VS【次元跳躍(ディメンジョンリープ)】2 (紬視点)
「……! 機械兵を、ドーム内に閉じ込められました……!」
「なんですって⁈」
ラクナの報告に、紬が焦った様子で振り返る。
なんで⁈ どうやって⁈
と考えを巡らせたところ、那由多が持っていた一枚のカードの存在に気が付いた。
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【変質:迷宮】×1……カウント10。発動位置を出口に、指定の建物を入り組んだ迷路にする。Rarity…LR
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【次元跳躍】で、真上に逃げて、機械兵が絶対にたどり着けない、ドーム天井を出口に【迷宮】のカードの発動。
確かにこれなら機械兵を封じることはできるが――
(こんなの初見で対応しろって言われても無理でしょ⁉)
そもそも【次元跳躍】自体が紬たちにとってイレギュラーな存在だ。それと他のカードの組み合わせなんて読めるわけもない。
真上への脱出自体は警戒していたが、降りてきたところを挟み撃ちにすればいいだけだと考えていた。それをこんな形で上回られるとは。
【次元跳躍】というスキルへの適応は、確実に向こうの方が上。
その事実を受け入れた紬は、自分を落ち着かせるように大きく息を吐き、那由多たちがいるであろう方向へ向かい直る。
大丈夫。向こうが機械兵を封じても、それは挟み撃ちの可能性を潰しただけ。
このままこっちへ向かってくるなら、真正面から打ち破るのみ。
紬とラクナは、自分たちの前方に立つ、巨大な機械兵――機械巨神兵の背中を見つめる。
ラクナのスキル――【機械兵結合】で作った、巨大な機械兵。生成中は、通常の機械兵を生成できなくなる代わりに、その強大なパワーと防御力は、通常の機械兵とは比べ物にならない。
聖也たちの用意できる最大攻撃力。それは【剣・巨人殺しの大剣】……の攻撃力を吸収したアーサーの必殺技【萬流転槍】。
防がなければいけない攻撃は、【剣・巨人殺しの大剣】と【萬流転槍】の2発。
機械巨神兵の100mほど先に待機させてあるロイドには、聖也たちが現れ次第、接近戦を仕掛けて【次元跳躍】を切らせるように指示してある。
ロイドは【次元跳躍】を使用した聖也たちを挟み撃ちにするつもりだろうが、実際は【剣・巨人殺しの大剣】を切らせるための当て馬だ。
ロイドに剣を切らせ、機械巨神兵に【萬流転槍】を切らす。全ての手札を使い切ったところを、【無限機械兵】で圧殺して終わり。
さあ、来なさい。全てを読み切ったうえで勝ってあげる。
前方に、紬たちへと向かってくる聖也たちが現れた。
勝つのは【次元跳躍】か、【無限機械兵】か。
最後の戦いの幕が、切って落とされた。