<EP_010>ナクソス島置き去り事件 その2
<登場人物>
アストレイア:正義の女神
イーリス:虹の女神
テセウス:英雄。冥界の椅子に張り付いている
アリアドネ:テセウス被害者の会 会長。テセウスの被害者でもある
メーディア:テセウス被害者の会 顧問。百戦錬磨の魔女
パイドラ:アリアドネの妹。テセウスの被害者
ヘレネ:テセウスの被害者
ペリグネ:テセウスの被害者。シニスの娘であり、メラニッポスの母
パイア:テセウスの被害者。猪を飼ってるオバちゃん
ケルキュオーン:テセウスの被害者。オカマ
アンティオペー:テセウスの被害者。アマゾンの女王の妹。ヒッポリュトスの母
デメテル:豊穣の女神。居酒屋でめて〜るの女将
こうして、テセウス一行はナルソス島に留まることになった。
アリアドネの症状は一向に良くならず、わずかな水分を取るのが精一杯の状況になっていった。
デュオニュソスはそんなアリアドネを心配し、毎日、二人の元を訪れ、アリアドネの看病を甲斐甲斐しく続けていった。
そんなデュオニュソスを見ながら、テセウスはあることを思いついた。
「それじゃ、お大事ね」
心配そうな顔をしながら名残惜しそうに帰ろうとしたデュオニュソスをテセウスが呼び止めた。
「デュオニュソス様。いつもありがとうございます」
「ん?いいんだよ。美しい彼女を失うことは全世界の芸術への冒涜だよ。しっかり休ませてあげて」
そう言うと、デュオニュソスは衰弱して横たわっているアリアドネを見た。
「デュオニュソス様、そこで提案があるのですが…」
テセウスはニヤリと笑うと揉み手をしながら切り出した。
「そんなに彼女をご所望でしたら、お譲りしますよ」
テセウスの提案にデュオニュソスは驚いた顔をした。
「え?いいのかい?あんなに美しくて、キミの子供を身ごもってる彼女を差し出すというのかい?」
テセウスはさらに顔をニヤけさせ答えた。
「そりゃあ、オリュンポス12柱の一人のデュオニュソス様がお見初めになられたなら、断腸の思いではございますが、お譲りするほかありません」
「そう……」
テセウスの意図を計りかねてデュオニュソスはテセウスをマジマジと見つめてしまう。
「それで、私としても最愛の妻を差し出すのですから、それなりの見返りをですね……いただきたいと思いまして……」
テセウスは揉み手をしながら笑みを浮かべてくる。
「何が欲しいの?」
そんなテセウスを軽蔑の目で見ながらデュオニュソスは聞いた。
「なに、デュオニュソス様のご加護を私に授けていただけませんかね?常勝不敗となる加護なんか頂きたく。それ以外でも、オリュンポス12柱の一人であらせられるデュオニュソス様のご加護を賜れば、それで十分でございます。いかがでしょう?」
下卑た笑みを浮かべるテセウスとアリアドネを交互に見ると、デュオニュソスはため息をつくと答えた。
「わかったよ。キミにボクの加護を授けるよ。その代わり、彼女は貰っていくよ」
「ありがとうございます」
テセウスが満面の笑みで空々しく跪いて頭を垂れると、デュオニュソスは汚物を見るような目で見下しながら、テセウスの頭に手を乗せた。
デュオニュソスが触れるとテセウスの身体は光り輝き、やがて光が収まった。
「はい、終わり。これでキミには常勝不敗の加護を授けたよ」
「ありがとうございます」
そう言うと、テセウスは辛そうに寝ているアリアドネを見ようともせず、船へと乗り込むと意気揚々と出航していった。
デュオニュソスはそれをニヤリと笑って見送ると、アリアドネを抱え上げ、レームノス島の神殿へと飛び去った。
VTRが終わるとコメント欄には「コイツ、ホントに人か?」「クズ過ぎる…」「ただの人身売買……」といったコメントが溢れかえった。




