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<EP_001>地獄の蓋が今開く

<登場人物>


アストレイア:正義の女神

イーリス:虹の女神

テセウス:英雄。冥界の椅子に張り付いている

アリアドネ:テセウス被害者の会 会長。テセウスの被害者でもある

メーディア:テセウス被害者の会 顧問。百戦錬磨の魔女

パイドラ:アリアドネの妹。テセウスの被害者

ヘレネ:テセウスの被害者

ペリグネ:テセウスの被害者。シニスの娘であり、メラニッポスの母

パイア:テセウスの被害者。猪を飼ってるオバちゃん

ケルキュオーン:テセウスの被害者。オカマ

アンティオペー:テセウスの被害者。アマゾンの女王の妹。ヒッポリュトスの母

デメテル:豊穣の女神。居酒屋でめて〜るの女将


「いらっしゃいませ〜」

居酒屋のドアが開かれると、バイトのニンフが元気良く出迎えた。

ここは「居酒屋 でめて〜る」。

天界にある、神々が集う居酒屋である。

美人の女将デメテルが美味いネクタルとアンブロシアを提供してくれると評判の店であった。

「あの〜、予約しておいたアリアドネなんですけど」

入ってきたアリアドネがニンフに告げると、ニンフは満面の笑みを浮かべた。

「はい。承っております。ご予約のアリアドネ様ですね。こちらへどうぞ」

「ご予約のアリアドネ様、いらっしゃいました〜」ニンフは厨房へ声を張り上げると、アリアドネを先頭に入ってきた一団を奥座敷へと案内していった。

奥座席には数人のニンフが水晶玉の調整などをしており、テーブル上にはすでにお通しのアンブロシアが人数分並んでいた。

アリアドネが案内をしてきたニンフに人数分のネクタルを注文すると、程なくしてネクタルのジョッキが運ばれてきた。

画角を調整をしていたニンフが、アリアドネにキューサインを出した。

ニンフのキューサインを受け、アリアドネは高らかに宣言する。

「は〜い、視聴者の皆さ〜ん、こんばんは。『アリアドネのお酒でGo!』始まりました。今回は居酒屋でめて〜るから、好評の『テセウス被害者の会』をライブ配信しようと思いま〜す」

アリアドネが水晶玉に向かって手を降ると参加者から拍手が起こった。

配信がスタートすると、コメント欄も「アリアドネちゃん、可愛い」などと盛り上がり始めた。

「ちょい待ち」

そのまま進めようとするアリアドネをメーディアが制した。

「どうしました、メーディア姐さん?」

アリアドネはキョトンとした顔でメーディアに聞き返してしまう。

「ウチは女子会って聞いてきたんやけど、なんでアイツがおるん?」

メーディアは親指で、一人大きな身体をした男、ケルキュオーンを指した。

「あら、メーディア姐さん。それはないわぁ。アタシだって心は乙女よん。女子会に参加しても良いでしょう?」

メーディアの言葉にケルキュオーンは巨体をクネクネとくねらせて答えてきた。

その姿に全員がげんなりとした顔を見せた。

「ああ、いいんですよ。ケルキュオーンくんは、テセウスの野郎の被害者なんで参加して貰ってOKなんですよ」

アリアドネはあっけらかんと答えていく。

「や〜ん、アリアドネちゃん、ケルキュオーンくんなんて呼ばないで。ケルちゃんって呼んで」

ケルキュオーンはますます巨体をくねらせながら、後ろにハートマークでも付けそうな勢いで話したため、全員が吐きそうな顔をした。

コメント欄も「場違い過ぎる……」「キメェ……」などのコメントが付く。

「そ、それでは、『テセウス被害者の会』を開催したいと思いま〜す!カンパーイ!」

若干、引きつり気味のアリアドネの声に全員がジョッキを掲げると一気に飲み干していった。

アリアドネが水晶玉に向かって、今回、全員に振る舞われているネクタルの種類や味などを解説し、場所となっている居酒屋でめて〜るの説明などをしていると、全員がジョッキを飲み干し、二杯目が届けられた。そして入口の襖が開けられ、ニンフが「お連れ様が来られました」と告げた。

再びアリアドネが立ち上がり、全員を手で制する。

「皆さ〜ん、ちょっと手を止めて下さ〜い。今回は〜スペシャルゲストをお呼びしましたぁ〜。どうぞ〜!」

アリアドネの声とともに、入口の襖が開かれ、イーリスに背中を押された、きっちりとペプロスとヒマティオンを着込んだアストレイアが入ってきた。

アストレイアの登場を全員が拍手で出迎えた。

アストレイアの登場に、コメント欄では「ガチ裁判官キタ━━━━(゜∀゜)━━━━!!」や「素顔のアストレイア様、尊い」「イーリス様、ガチ有能」など大騒ぎとなっていた。

「ささ、どうぞ、アストレイア様」

アリアドネは上座をアストレイアとイーリスへと勧めていった。

「今回のスペシャルゲスト〜、正義の女神アストレイア様で〜す!」

「「「Yeah!!」」」

アリアドネの紹介に全員が再び大きな拍手を送った。

あまりに場違いな場所に連れてこられてアストレイアは困惑してしまう。

「お、おい、イーリス。なんだ、ココは?」

隣に座ったイーリスへ小声で聞いてしまう。

「ん?ここは居酒屋でめて〜るだよ?ハーデス様から聞いてるでしょ?」

イーリスは不思議そうな顔でアストレイアを見てきた。

「いや、それは判るんだが…」

なおもアストレイアが困惑していると、アストレイアとイーリスにもネクタルのジョッキが前に置かれる。

「い、いや、私は…」

公務と思っていたためアストレイアが別の飲み物を頼もうとするが、イーリスがそれを止めた。

「いいから、いいから。今日の公務はお終い。飲も!」

そう言うと笑いながらジョッキを持った。

アストレイアが渋々ながらジョッキを持つとアリアドネは再び宣言した。

「さて、正義と裁きの神アストレイア様が来たということは〜、恒例のぉ〜、『チキチキ・テセウス糾弾会』をしていきま〜す。ではカンパーイ!」

「「「Yeah!」」」

アリアドネの言葉に女性たちはジョッキを飲み干し、ニンフたちがアンブロシアをテーブルに並べはじめた。

水晶玉を確認したイーリスが声をあげた。

「うわっ、同接20万越えた。さっすが、アストレイア。数字持ってるぅ〜」

「いや、あの…」

イーリスの言葉にアストレイアはますます困惑してしまう。

ネクタルのピッチャーもテーブルに並べられ、地獄の女子会が始まった。


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