水圧
「あ〜それはね、船底が普通の船と違うんだよ。
平らなんだよ。」受付のお姉さんも分からなかったらしく操縦する元漁師のおじさんに代わってくれた。
「平らだと人が沢山乗っても浮力で押し返されるから
団体客が乗せれるのさ!波さへ無ければ安定してるしね。
でも波があるとこだと危険すぎるから普通の船は丸い船底なんだよ。」おじさんが説明してくれる。
夏希は物理が苦手なんでイマイチ分からなくてポカンとしてる。
なんとか楊世とサキが頑張ってる。
ヒロは沈没してる…
「つまり…平らな船底にはその船の重さ並の水圧が掛かってる…って事だよ。」楊世が他3人に説明する。
「分かってるね!お兄さん!
そう、屋形船の下に入り込んだら絶対逃げられない!
普通の人間は1ミリも身体動かせないね。危ないんだよ。だから、酔ってお客さんが船上で消えたりしたら焦る焦る♪」とおじさんは笑って教えてくれた。
楊世が少し考えておじさんに質問する。
「もし、屈強なスポーツマンなら船底から脱出出来ますか?」
「そうだね〜オリンピック選手くらいの人なら時間掛ければ脱出できるかもしれないが…息が続かないんだよね〜」おじさんが首をひねって無理じゃないか?みたいな顔をした。
楊世以外、ほぼ理解できていないのでマックで説明を受ける。
「リュックサックが入れられそうな場所はサツキの植え込みにあった。サツキは日が入らない中の方は意外と枝が無いんだね。空洞になってた。知らなかったよ。」
夏希が語る。
「問題は、船底だ!楊世しか理解できてない、絶対!」ヒロが楊世にすがりつく。
「多分、警察もヒロに圧迫痕を聞いたと言う事は屋形船の船底の水圧が想像出来てなかったんだよ。
背中に船を背負ってるようなもんなんだ。」楊世が分かりやすく説明してくれる。
「丸い船底ならまだ水圧が分散して逃げれるけど、平らな屋形船の船底は脱出不可能なんだ!」楊世が真剣な顔してるので、高校の前の運河には実はとんでもない危険なモノが浮いてるらしいと分かった。
「じゃあ、2人で運河に飛び込んで〜そこに屋形船が入って来て思わず水に潜って避けたは良いけど船底に
身体が張り付いて身動き取れなくなって吹石先生は溺死したのね?」サキが状況を説明してくれる。
「じゃ、小林先生は?どうやって脱出したんだ?」ヒロが聞く。
楊世が携帯で「ミニ酸素ボンベ」と検索すると、腕に装着できるくらい小さな酸素ボンベの画像が出た。
「推測だけど、これならジャケットの袖に隠せる。
花束で注意を逸らして飛び込めば、アメフトやってた小林先生なら時間掛けて脱出できる。」
楊世が分かりやすく説明してくれた。
「だから、花束…ブーケが必要だったんだ…小林先生、
アメフトやってたの?」夏希が驚く。
「うん、体育祭で演舞教えて貰った時にあんまり筋肉が凄いから聞いたんだ。
そしたら大学ではアメフトやってたって。」夏希は先生に全然興味なかったので知らなかった。
「だとしたら、今、月島署では可能かどうか実験してるだろうね。
花束しか物証がないわ!
凶器がない殺人だから、本当にあの花束だけが唯一の手がかりだったんだ!」夏希は、背筋が凍りつく。
王麗明に操られて皆が舞台を踊る。
そして、私もその1人なんだ。