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サモナーズロード ~召喚士の王~  作者: 糸音
GAME3 守護の竜騎士と無限の機械兵
20/95

街の探索と新たな戦力……?

 この前の戦いが終わってから何日か経った日の話。

 結からデスゲーム中以外にも、サモナーズロードの世界にログインできるとことを教えてもらった聖也は、学校が終わった後に戦場の探索を開始した。


 デスゲーム時は周りが夜だったのに対して、今は昼の時間帯に設定されているらしい。適度に雲のかかった青い空が、気持ちよく広がっている。

 時間はデスゲーム中と違って、現実世界と同じ速度で進んでいるみたいなので、効率よく探索を進めていかなければいけない。


 フィールドは大きく分けて3つに分かれている。1つは前回の戦場である、駅・商店街エリア。

 次のゲームまでに運動公園エリア、住宅街エリアの把握が、探索の目的の一つ。

 そしてもう一つの目的は――


「……ほんとにあったよ、スキャナー」


 【召喚都市・昼】。今聖也が歩いているのは住宅街エリア。

 デスゲームの舞台となる街に落ちていた、持ち主の分からないスキャナーを、聖也は拾い上げた。



 ――カードが足りないなら街の散策をしてみるといいかもよ。……負けた人のカードが残っているかも。


 結が言葉尻を濁しながらそう言っていたので、まともなカードのない聖也はカードを探して街を歩き回った。

 すると道端に落ちていたスキャナーを見つけたので、さっそく残っているカードを物色しようとしているわけだが――


 多分ここで、誰かライフ0死んだんだろうな。


 持ち主を失ったスキャナーを見つめて、罪悪感に包まれる。

 やっていることは死体から備品を物色しているのと同じだ。罰当たりにもほどがある。

 だけど背に腹は代えられない。元の持ち主には申し訳ないけど、使えるものは使わせてもらうことにした。



 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・


【魔法:ビッグフェイス】……カウント3。指定した者の顔を、質量はそのままに巨大化させる。攻撃力はない。……CR(コモンレア)


 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・




「……」


 そういえばあったなあ、こんなカード。……一発芸用で。

 戦闘にどう活かせばいいかわからないカードを手に取り、ため息をつく。

 よくみてみれば、メインデッキは20枚のはずなのに、スキャナーにはカードが残り3枚くらいしか入っていない。


 つまり既に誰かが物色し、ここにあるのは残り物というわけだ。

 デッキ外のカードの保有上限は20枚。余分に持てるカードはちょうどデッキ1個分。

 いらないカードを保有する余裕はない。


「……まあ、錆びた剣よりは使えるかもしれないか」


 がっかりしながらカードを自分のスキャナーにしまい、残りのカードを物色する。



 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・


【魔法:スコープ】……カウント1。両手の親指と人差し指で四角形を作ると、四角形内の景色が拡大して見える。手を広げると更にズームする。……CR(コモンレア)


 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 これも戦闘用ではないが、とりあえず持っておくことにする。


「残りの一枚は……」


 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・


(ソード)巨人殺し(ジャイアント)の大剣(スレイヤー)】……カウント7。最高品質の素材で作られた巨大な剣。威力は高いが扱いが難しい最上級装備。……LR(レジェンドレア)


 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・



「おお、最高レアリティのカードではないか!よかったな聖也よ!」

「ちょっ、馬鹿⁉ むやみに姿を出すな‼」


 突然魔方陣から姿を現したリウラを、聖也は慌てて服の中に隠した。

 どういうわけか知らないが、リウラはあの戦い以降、再び首だけの状態に戻ってしまった。つまりまた戦えない状態になってしまったのである。


 せっかくリウラが実力を示して襲わないように警告したのに、こんな姿見られたらいつ誰が襲ってくるかわかったもんじゃない。


 リウラが「すまん」と謝ってその場から消滅する。実体化したりしなかったり自由にできるようだ。


「それよりも聖也。早速試してみたらどうだ? ようやくまともな武器が手に入ったのだろう?」

「……まともかどうかは見て見なきゃわからないよ」


 昼のマップは全てのカードや契約戦士が使い放題、呼び放題になっているらしい。

 多少の痛覚は残っているが、どんな攻撃を喰らっても死ぬことはない、ゲームのトレーニングモードといったところだ。


 聖也がカードを【(ソード)巨人殺し(ジャイアント)の大剣(スレイヤー)】をスキャンすると、頭上に巨大な魔方陣が出現して――




「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお⁉」




 そこから出現した全長50mはあろうかという巨大な剣が、聖也の目の前に落下し、落下の衝撃であたりのものを吹き飛ばしながら、巨大なクレーターを作っていた。


「畜生! やっぱりこういうカードか!」


 衝撃波で壁に叩きつけられた聖也は、痛みでもだえ苦しみながら、忌々しそうな目で出現した剣を睨んだ。トレモじゃなかったら死んでいた。


 剣とはいうが、あまりに巨大すぎるせいで装備品として使えない。

 敵の真上にでも落とせたら有効な攻撃手段として機能するかもしれないが、分類上――剣という装備品扱いで判定されているためか、剣の出現は召喚者の近くに固定される。

 つまり、隕石代わりに利用しようにも、使用者を必ず巻き込む――いわば道ずれ目的での使用方法しかないわけだ。


「……筋トレすれば持てないか?」

「持てるわけないだろバカ‼」


 とぼけたことを抜かすリウラに、聖也が一喝した。


 数時間ほどフィールドを回って得られた成果が、顔を巨大化させる謎の魔法。

 遠くを見ることができるだけの魔法。

 そして自分が装備できない上に、呼び出すと命の危険が伴う大剣。




 使えるかどうかもわからない新カードたちに肩を落としながら、聖也はログアウトのコマンドを押して、サモナーズロードの世界を後にした。


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