陰キャの下校はシュミレーションゲーム
20XX年9月17日、学生が一番楽しみにしている金曜日がやってきた。金曜日は誰もがハッピーで、授業中はずっと明日何しようかと考えている。帰りのホームルームが終わり、ニコニコしながら帰っていると、横の道から陽キャ男子の集団が大声を上げながら出てきた。人数は六人くらいいて横並びに歩き道を塞ぎだした。カタカナの「ト」みたいな道で斜めの道から出てきた。直線の道を歩いていた私からしたらとっても気まずい。金曜日くらいゆっくり帰たいと思い、仕方なく一旦戻って別の道を使おうとしたら後ろから高くて大きい声が聞こえてきた。陽キャ女子である。陰キャの敵は男子だけでなく女子も対象なのだ。当然戻れなくなり、私は挟まれたのだ。こんな時、困ってあたふたしてしまうのが陰キヤである。でも私は違う。一人の下校で培った判断力と知恵と視野を活かし、安全にかつストレスなく帰る。これは戦略的陰キャである私のシュミレーションゲームのお話。
まずなぜ陰キャは腸キャを避けたいのか、理由は共通かつ単純で"気まずい"からだ。陽キャの横を通る時陰キャは必然的に自分が話のネタにされていじられると際手に妄想するから横を通りたくないと思ってしまう。実際陽キャは身内のことしか気にしておらずクラスの隅っこの陰キャなんて全く興味が無い。でも自分がいじられると勝手に妄想してしまうのが陰キャなのだ。陰キャは、陽キャよりも先に帰って楽をする帰り方と、陽キャよりも後に学校を出て陽キャの行動に合わせて帰る二パターンある。どちらもデメリットがあり、前者は足が疲れる。大体歩幅1.5歩、秒速3歩のペースで歩かないと安全に帰れない。後者は後ろを気にしないといけない。挙動のおかしい歩き方を後ろから見られたら、学校中に広まりいじられる、と妄想してしまう。今回は前者の陽キャよりも先に帰るというパターンをとったはずなのだが、彼らは四五分の七の確率で起きる「掃除を早く終わらす」という技を発動したようだ。当然そんなの予測できず、ダメージを食らってしまった。だが陰キャは帰り道のルートを
いくつか用意しているため、正直安全に帰れる確率は100パーセントなのだ。私のルートは九種類、要は九個技を持っているため完全に勝てる。今通っているルートだとこの先使えるルートは四ルートもあるためなんとか攻略出来そうだ。技はあっても敵の属性や特徴を理解しなければ使えない。前の陽キャ男子は歩く速度が遅く、うるさい。前を越す勇気なんて当然ない。後ろの陽キャ女子は普通(歩幅1歩、秒速1.5歩)より少し早く、歩幅1歩、秒速2歩で歩く、これは戦略的陰キャならわかるが、この多少な差はとても大きく自分で歩く速度を調整しなければならない。遅い陽キャ男子と速い陽キャ女子、その間にいる私はこのままだと挟まれとつっっても気まずい、私の下校は、これで終わる・・・
まぁ、もう一度言うがこれはただの陰キャ。私は戦略的陰キャなので落ち着いて別ルートを使うことにした。この先には横断歩道があり、これを使って帰ってもいいが赤信号を待つ時に距離を詰められてしまう。仮に陽キャ女子が同じ信号を渡るとしららそんなの地獄でしかない。なぜなら陽キャ女子が信号にたどり着いてもまだ赤信号だった場合"2+1現象"というもとが起きてしまう。まるで三人で下校する時二人で話し出して1人が会話に入れないという大きな孤独感と同じものを感じてしまう。だから横断歩道は無視してもう少し先のルートを使うことにした。私が今通っている道の先はまたしてもカタカナの「ト」みたいな道になっていて、右が横断歩道。
陽キャ男子は真っ直ぐ進んで帰る。でも私は右の横断歩道を使うわけにも行かない。横断歩道の横に来たその時、奇跡的に信号が青になっていた。なので私は右の道を使うことにした。まるでチーターが獲物を追うような速度で言
号を歩いて渡り、ひと段落ついた。
だがここで安心してはいけない。この道は自分の家まで「家に帰ってゲームをしている時いつ宿題をいつするか」を決める時くらい長い。ただでさえ長い道なので、ゆっくり歩いていたら結局陽キャ男子と接触してしまう、私はそれを瞬時に0.21秒で考え、歩幅1.5歩、秒速3歩で歩いた。いや、どちらかというと競歩だ。この気持ち良い金曜日を無事に終わらせるには何としても陽キャ男子を避けなければならない、私はその一心で進んだ。まるで金魚すくいの時金魚をすくおうとした時ものすごい勢いで逃げる金魚のようにとても早歩きでひたすら進んだ。この歩き方は数分もすれば足に負担がかかりだんだん遅くなる。F1のスポーツカーで何千キロも走るのと一緒で次第にガソリンは無くなっていく。
この先はアルファベットの「T」みたいな道で私は真っ直ぐ進んだ後右に曲がらなければ帰れない。曲がり角で速度を落とし、陽キャが来るであろう左をチラッと見てすぐに自分の行く方向を見て進む。その時私は一瞬で視認した風景を脳に残し、脳内で調べる。大体どれくらいの距離に人がいるのか、それは敵なのか、そこまで計算して初めて安全な状態に戻るのだ。私はここまで来たらゆっくり帰り、家のドアの鍵穴に鍵を差し込みドアを開ける。そしてドアを閉め鍵を閉めて、このクエストはクリアするのだ。
最後に、君がもし私のような状況になった時、同じ行動をすぐさまとれるだろうか。一般的には不可能である。
挟まれたり、横を通り過ぎようとしたりと、後になって後悔してしまう帰り方をするのが一般人。でもそれを戦略的に考え成し遂げるのが戦略的陰キャなのだ。長い時間をかけ道や建物を理解し、その知識・記憶を応用してスムーズに帰れて初めてクエストクリア。こんなシュミレーションゲーム、誰もやらないだろうが、これもまた一つの青春なのだ。