヘラクレスはゼウスとアルクメネの息子であり、ヘラにとっては嫉妬の対象である。
そのため、ことあるごとにヘラクレスの邪魔をしていたのだ。
今回のヒッポリュテーの腰布を取ってくるというのもヘラによる陰謀の一環であった。
その試練が簡単に達成されそうなことに嫉妬したヘラはテセウスの一言を利用しようとしたのである。
ヘラはアマゾン族の一人に変身すると、事情を知らないアマゾンの部族へ「ヘラクレスたちが女王を誘拐しようとしている」と触れ回ったのだ。
コメント欄には、「【悲報】テセウス、利用される」「さすがヘラ様、やることが汚い」「ここまで来ると病気っていうか、ヘラクレス大好き説まで出てくるぞ」といったコメントが並んだ。
その夜、女王はヒッポリュテーはアンティオペー他数人を連れてヘラクレスの船団を訪れた。
贈り物を持ったアンティオペーは二番艦へ乗り込み、ヒッポリュテーはヘラクレスの乗る一番艦へと乗り込んでいった。
コメント欄では「アティンオペーちゃん、逃げて、超逃げて」というコメントがひたすらに流れた。
アンティオペーが二番艦に乗ってくると、テセウスはニヤけた顔を見せてきた。
「やあ、アンティオペーちゃん、良く来てくれたね」
「テセウス殿、これが今回の貢物でございます」
アンティオペーが持ってきた貢物を恭しくテセウスへ渡す。
それを面白くも無さそうにぞんざいに受け取ると、テセウスはアンティオペーへと迫っていった。
「うーん、この貢物も素晴らしいんだけど、もっと素晴らしい贈り物が来ちゃったからなぁ」
「な、なにを……」
急にテセウスが迫ってきて腰を抱かれるとアンティオペーは顔を赤らめてしまった。
「赤くなっちゃってぇ。アンティオペーちゃんて初心なんだねぇ」
そんなアンティオペーの反応を楽しみながら、テセウスはアンティオペーへ顔を近づけていった。
「ちょ、ちょっとテセウス殿」
いきなり顔を近づけてくるテセウスをアンティオペーは手で制した。
「どうしたの?あっちの船じゃ、今頃、ヘラクレスパイセンとキミのお姉さんがしっぽりずっぽりしてるんだよ?パイセンには負けるかもだけど、俺だって、そう捨てたもんじゃないだろう?」
そう言いながらテセウスはアンティオペーの身体をまさぐっていく。
「それに、俺はアテナイの王だよ。家の格ならパイセンに負けてないと思うけどなぁ…」
そう言いながら、テセウスがアンティオペーの衣服に手をかけた時であった。
森から鬨の声があがり、ヘラクレス一行へと弓が射掛けられた。
「え?え?何?どしたの?」
突然のことにテセウスもアンティオペーも固まってしまう。
「女王を取り戻せ〜!」
そんな声が聞こえてくると、アンティオペーは焦った。
「大変。みんなを説得しなきゃ」
そう言って甲板に飛び出そうとするが、それをテセウスが止めた。
「テセウス殿、離して下さい。みんなを止めないと!」
「危ないって、外は矢が大量に降ってきてるんだ。こんな状況で出ていったら死んじゃうよ」
「し、しかし!」
テセウスが焦るアンティオペーを押さえていると兵士の一人が飛び込んできた。
「テセウス様、アマゾン兵が!」
「わかってる。錨を上げろ出航だ!」
「はっ!」
そういうと兵士は飛び出していく。
「テセウス殿!?アタイは戻らないと!」
「大丈夫だって、矢の届かないところまで行って、そこから説得すれば良いよ」
テセウスはニヤけながらそう言った。
テセウスの言葉にコメント欄は「うわ、これ絶対信じちゃダメなヤツだ」「コイツ、止める気ねぇだろw」「アンティオペーちゃ〜ん(泣)」といったコメントが乱れ飛んだ。
しかし、アンティオペーを乗せた船は全く止まる気配を見せず、どんどんと進んでいった。
「テセウス殿!これは、いったいどういうことですか!」
「アンティオペーちゃん、ここなら誰にも邪魔されないよ」
「そういう問題では!」
アンティオペーはテセウスにくってかかるが、テセウスはそのままアンティオペーを抱きしめた。
「アンティオペー、キミは美しいよ。さぁ、このまま二人でアテナイまで愛の逃避行といこうじゃないか。僕たちの愛の帆は全開さ。今宵はアフロディテ様も愛の風を吹かせていらっしゃる。そしてボクのマストもビンビンだよ」
そういうと、テセウスはアンティオペに覆いかぶさっていき、アンティオペの悲鳴とともにVTRはブラックアウトした。
コメント欄では「コイツ…ついに越えちゃなんねぇとこを越えやがった……」「しかも、あっさり越えやがったよ、このバカ…」と流石のコメ欄もドン引き状態だった。




