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ルール説明

この話はフィクションです。

実在の人物・団体・集団・組織とは関係在りません。

『えー、水都市立西水都高校の諸君。この高校は我々が乗っ取った。抵抗は無意味だ。……諸君ら生徒は、我々が体育館に集めさせてもらう。おかしな真似は止しておけよ……こちらは武装しているのだからな』



 俺たちを混乱の極みに叩き落したのは、昼休みに突然流されたこの放送だった。昼休みは、基本的に役員みんな生徒会室に集まる。今日も例に違わず、ゾロゾロと集まった次第だ。隙あらば攫おうとするスグルに南が怯えて、それを見ながらソウが興奮し、ナコが悪乗り。一歩離れた位置から俺と能登が見守る……と、本当にいつも通りの昼食風景だった。……え?普通じゃない?……言わないでくれ。俺だって、こんなのが日常だなんて思いたくねぇんだよ……。


 ごほん。話がそれたが、とにかくその日の昼休み。いつも通りに過ごしていた俺たちは、この放送で非日常のど真ん中へとまっしぐらなわけだ。放送を聞く限り、俺たち以外の生徒はみんな体育館に集められたらしい。見つかるのも時間の問題だと思っているんだが、なぜかなかなかやってこない犯人たち。俺たちの存在に気付いてないのか……?



「それにしても、先輩。なんだか大変なことになっちゃいましたね」


「なんだ、お前は冷静なんだな、ナコ。」


「実感湧かないって言うか……なんと言うか、夢を見てるみたいって感じですか?テロとかってニュースの中だけのお話だと思ってたから、自分が巻き込まれるっていうヴィジョンが掴めないんだと思います」


「……お前がいつになく真剣でいる様子から、なんだか実感が湧いてきたんだが」


「ど、どういう意味ですか、ソレ!?」



 むぅーっと膨れるナコを放っておいて、みんなに目を向ける。現状ではどうしようもないの一言なのだ。みんなはどんな状態なのだろうか。



「あわ、あわわ、あわわわわわわ」


「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」


「そうだ……今ならイケル。さぁスグル。どさくさに紛れてやっちまえ……!」


「この緊急事態に何をしとるんじゃお前らはぁぁぁっ!!」



 普通に普段と同じメンバーたちだった。涙目の南に迫るスグル。そんでそれを煽っている黒幕のソウ。ホント、こいつら大丈夫なのか?



「なぁ、ヒカリ。俺たちがここに居るのに、犯人たちが気付かないって事は……ありえるのか?」


「いや、100パーセントない……とは言い切れんが、少なくともここを調べるくらいはすると思うんだわ。玄関前っていうかなり目立つ位置にあるし」



 唯一まともな能登と意見交換する。この高校は玄関入ってすぐのところに事務室があり、その脇に我らが生徒会室があるのだ。ちなみに階段は玄関入って右手にあり、地下は倉庫、上は2階が一年生、3階が2、3年生の教室となっている。食堂や購買は玄関入って左手。実験室や視聴覚室のような特別室は4階だ。敷地面積が狭いからか、縦に長い設計をしている。


 まあつまるところ、生徒会室を見落とすなんてことは、ノウタリンな人じゃない限りありえないということ。なぜ見に来ない?というより、俺たちの学校は本当にジャックされているのか?



『あー、あー。テステス』


「「「「「「……!!」」」」」」



 再び流れる放送に、みんな自然と顔が引き締まる。いつもはふざけてるけど、こいつらも非常時には真剣になるんだな。そんな場違いなことを考えながら、次の言葉に耳を傾ける。



『えー、校内に隠れている生徒さん方。ゲームを提案いたします』


「はっ?」



 突然の、脈絡のない宣言に度肝を抜かれる。そういえば、こんな小説があったなあ……有名な高校の特進クラスの奴らが、テロリスト達とパズルのピースを巡ってゲームするやつ。なんだ?模倣犯みたいなヤツなのか?もしそうならかなり頭が逝っちゃってる連中なんだが……。



『我々は教室に残っている生徒のみ、体育館へ連行いたしました。なぜ、全員ではないかというと、ゲームをするためでございます』



 その慇懃な話し方が、やけに不気味に感じる。いつもは温かみを感じる生徒会室が、無機質な冷たさを放つコンクリートの塊に見えて仕方がない。どうやら、完璧に予想が当たったようだ。



『ゲームの内容は簡単……単なる鬼ごっこです。ルールは至ってシンプル。明日の昼12時まで逃げ切ればあなた方の勝利。捕まれば、死の旅へご招待』


「……え?」



 不意に聞こえたその単語。あまりにも自然に発せられたそれは、酷く冷たく感じる。予想的中なんてとんでもない。予想よりも、はるかに逝っちゃってる。



『さて、言葉だけでは信じられないでしょう……そこで!ゲストの方に来て頂きました。どうぞ、校長先生』


『き、キミ達!何が目的で公立のこんな学校を……』


『聞いていらっしゃいますか、みなさん?では、あなた方によりスリリングな時間を提供出来ますよう、ここであなた方の未来を擬似的に実演致しましょう♪』



 待て……何をする気だ?おい、まさか……。察しがいい俺は、瞬時に理解した。これから行なわれようとしている、犯人たちの『見せしめ』を。



『ま、待て、話せば分かる……だからそれをしまって』


『Good Bye♪』


『あ、あ″あああああああぁぁぁぁぁぁぁ!!』


『おや……外してしまいました♪心臓を一発で打ち抜くつもりだったんですが』


『あが、ああぁぁ……!』


『うふふ、胃に穴が空きましたね。何かいやなことでもあったんでしょうか?……ご理解いただけましたでしょうか?我々は、あなた方を殺すことなどに戸惑いません。性質たちの悪い冗談だと思っている人は、現実を見つめてください。すぐに終わってしまうと、面白くないですから♪』


「……狂ってる」



 校長の絶叫……いつも朝礼で聞いていたあの身近な声は、マイクのむこうで今も苦痛に苦しんでいる。南は泣き出してしまったし、他の役員たちも顔を青ざめさせている。いや、まぁ……当然か。俺だって口はカラカラに渇き、膝は大爆笑してチアノーゼを起こしちまってる状態だ。むしろ、どうして思考はこんなに冷静なんだと誰かに聞きたい。



『コレはゲーム!コレは鬼ごっこ!コレは狩り!コレは逃亡劇!追う者と追われる者の喜劇でございます!さぁ、水都市立西水都高校の隠れているみなさん……………………無様に、滑稽に、面白おかしく、逃げ惑ってください』



 本当に……狂ってる。

ああ、3連休終わったら更新があんまり出来なくなるなぁ……orz

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