ハーネス
「また、そんな無茶して!」聞くなり楊世が怒る。
オカルト倶楽部で集まると皆心配する。
「大学の推薦なんて、今皆が1番ピリピリしてるのに〜
アンタ殺されるよ!本当に!」サキが怖がる。
「え〜っ、そこまでしないでしょう?」夏希は鼻で笑う。
今はとにかくやさぐれてる。
なんで部活頑張っただけで、こんな目にあうのか?
まだ楊世と仲良いのでイジメられる方が納得できる。
ヒロはニヤニヤしてて心配になる。
「あんたこそ、推薦だけでいけるか心配なんだから勉強しなよ!」夏希が機嫌悪いので噛みつく。
「俺はスポーツ推薦だから大丈夫〜
俺の試合見たことないだろう?」ヒロは余裕ぶっこいている。
マリアちゃんの写メばっかり見てる。
後からハーネスを付けられた。
「えーっ、さすがに学校はやめてよ!」楊世に文句を言う。
「いや、さっきの話だと校内もヤバイよ。後は帰るだけだし、そんなに見られないよ。」
やはり普通に肩も腰回りもホールドする本格ハーネスを楊世は買ってきたみたいだ。
サキとヒロが見て笑う。
「知ってるか?俺らって桃太郎軍団と言われてるんだぞ。
楊世が桃太郎でサキがキジ、俺が猿、お前は犬だって。
仕草とかソックリだもんな!昔から渋谷のハチ公見るとお前が浮かぶ。」猿が犬を笑う。
サキが今から中目黒のダンス事務所に練習行くので早めに学校を出る。
エントランス階段横の職員室の前をチラッと見ると悩んでる子達がウロウロしてる。
「チクった子は絶対内緒にするよ〜安心して!」と叫ぶ。
「吠えるな!」楊世に頭を叩かれた。
その様子を日高明奈が見ていた。
「あ〜っ、恥ずかしいよ〜なんか問題ある子みたいだよ〜」夏希は月島商店街の中をこれで歩かされる苦痛に涙出そうだ。
「でも、本当に空飛んでる時ヤバかったもんなあ〜
あれが電車のホームとかだったら、ゾッとするしな。」
ヒロとサキにもトラウマなのか、ハーネスに全然ツッコミんでくれない。
下校時間なので学生がゾロゾロ駅へ向かって歩いてる。
横断歩道を渡れば地下鉄の入り口だ。
4人でガヤガヤ話しながら信号を待ってると急に背中を押される。
「もう、またか!」と思ったが、そんなキツくなく1歩前に傾いただけだった。
が、大型トラックのタイヤが頭ギリギリをかすめる。
一瞬の事に楊世も対応出来なかった。
「そんなデカい車が来てるの見てなかった…普通車だろうとタカ括ってた。」楊世が呆然としてる。
4人が立ち止まってる内に信号は青に変わり、生徒達の流れが駅構内に流れ込んでいく。
悲鳴すら上げるヒマがなかった。
「頭だけ持って行かれるとこだったな…夏希…」ヒロが真顔になってる。
「もう、やめてよ〜怖すぎるよ〜」サキが泣きそうな顔になっていた。