2話「思わぬ形での再会」
得体のしれない光の球にぶつかられた男たちはその場に倒れ込む。
大きな身体も今ははりぼてのよう。
意識も完全に失ってしまっている。
「大丈夫!?」
背後から声がして、振り返ると、そこには――。
「えっ……クリステ?」
黒い衣服に身を包んだ青年が立っていた。
けれどもその顔に見覚えがあって。
記憶が正しいという決定的な根拠はなくても、初対面とは思えなかった。
「シェリア!?」
向こうも少しして私に気づいたようだ。
「どうしてここにいるんだよ!?」
「やっぱり……クリステなの?」
「そうだよ。久しぶりだね、会うのはいつ以来だろう」
クリステ、彼は私の幼馴染みだ。
幼い頃家が近くて、異性ではあるけれど、いつも一緒に遊んでいた。その頃は性別の壁なんて少しもなかったのだ。彼は魔法が得意で、いつも、特別な時間を私に与えてくれた。私は彼が起こすいろんな不思議な現象を見るのが好きだった。
でも、やがて彼は魔法学校に入ることになって、一家で引っ越してしまった。
それからはずっと会っていなかった。
「でもどうしてこんなところに? 王子と婚約したんじゃ」
「……婚約破棄、されたの」
「ええっ!? 何だよそれ!!」
「落ち着いて落ち着いて」
「ああ、うん、ごめん。でもさ、どういうこと? 婚約破棄されたーって……君はやらかすような人じゃないだろ?」
もうずっと忘れていたけれど、思えば、私はかつて彼と会うことを望んでいた時期があった。
こんな形で再会できるなんて。
嬉しいような驚きなような何とも言えぬ感情が胸を満たしている。
「そうよ、私は何もしていない。けれどはめられたの。彼の妹に、ね」
「はめられた……!?」
「レトミー王女の嘘を信じた彼は私を切り捨てたのよ」
「そんなことが……」
何が起きたのかを隠す気はなかった。
事実を明かして何が悪いの?
「とにかく、シェリア、こんな暗いところにいたら危ないよ。家は? この近く? 送ってくよ」
「いいえ、家は遠いの」
「ええっ」
「だから宿でも探すわ」
「今から!? もう夜中だろ、宿なんて閉まってるよ」
彼は少し考えて。
「うちに来る?」
そう提案してきた。
異性の家に入るのは正直気が進まないが……けれども今は贅沢を言っていられる状況ではない。
「いいの? 奥さんとかいるんじゃ」
「いない」
「そう……じゃあ一晩お世話になろうかしら」
こうして私はクリステの家に泊まらせてもらうこととなった。
◆
「へぇ。素敵な家なのね」
「譲ってもらったんだ、学校の先生から」
クリステが住んでいるという一軒家はそこそこ立派なものだった。
二階建て。
庭もついている。
「しかし危ないところだったね。気をつけてよ? 街を歩けばああいうおかしな輩も多いんだから」
彼は私がいる前で平然と着替えていたが、少々気まずい。
でも、思えば、こんなものなのかもしれない。
一応幼馴染みだし。
彼は目の前に私がいたとしてもそれほど気にはならないのだろう。
「ええ……気をつけるわ。それと、助けてくれてありがとう」
「たまたま助けに入れて良かったよ」
「幸運だわ。神様に感謝したいくらい」
それにしても――懐かしいな、この感じ。
「シェリアはこれからどうするの?」
「え」
「婚約、破棄になったんだろ?」
「そう……でも、まだ何も考えていないの。これからどうしようかな、なんて、すぐには考えられないわ」
「ふーん、そっか」
「これでも傷ついているのよ!」
「なんかごめん」
「……なんて、言っても無駄よねごめんなさい。当たり前だけれどクリステのせいじゃないわ」




