表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
サモナーズロード ~召喚士の王~  作者: 糸音
GAME4 最悪の魔人とゼロスキルの戦士
58/95

仲間にはならない。が――


「「あのさ……」」


 二人同時に会話を切り出してしまい、二人は慌てて言葉を引っ込めた。


「先言えよ」


 豪が発言権を譲り、「それじゃあ……」と聖也が口を開く。

 

 謝りたいこと、と言っても、大方予想はついている。

 豪は気まずそうに、上目遣いで自分の様子をうかがってくる聖也を、横目で見ながら言葉を待った。


「ボコボコにしてごめん」

「謝る気あんのかお前」


 もうちょっと言葉を選べや。言葉を。

 殴ってごめんとか、怪我をさせてごめんとか他にあったろう。なんだボコボコって。ボコボコって。

 自分の惨めさを引き立てるようなワードに、思わず豪が嚙みついた。


「しょうがないだろ! 殴ったのは悪いと思ってるけど、僕はお前の事許したわけじゃないぞ!」

「ああ⁈ どういう意味だてめえ?!」

「僕のことを悪く言うのは構わないけど、僕の大切な人を引き合いに出すのは違うだろ‼」


 正論を突き付けられ、「ぐ……!」と豪が怯む。


「……謝るから、謝れよ……‼」


 なんでお前がちょっと泣きそうになってんだ。

 ムキになって拳を震わせながら、唇をかみしめる聖也に、豪は弱弱しい声で「ごめん」と言った。

 少し間をおいてから、聖也も「こっちもごめん」と返す。


 聖也の気が収まったのか、顔を上げたところで、「だがなあ!」と豪が指を突き付けた。


「両親死んでるなら最初から言えや! お前が誰にも言わねえから、クソ見てえな暴言を吐くハメになったんじゃねえか! 予め知っていたら、こっちだって言葉選んで暴言吐いたわ!」

「そもそも暴言吐くなよ⁈」

「うるせえ! 少しは吐かせろ‼」


 無茶苦茶な返答に、聖也は呆れながらも、「言えるわけないだろ」とボソボソと続ける。


「……自分の親を殺したなんて、言えるわけないだろ」

「……そりゃ結果論だろうが」

「それでも結果は結果だ。……事実が変わるわけじゃない」


 ああそうか。と豪は心の中で相槌を打った。

 両親が死んだ事故はただのトラウマじゃない。聖也にとっては、一生消えない罪の十字架だったんだ。

 他人に話すことも、自分で口にして思い返すことも怖かったんだろう。

 もしも自分が同じ立場だった時のことを考えれば、胸が刺されたように痛む。


「……それでも言えよ」


 棘を含みながらも、少しだけ温かさのこもったトーンの言葉に、聖也が思わず顔を上げる。


「お前……周りから、金がないだけの裕福なヤツだと思われてるぞ」

「……そっか」


 豪の言葉で、周囲のイメージが、自分の思っていたものよりもズレていたことに気が付いて、聖也が小さく頷いた。


「それは、嫌だな」

「だろうが」


 互いに、取り敢えず言いたいことを言い終えたのか、二人は黙ったまま何も言わなくなった。小さな環境音が鮮明に聞こえるほど、静寂とした空気だった。


「……ねえ、この先どうするつもり?」


 静寂に耐えかねた聖也が、話題を変える。


「少なくとも、お前の仲間にはならねえ」

「そうか。それは残念」


 つれない態度に、聖也は苦笑して息を漏らした。

 

「……消えるなよ」

「んだそりゃ。 心配してくれんの?」

「当たり前だろ」


 ワザとおどけて返した豪に、聖也は真剣な表情で向かい直った。


「仲いいわけじゃないけどさ。消えていい人間じゃないでしょ」

「……」


 こういうセリフを真っすぐ吐けるのが、天性の誑したる所以かね。

 どこか名残惜しそうに、背を向けて去ろうとする聖也を、「待てや」と豪が呼び止めた。


「テメエはムカつくやつだけど……、あのジークってやつはもっとムカつく」

「……?」

「その、あれだ。……今の敵は、同じってことだ」


 何を恥ずかしがっているのか、豪がポケットに手を突っ込みながら、大げさに天を仰ぐ。


「……仲間にはならねえが、協力はしてやってもいい」


 キョトンと目を丸くしてから、聖也は嬉しそうに表情を明るくさせて、豪の元へ駆け寄った。


「正直待ってた! その言葉!」

「うるせえバカ。一生待ってろ」


 無邪気に手を差し出してくる聖也を、一瞬だけ横目で見てから、豪はめんどくさそうに手を握り返す。

 力強い聖也の手に対し、豪はほんの少しだけ手に力を込めて、握手を返したのであった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ