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<EP_013>アンティオペー事件 その1

<登場人物>

アストレイア:正義の女神

イーリス:虹の女神

テセウス:英雄。冥界の椅子に張り付いている

アリアドネ:テセウス被害者の会 会長。テセウスの被害者でもある

メーディア:テセウス被害者の会 顧問。百戦錬磨の魔女

パイドラ:アリアドネの妹。テセウスの被害者

ヘレネ:テセウスの被害者

ペリグネ:テセウスの被害者。シニスの娘であり、メラニッポスの母

パイア:テセウスの被害者。猪を飼ってるオバちゃん

ケルキュオーン:テセウスの被害者。オカマ

アンティオペー:テセウスの被害者。アマゾンの女王の妹。ヒッポリュトスの母

デメテル:豊穣の女神。居酒屋でめて〜るの女将


「さてと、次はアタイだ」

そう言うと、周りの女性陣よりも一回り大きく筋骨隆々であり、右の乳房が切り落とされているのが特徴的な女性が立ち上がり証言台に立った。

「アタイはアマゾン族の女王の妹、アンティオペーだ」

「OK。アンティオペーちゃんだね。んじゃ、VTRスタートするよ。あと、ケルちゃん、そろそろ止めてね。視聴者からクレーム入るから」

ケルキュオーンがおとなしく座るのを見計らって、イーリスは指を鳴らしてVTRをスタートさせた。


アイゲウス王が死に、テセウスがアテナイの王を継いでまもなくのことであった。

アテナイをヘラクレスが訪れた。

「ヘラクレスパイセン、チーっス。どうしたんスか?」

王宮へ訪ねてきたヘラクレスにテセウスが声をかけた。

「テセウスか。アイゲウス王に会いにきたんだが、留守か?」

玉座にテセウスが座っていることを訝しみながらもヘラクレスが尋ねると、テセウスはあっけらかんと言った。

「あー、父ちゃんは俺に王位を譲りたくて仕方ないってんで死んじゃったッス。なんで、この俺が今はアテナイの王なんスよ。パイセン、これからもよろしくするッス」

「そうか。よろしく頼む」

若干、引きつった笑みを浮かべ、ヘラクレスはテセウスに頭を下げた。

「で、パイセン、なんか用ッスか?」

「うむ、実はエウリュステウスからアマゾン族女王の腰帯を取ってくるように命じられてな。アマゾン族との戦争は避けられないと思う。なので、兵を借りにきたのだ」

「そーッスか、アマゾン族スか。確かアマゾン族って女だけの部族ッスよね?……良いッスよ。他ならぬパイセンの頼みッスからね、兵を貸すッスよ。あと、俺も行くッス」

「お前がか?アイゼウス王の喪に服しているんじゃないのか?」

「喪に服すなんて俺のガラじゃねぇっス。アマゾンと戦争するなら捕虜の女がよりどりみどりッスからね」

「ああ……協力感謝する」

テセウスの笑顔に不安を感じながらも、ヘラクレスは礼を言った。

コメント欄では「超大物英雄キタ━━━━(゜∀゜)━━━━!!」「ヘラクレスさん、スッゲェ嫌そう」「そら嫌だろ、こんなのと同行すんの」といったコメントが流れていた。


船がアマゾン族の港に近づいていくと、そこには多くのアマゾン兵が弓を持って待ち構えていた。

それをヘラクレスは険しい顔をして見つめていた。

「うわーっ、マヂで女しかいないんスね。俺、初めて見たッス」

船のへりに掴まりアマゾン兵を興味津々で見ているテセウスへヘラクレスは注意する。

「テセウス。女だからって油断するなよ。彼女たちは強力な戦士だ。油断すれば、こちらがやられるぞ」

「大丈夫ッスよ。ヘラクレスパイセンと俺がいれば鬼に金棒ッスよ。でも、なんで右胸を全員切ってんスかね?」

「弓を射るために邪魔だからだ。彼女たちはそれだけ優秀な戦士ということだ」

「へぇ、もったいないッスね。女の乳は揉んで吸うためにあるのに」

テセウスの言葉に、コメント欄には「……女の敵」「誰かコイツを黙らせろ」といった怨嗟の声が並んだ。

船が接舷すると、ヘラクレスが上陸し、名乗り出た。

「私がこの軍団を指揮しているヘラクレスだ。女王ヒッポリュテー殿と話がしたくて参った。」

ヘラクレスの言葉にアマゾンの中からアンティオペーが前へ進み出る。

「アタイは女王ヒッポリュテーの妹アンティオペーだ。わかった。武勇名高きヘラクレス殿の申し出とあれば女王の元へとお連れいたしましょう。こちらへ」

そういうとアンティオペーに従い、ヘラクレス一行はアマゾン女王の元へと導かれていった。

「パイセン、アンティオペーちゃんって超マブいッスね。俺、チョー好みッス。あの大きくて引き締まったオシリが最高ッス」

「テセウス。俺たちは遊びで来てるんじゃないぞ」

道中、話しかけてくるテセウスをヘラクレスは厳しい顔でたしなめた。


アマゾン族の集落へ到着すると、ヘラクレス一行は一回り大きな家へと通された。

そこには美しい美貌と引き締まった筋肉美を持った女王ヒッポリュテーがいた。

ヘラクレスが跪き頭を垂れると、女王の美貌にみとれていたテセウスも慌てて跪いて頭を垂れた。

「アマゾン女王ヒッポリュテー殿、お初にお目にかかる。ヘラクレスと申す」

「こちらこそ、武勇名高きヘラクレス殿とお会いできて光栄です。どうぞ頭をお上げ下さい」

頭を上げたヘラクレスをヒッポリュテーはマジマジと見つめた。

「それで、何用ですか、へラクレス殿」

女王の言葉にヘラクレスは慎重に言葉を選びつつ答えた。

「アマゾン女王ヒッポリュテー殿。大変、不躾なお願いではあるのだが、その腰布を頂戴したく参った。その腰布がテルモードン一帯を支配する象徴であり、アレスの帯であることも承知している。だが、無理を承知でお願い仕る」

ヘラクレスは跪き、女王へと深く頭を垂れて懇願した。

女王は少し考えた後「いいでしょう」と答えた。

「今、なんと?」

女王の言葉が信じられず、ヘラクレスは聞き直した。

「いいでしょうと申しました。ヘラクレス殿が腰布を所望するなら差し上げましょう」

「ありがとうございます」

ヘラクレスは再び頭を下げる。

「ただし、条件があります」

女王の声が屋敷内に凛と響いた。

「条件とは?」

怪訝そうな顔でヘラクレスは頭を上げる。

「ヘラクレス殿が私と子供を作ることです。ヘラクレス殿との子供であれば、さぞや立派な子供となるでしょう。そうすれば、我が部族を率いることなど容易いはずです。そうなれば腰布など不要。どうです?受けて頂けますか?」

「かしこまりました。それで良ければ条件を飲みましょう」

「ありがとうございます。では、今宵は船にお戻り下さい。私のほうから船へ出向かさせていただきます」

女王の言葉で会見は終了し、ヘラクレス一行は船へと戻ることになった。


「やはり、筋肉。筋肉は全てを解決する……」

ヘラクレスとヒッポリュテーの会話が終わると、ケルキュオーンが立とうとしたが、「ケ〜ルぅ〜」というメーディアの一言に立つのを諦め、再び座った。

コメント欄には「さすが、ヘラクレスさん、マヂパネェッス」「ただの脳筋じゃないよね〜」「で、ここからどーなんだ?」というコメントが流れていた。

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