普通じゃない幸運
今夜はまた2人きりだ。
日曜日は皆で夕食囲めるが、平日は2人っきりで夕食食べることが多い。
食後片付けが済んだら、楊世は夏希を足の間に抱えてゲームをしてる。
絶対モニター見づらいと思うのだが…
このタイミングで、キスとかしてくれないかなあ〜と
何度も後ろを振り返るが
ゲームに集中してるのか?全くだ。
そんな濃厚なのは要らないのだ。
あの冥府ハデスでも出来る、軽いフレンチキスを
して欲しいのだ!
普通のカップルみたいな事がしたいのだ!
首輪つけたり犬のマネとかじゃなく!
でも、あんなハーレム状態で普通の感性なら小林先生みたいに食べ放題になるのが自然な気がする。
それが全く起きないのは、楊世の女性の嗜好や性癖が
全く異質…『変態』だからだろう。
「こうやってゲームしてると落ち着く〜」と言いながらも
決して視線は画面から離さない。
これでは夏希からキスして、視界を遮ったら怒られそうだ。
『ハア、無理なのかなあ〜?』楊世の足の間から出て
テレビをつける。
映画のクライマックスで、女の人が主人公に口づける。楊世の方見るが、全く見てない!
「このままじゃ、私のファーストキスは王麗明になっちゃうよ〜モリアーティ教授がホームズと付き合ったらダメでしょ!女子高生探偵が悪のカリスマとキスしちゃダメでしょ?」
必死で心で念じるが、全く楊世が気付く様子はない!
『いっそ、キスされたと言うか?』最悪な悪手な気がする…
どうしたらキスしてもらえるんだろうか?
「そう言えばさ、今日キスされそうになったんだよ。」
急に楊世が話し出す。
あんだけ囲まれてたら、女だって襲ってくる子も居るだろう。
「そしたら、他の子がその子をビンタしてた。
女の子も恐いよなあ〜」と楊世が笑ってる。
『こ、これは!本当に時間の問題では無いだろうか?』夏希は真剣に考える。
目にゴミがあ〜とか、王麗明を見習ってありがとうのキスとか何とかできないか?
ふと思いつく。
「犬ってたまにじゃれるじゃん?顔面よくなめられてるじゃん?人が。
私もじゃれて良いんだよね?」夏希が聞く。
「うん、いいよ!おいで!」楊世が両手を広げてる。
チャンス来たーっ!
夏希は飛び込んで顔面にキスしまくる。
「くすぐったいよ〜」と無邪気に喜んでる楊世の口を口で塞いだ。
一瞬、時が止まる。
特に楊世からリアクションないので、口を離す。
「ダメ?怒った?」心配になって聞く。
「ううん、良かった。もう1回して。」リクエストを貰ったので今度はゆっくり口づけた。