灰王転生 − 剣舞魔法の継承者

処刑台の火が上がる瞬間、彼は目を開いた——前世で剣道を嗜んだ日本人・桐生廉は、異世界の王国で「灰王子」と呼ばれた若き王子レン・アッシュレインの身体に転生する。王都炎上の“贖い”として焼かれるはずだった青年は、足裏の拍を数え、刃と詞（ことば）を重ねる古い技法「剣舞魔法（けんぶまほう）」で炎の流れをずらし、運命を踏み外した。

剣は舞い、魔法は拍で増幅する。四拍・六拍・八拍——舞節（まいぶし）に沿って体を通した詞が、風・火・土を刃に宿す。灰王子に刻まれた“灰紋（かいもん）”は呪いか加護か。宮廷の陰謀と辺境の魔獣災に挟まれながら、レンは古代に失われた剣舞を継ぎ、奪われた王名を取り戻す。

最初の敵は、足場と拍を乱す“合図の奪い”。剣と魔法の間（ま）を取り戻せ。——灰から立つ者の物語、ここに開幕。