幕間 ~リウラが見た記憶②~
ここまで読んで頂き、本当にありがとうございます。
あとがきの方に、少しだけ大切なお知らせがあるので、よろしければご確認お願いします。
「アーサー、メシでも食わないか⁈」
仕事帰りに、馴れ馴れしく肩を組んでくる男――リウラ。
その人懐っこい笑みに、やれやれとアーサーが息を吐いた。
どうせ断っても、こいつはついてくる。
自分の何がこの男に気に入られたのかはわからないが、給金が入る日は、同じやり取りが繰り返されていた。
リウラに引っ張られるようにして、アーサーは行きつけの飲食店のテーブルに座る。
リウラが適当に頼んだ料理を口にしながら、アーサーは仕方なしに会話を切り出した。
「……んで、どうだったのよ。今回の討伐」
「む。いつもと同じだったぞ。【ゼロフレーム】で、一瞬で終わらせた」
「はいはい、そうですか」
この国の周辺には、定期的に魔物が現れる。
今回現れたのは、全長1000mにも上る巨大な魔物――本来であれば、国の兵士全員を投入しても倒せるかどうかといった、国の存続に関わる、災害級の魔物だったはずだ。
かつては、そんな魔物たちが出現するたびに、兵士たちは死に怯え、国民たちも厄災が過ぎるよう、祈るばかりであったのだが――
リウラが現れてからは、そんな魔物に怯えることもなくなった。
どんな魔物も、文字通り瞬殺してくるリウラに、国民たちは絶大な信頼を寄せ、英雄として崇めている。
リウラが兵役に入ってからというもの、魔物による被害はほとんどなくなった。
そんな英雄様が、こんな一般兵のどこを気に入ったかね。
アーサーがやけくそ気味に、魔物の肉を齧る。討伐した魔物は食料にもなる。
エネルギー源が限られたこの世界において、食事は数少ないエネルギー補給源であり、コスパの良い嗜好品だ。
「お前のおかげで、俺たち一般兵は楽をさせていただいていますよっと」
「うむ。皆が安心して暮らせるよう、俺も尽力するとしよう」
仕事泥棒。といった皮肉を込めた言い回しは、どうやら通じなかったらしい。
「じゃあ、俺たちが働かなくてもいいように、ジャンジャンバリバリ、脅威となる魔物をやっちゃってくださいよっと」
「うむ。約束しよう。その代わりと言っては何だが――」
リウラが無邪気に肉を頬張りながら続けた。
「俺がピンチの時は、お前が俺を助けてくれ、アーサー」
「……はあ?」
お前が敵わない存在に、俺が敵うわけねえだろ。
意味不明なことを言い出す、英雄様から眼を背け、アーサーが酒を煽ろうとした時、
「ぐぼっ⁈」
リウラがアーサーの口に、肉を直接ぶちこんだ。
「てめえ、いきなり何しやがる⁈」
「? いや、先にその時の礼をしておこうと思ってな」
この男の気まぐれに、いつまで付き合えばいいのだろうか。
この時の言葉も、一過性の気まぐれとばかりに思っていた。
それを、まさかあんな形で守らされる羽目になるとは。
未来を知らないアーサーは、目の前の英雄様に呆れた視線を送りながらも、次々と出されてくる肉料理に舌鼓を打ったのだった。
ここまで読んで頂き、誠にありがとうございます。
少し長めの章でしたが、最後まで追って下さり、本当に感無量です。
ちょっとだけ大切なお知らせが2つあります。
1つ目は、文体の改変についてです。
登場人物が多くなるにつれて、聖也君の一人称視点だけだと限界があることに気が付いたので、6月10日までに、今まで投降した全文の、三人称への文体の変更を行ってまいりたいと考えています。
多分読み味はそこまで変わらないので、影響はほとんどないのですが、ご連絡させていただきます。
ここまで一人称でお話を進めていながら、申し訳ないです。
お話をもっと面白く展開するため、お付き合いのほど宜しくお願い致します。
2つ目は、少しばかり腰を悪くしてしまい、執筆活動がここ2週間ほど滞ってしまっていたので、ストックがほとんどなくなってしまったことです。
毎日更新を頑張っていましたが、適度にお休みいただくかもしれません。(本当に申し訳ないです)
今回はじめて評価ポイント、ブックマーク登録、感想を頂きました。画面の前で涙が出るくらい嬉しかったです。
拙作ではありますが、多くの人に読んでもらいたいので、ブックマーク、もしくは下の☆から評価を頂けると、執筆の励みになります。
今後とも頑張って執筆していきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
2023/6/10 追記
文体の改稿、完了しました。