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サモナーズロード ~召喚士の王~  作者: 糸音
GAME4 最悪の魔人とゼロスキルの戦士
47/95

【鉱石魔人 ジークレイド】

ストックが無くなったので、予告なしにお休み貰うかもしれません。

もしそうなる場合、可能な限り、あとがきなどで事前に告知できるようにします

 

 豪の状況を察した聖也たちが、路地裏へと業を連れ込み、デスゲームについて簡単に説明した。

 全てを説明するのは難しかったが、取り敢えず説明できたのは、このゲームは、カードや契約戦士(チャンピオン)の力を利用して、勝ち残りを目指すゲームであること。

 そしてライフをすべて失うと、プレイヤーの存在が世界から消え、そのプレイヤーのいなかった世界へ、世界線が置き換わるということだけだ。


「ゲームのやりすぎだろ。お前」

「まあそういう反応になるよね」


 話したところで、理解されるとは限らない。

 憐れむような眼で自分を見つめるクラスメイトに、聖也はどうしたものかと頭を抱えた。


「あー、聖也氏。多分俺を召喚したほうが早い」


 そのやり取りを見ていたアーサーが、那由多のスキャナーから声を出す。

 既にカウントは5溜まっていた。

 那由多がアーサーの契約戦士(チャンピオン)カードをスキャンする。


「はーい。俺氏参上~」

「⁈ ……⁈」


 目の前に突如として出現した異形の存在。人間型の喋るドラゴン姿に、豪が言葉を失い呆然と立ち尽くす。

 とどめ、と言わんばかりに、那由多も【(ソード)感電警棒(スタンロッド)】をスキャンして、武器を具現化して見せた。


「信じられない気持ちはわかるけど、実際に起きてることなの」

「もしかしたら、他のプレイヤーに命を狙われるかもしれない。今のうちに自分のデッキと、契約戦士(チャンピオン)を確認したほうがいい」

「……チッ」


 自分だけ何も理解できていないことが不快なのか、豪は舌打ちをしてからスキャナーを物色した。

 デッキの場所がわから無そうだったので、聖也が場所を教えると、眉間にしわを寄せてからデッキを抜き取った。


 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


小銃(ライフル)・レーザー】×2……カウント7。銃口に溜めたエネルギーを、レーザー状にして発射する。射程が長く、高威力……VR

【剣・シルバー】×3……カウント4。切れ味が良く、刀身の軽い銀の剣。……VR

【魔法・通話(コンタクト)】×2……一定範囲のプレイヤーを指定して、通話ができる。……UCR

【魔法・索敵(サーチ)】×3……一定範囲内のプレイヤーの位置を索敵する。……UCR

【魔法・簡易防御壁(インスタントシールド)】×4……カウント3。目の前に薄いバリアを発生させる。防御力は並程度。……UCR

【魔法・弱体化(ダウン)】×4……カウント8。命中した者のステータスを半分にする光の球を放つ。……LR

【大魔法・沈黙の矢(サイレンスアロー)】×1……カウント9。当てたプレイヤーのメインデッキのカードの効果・使用を封じる矢を放つ。契約戦士(チャンピオン)カード、必殺技カードは使用可能……LR

【大魔法・覚醒(サバイブ)】×1……カウント10。特定の召喚戦士や、契約戦士(チャンピオン)の眠っている力・才能を目覚めさせる……LR


 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「畜生……!」

「僻むんじゃないの」


 汎用性の高い武器や魔法に加え、ゲーム中でも最強クラスのカードを詰め込んだ強力なデッキだ。


 なんでどいつもこいつも、まともなデッキを持っているんだ。

 自分のデッキの貧弱さを嘆く聖也に、那由多が呆れたように突っこんだ。


「要は、カードの力を使って、他のプレイヤーをぶっ殺せばいいのか」

「ぶっ殺しちゃだめだって!」


 聖也の言葉を無視しながら、豪は【小銃(ライフル)・レーザー】のカードをスキャンした。

 突然現れたレーザーライフルに「おお」と驚きの声を上げてから、豪はライフルを構え、適当な建物に向けて、レーザーを発射した。


 建物に着弾したレーザー弾が大きな爆発を起こし、建物の壁に風穴を開ける。


「ちょっと! 他のプレイヤーがいたらどうすんのよ⁈」


 バトルロワイヤルで物音を起こすなど言語道断だ。

 あまりに迂闊な行動に、那由多が怒りの声を上げた。


「試し打ちだよ。武器の性能確かめるのは大事だろ」

「それはそうだけど!」


 未だにゲーム感覚でいる豪の様子を見て、アーサーが聖也に耳打ちをする。


「……なあ聖也氏、知り合いなんだよな?」

「ああ、うん……」

「どうすんのよコイツ。一緒に行動したくないんだけど」


 ゲーム参戦初日で、危機感がないのはしょうがないかもしれないが、自分のライフがかかっている以上、アクシデントを生みかねない存在と行動したくはない。

 聖也としても、豪のことを放っておくわけにはいかないが、現在喧嘩の真っ最中の相手が、素直に自分の言うことを聞くとも思えない。

 那由多やアーサーのライフがかかっている以上、扱いに悩むところだった。


 豪というプレイヤーをどうするか、頭を抱えていたところ――


『……あ~、テステス。ゲートテス~』


 聖也の目の前に、謎の黒い渦が出現し、渦から謎の声が聞こえてきた。


 プレイヤーの魔法か、それとも契約戦士(チャンピオン)のスキルか何かか。


 得体のしれない渦の出現に、豪を除く、その場にいた全員が渦から距離を取った。


「ちょっと、何よこれ⁈」

『ナニヨコレ⁈ と聞かれても、答えてなんてあげないよ~ン。バーカバーカ‼』

『ちょ、ちょっとジーク、毎度のことながら危機感を持って行動してくれよ……』


 どうやらこっちの声も通じているらしい。

 那由多の反応を茶化すような低い声と、気弱そうな男性の声が、渦を通じて聞こえてくる。


『……とりあえずさ、リウラって契約戦士(チャンピオン)のパートナーは誰か教えてくれるかな?』


 気弱そうな男性の質問に、聖也たちは互いを見合わせた。

 リウラに、聖也にいったい何の用だろうか。

 そもそもこの質問に返答していいのか。聖也たちが戸惑っていた所――


『……とりあえず、頭が切れるって話らしいから』

『じゃあ何もないとこで銃ぶっ放す、あのバカは除外だな』

『女の子の方は、ドラゴンの召喚者っぽいし、こっちも違うね』

『……消去法で、お前だな』


 渦が消え、聖也の目の前に再び、黒い渦が出現する。


「……僕に何か用?」

『用っつーか、強いて言うならビジネス?』

「ビジネス?」


 聖也の疑問の声に応えたのは、気弱そうな男の声だ。


『君に特に恨みとかはないんだけど……ごめんね。そういう契約なんだ』

「一体さっきから何の話だ⁈」

『リウラという契約戦士(チャンピオン)召喚士(サモナー)を消す。それが今回の()()だからさ』


 その回答と共に、聖也の足元に、何処からともなく銃弾が撃ち込まれた。


「「「なっ⁈」」」


 馬鹿な。何処から撃った⁈ 何で銃弾が届く⁈

 聖也たちが隠れていたのは、建物と建物の間の路地裏だ。狙撃できるようなポイントはどこにもない。

 なのに、建物の壁を透過してきたかのような角度で、銃弾は飛んできた。


『ギャハハハ! 不意の一撃外すなって!』

『しょうがないだろ⁈ 狙撃銃なんて握ったこともないんだから!』


 狙撃銃(スナイパーライフル)というワードに、最悪のカードの組み合わせが頭によぎる。

 この想像が正しければ、隠れても無意味。

 聖也は【魔法・スコープ】のカードをスキャンし、意を決し表に飛び出して、銃弾が飛んできた方を、拡大して確認する。


 住宅街エリアで一番高いマンションの屋上。


『あらバレた』


 狙撃銃(スナイパーライフル)を構えた1人の若い男性と、その男性が召喚したと思われる契約戦士(チャンピオン)が、スコープのついたヘッドセットを装備して、こちらを伺っていた。


 男性の方は、基本的にインドアな生活を送っているのか、日本人にしては肌が白めだ。肩まで伸びた長めの黒髪が、風に触れて小さく揺れていた。

 温かい時期だというにも関わらず、長袖の上着やジーンズを着ていて、申し訳なさそうな表情で、へっぴり腰で聖也を狙っている。


 そして、恐らく謎の渦の発生源。煌びやかな宝箱に憑りついた、上半身のみの魔人。


 大きさは召喚主である男性の肩に乗るくらいのミニサイズ。

 ゴツゴツとした黒いダイヤに覆われた、恐竜のような頭部から、三日月形の角が生えている。そして胸部に、その顔と全く同じフォルムの、二回りほど大きい擬態用の顔がくっついていた。

 胸部の顔の下からは胴が生えており、腹部から下は4つの節に別れ、大きな宝箱へ寄生するような形で憑りついている。

 ラクナや、以前戦ったディードと同じく、聖也の記憶にない契約戦士(チャンピオン)



「また僕の知らない契約戦士(チャンピオン)……‼」


 カウントを確認すると、ちょうど12。リウラが召喚可能な時間帯。

 思えば、ラクナも、ディードも、カウント10以降で出会った契約戦士(チャンピオン)だ。


 ――まさか、カウント10以降の契約戦士(チャンピオン)は、僕が知らない契約戦士(チャンピオン)なのか?


 なんにせよ、カウント10ならば、ラクナの【無限機械兵(ムゲンマキナ)】のような、とんでもない能力を持っているということだ。


『お互い顔合わせが済んだとこで、ゲーム実況でも始めましょうかねぇ‼』


 宝箱に憑りついた魔人が、楽しそうにケラケラ笑いながら、叫んだ。


『我が召喚士、ヘボスナイパー・雄人(ゆうと)による、シューティングゲーム! 実況はイケてる最強契約戦士(チャンピオン)! 【鉱石魔人 ジークレイド】がお送りしまぁす‼』


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