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サモナーズロード ~召喚士の王~  作者: 糸音
GAME4 最悪の魔人とゼロスキルの戦士
48/95

【増素界門(マスゲイト)】と【隔娄界門(ヘルゲイト)】

ちょっと風邪をひいてしまったので、明日の投稿ができるかわかりません。

朝起きて元気なら続きを仕上げて投稿します。


無理だった場合はごめんなさい(;´Д`A ```

「全員、その場に留まるな! 動け!」


 聖也が叫ぶと、那由多とアーサーは困惑しながらもその場を離れる。


「敵はあの建物の屋上! 射程無限のライフルで、壁をすり抜ける弾を撃ってくる! 透視能力を持つスコープを装備してるから、壁裏に隠れても無駄だ!」

「「――はぁ⁈」」


 聖也の説明に那由多たちが、ふざけんなと言わんばかりの悲鳴を上げた。


 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


狙撃銃(スナイパーライフル)・オールレンジライフル】……カウント9。どこまでもまっすぐ弾が飛ぶ、射程無限の狙撃銃……LR

(ヘッド)・透視スコープ】……カウント8。建物や壁を透過して、生命体を観察できるスコープゴーグル。倍率の調整が可能……VR

(バレット)透過弾(スルー)】……カウント8。建物や壁を透過する属性を、銃弾に付与する。属性の付与は一発限り……VR


 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 ゲーム中でもトップクラスに凶悪だった、3種のカードの組み合わせ。

 このコンボにより、敵は狙撃の腕さえあれば、どんなに離れた敵でも意識の外から殺すことのできる、最強のスナイパーと化したわけだ。


 どうして人を殺さなきゃカードが手に入らないデスゲームで、この組み合わせを再現可能なプレイヤーが存在するんだ。

 聖也が、戸惑っていた所、唯一聖也の指示に耳を貸さなかった、豪の腕に弾が掠めた。


「――ってえ⁉」


 腕を襲う痛みに、悲痛な声を上げる豪。


「んだよこれ⁉ 夢じゃねえのか⁈ ゲームじゃねえのかよ⁈」

「さっきからそうだって言ってるだろ! 立ち止まるな! 動け!」

「聖也君、どうする⁈」

「とりあえず距離を詰めなきゃだめだ! 建物に向かおう!」


 聖也が駆けだすと、那由多とアーサーもその後を追った。

 状況は分からないが、このままだと殺される。

 その後を追うようにして、豪も聖也たちの後に続いた。


 聖也たちの周囲に、何発も銃弾が撃ち込まれる。


「アーサー! 前張りお願い!」

「しゃーねえなあ!」


 聖也が最前線をアーサーと交代した。

 銃弾は聖也たちに当たる気配はないが、万が一ということもある。

 ならばアーサーが弾を防ぎながら、距離を詰めるほうが堅実だ。


「建物に隠れながら距離を詰めよう!」

「隠れても意味ないんじゃないの⁈」

「あのスナイパー下手糞だから、立ち止まらない限り大丈夫! それよりも【透過弾】を消費させよう!」


 通常弾は無限だが、属性付与の【透過弾】は消耗品。カードの枚数分しか打てないはずだ。

 弾を全て吐かせてしまえば、あとは建物裏で隠れる戦法も成立する。

 アーサーの影に隠れながら、弾を消費させるのがベストと判断した。


 だが――


「聖也氏、あいつもう10発は打ってるよな⁈」


 止まない銃撃に、聖也たちが異変を感じ取った。

 メインデッキの最大枚数は20枚。暗視ゴーグル×2と、オールレンジライフルを合わせると、残りのスペースは17枚だ。

 17枚すべてが【(バレット)透過弾(スルー)】のカードなわけがない。そうであったとしても、溢れ出る湯水のごとく、ガンガン消費してくるのはおかしすぎる。


 聖也が再び表に出て、敵の様子を確認すると――


「――はあ⁈ ふざけんな⁉」


 宝箱に憑りついた魔人――ジークが、手元に発生させた青い渦に、【(バレット)透過弾(スルー)】のカードを投げ込むと、渦の反対側から、そのカードが10倍の数になって吐き出された。


「あいつ、デッキのカードを増やすスキル持ってやがる!」

「なんですって⁈」

『ギャハハハ! その通り!』


 突如、聖也たちの目の前に出現した黒い渦から、人を中にした笑い声が響き渡った。


『俺のスキル【増素界門(マスゲイト)】っていってなぁ! 生物以外だったら、いくらでも増やせんだわ!……あ。よろしかったらどうぞ』


 黒い渦から、大量の【(バレット)透過弾(スルー)】のカードが吐き出される。


『ケツを拭く紙にでもしてくれや! ギャーハッハッハッハ‼』

「クソ! うざってえ‼」


 苛立った豪が、ビームライフルで、ジークたちに応戦する。

 鋭いレーザー弾が発射されるも、そこはビームライフルの射程外。レーザー弾はジークたちに届く前に消滅してしまった。


『あたらない、かすらない。そもそもここは、射程外~』

「ぐ……‼」

「聖也、俺の出番は……」

「ダメだリウラ」


 自分を召喚するよう促すリウラを、聖也が制す。

 確かに、距離を詰めるのにリウラの持つ【次元跳躍(ディメンジョンリープ)】は最適だ。

 だが、一度見せてしまえば、ワープを警戒して距離を取られる可能性がある。

 敵が逃走手段を持たずに、逃げ場のない建物の屋上にいるとは考えにくい。となると、ワープによる接触のチャンスは一度のみ。


 接触できる距離まで、リウラの【次元跳躍(ディメンジョンリープ)】は温存しなければならない。

 範囲外でリウラを召喚しても、敵の的が増えるだけだ。


「とにかく、距離を詰めるしかない!」


 隠れるのが無意味とわかった以上、敵の姿が見える表通りを最短で突っ切った方がマシ。

 聖也たちは再び、表に出て、アーサーを盾にしながら、距離を詰め始める。


『雄人~お前舐められてるぜ~。あんなどうどうと姿晒しちゃってさあ~』

『だから一般人に狙撃銃(スナイパーライフル)使えって言われても無理なんだって!』

『しゃーねえ、 エイムアシストつけてやるかあ!』


 雄人と呼ばれたプレイヤーのスキャナーから、ジークが別のカードを取り出すと、【増素界門(マスゲイト)】で10倍に増やす。

 そして、カードをスキャンしてから、聖也たちに向かって銃弾を撃ち込んだ。


「――っぐあ‼」

「那由多さん⁈」


 そして、明らかに自分たちから逸れて放たれた銃弾が、急激に軌道を変えながら、那由多の肩に命中した。


「ホーミング弾……‼」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


(バレット)追尾弾(ホーミング)】……カウント7。敵の近くを通ると、敵に向かって誘導する属性を付与する。属性の付与は一発限り……VR


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 カードの枚数を増やせるのなら、他の属性弾をデッキに入れるスペースができる。透過弾以外のカードを持っているのも当然だった。


「アーサー! 銃撃の瞬間に全体防御だ!」

「わーってらい!」


 倒れる那由多を支えながら聖也が指示すると、敵が引き金を引くモーションを取ると同時に、アーサーが防御スキル【護壕砦炎(ごごうさいえん)】を発動する。

 ドーム状の蒼炎のバリアが、敵のホーミング弾を弾き返した。


『対処が早いねえ! 敵が強いと実況が盛り上がるもんだ! ……んじゃ、レベル3』


 ジークの宣言と共に、バリアの内側――聖也の背後に、黒い渦が出現した。

 ジークや雄人の声、そして大量の透過弾のカードが送られてきた渦。


「――まさか⁈」

『はいゲームオーバー!』


 聖也が反射的に横に飛ぶと、渦の中から銃弾が撃ち込まれ、内側からバリアの壁に弾かれた。


『これも避けんのかよ! 察しが良すぎてつまんねえぞ‼』


 最悪だ。

 ジークのスキルを理解した聖也が、絶望の色に顔を染めた。


 青い渦の【増素界門(マスゲイト)】が物質を増やすゲートなら、この黒い渦は、空間と空間を繋ぐワープゲート。

 そのワープゲートが、雄人のもつオールレンジライフルの銃口に発生している。

 自分たちのいる場所は、ワープゲート発生の射程内。


 もう狙撃の腕など関係ない。

 四方八方――どこからでも、ライフルの銃口を0距離で、聖也たちに突き付けることが可能というわけだ。


『【隔娄界門(ヘルゲイト)】っていうんだなこれ。ヘボスナイパーのシューティングゲームはつまんねえから打ち切りだ! 俺様神様ジーク様の、無双狩りゲーの始まり始まり~‼ ギャーハッハッハッハ!』

『最初からそうしてくれよ……』


 無限射程のライフルに、数の制限のない属性弾。

 極めつけは空間を繋ぐ【隔娄界門(ヘルゲイト)】による、狙撃地点の変更。


 敵側が一方的に聖也たちをいたぶる、最悪の狩りゲーが開幕した。


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