幕間 ~リウラが見た記憶~
これはリウラが一時的に体を取り戻す、ほんの少し前に流れてきた記憶だ。
「……リウラ、私の代わりに王にならないか?」
開幕聞こえてきたのは、女性の声。
とある世界の王城で、玉座から降りて、リウラと視線を並べて語り掛けてくる何者かの記憶。
これが誰の記憶かはわからないが、目線が並ぶということは同じくらいの背丈なのだろうと、リウラは思った。
「……すまない。俺は王にはならない」
しばらく考え込んだ後、そう返答した自分の姿は酷く悲しそうだった。
「王になるということは、命を選ぶということになる。俺は、……俺は大切な者たちとは、一分一秒でも同じ時を過ごしていたい。お前みたいに、割り切ることはできない」
「……そうか」
そうリウラに返した声は、どこか残念そうではあったが、何かに納得したような、含みを帯びた声だった。
「……だからこそ、お前を王にしろという声が多く上がるのかもしれないな」
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「――王」
そうつぶやいたときには、リウラは体を取り戻していた。
「……召喚士の、王」
王、と聞いて、聖也と会う前の自分が最後に聞いたであろう言葉を思い出す。
「――召喚士の王」
「リウラ……?」
結の魂の抜けたような声で、ハッとリウラは我に返った。
体が復活している。手がある。足が動く。
なぜ突然体が戻ったのかはわからない。
だが、動ける体があるのなら――
「隠れていてくれ。俺は主を――聖也を助けに行くとしよう」
己を信じる勇気を見せた、俺の召喚者の下へ行かねばなるまい。
理解の追い付かない結を背に、リウラは聖也のいる戦場へ全速力で駆けだしたのだった。
ここまで読んでくださりありがとうございます。
初めての物語創作ということで、荒い点も多いかと思います。加え、なろうの流行とは大きく外れた本作なので、人によってはストレスフルな場面もあったかもしれません。
それでも読んでくださる人がいて、最新話まで追ってくださる方々がいることをとても嬉しく、有難く思っております。本当に感謝してもし足りないです。
ようやく主人公たちの始まりの物語を載せきることができました。
私の完全な趣味による作品ではありますが、次回以降の展開も楽しみにしていただけると幸いです。
もしお話を気に入って頂けた、続きが気になるという方がいらっしゃれば、感想などを頂けると励みになります<(_ _)>
また、このお話が好きそうな方に広めていただけると幸いです。
ストックはまだあるので、まだ投稿は続けていきます。
拙作ではありますが、もし読んで頂けるのであれば、今後とも宜しくお願い致します。




