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はめられて王子に婚約破棄されてしまいましたが、その後幼馴染みに再会しました。~荒波を越えて、幸せな未来へ行くのです~  作者: 四季


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1話「妹の嘘を信じた彼は」

「シェリア・ボーマントス! 貴様、裏で妹を虐めていたそうだな! これは許されることではないぞ! よって、婚約は破棄とする!!」


 婚約者でフォレ王国の王子でもあるオーガン・フォイド・フォレがある日突然呼び出してきてそう告げてきた。


 しかし、心当たりがない。


 彼に妹がいることは知っている。

 いや、それは、この国の人間なら大抵誰でも知っているだろう。

 王女レトミーの存在は隠されているわけではないから。


 とはいえ、私はあくまでオーガンの婚約者であって、彼女との交流はほとんどなかった。


「お待ちください。私、レトミー様とは交流していません。ですから、虐めるなんてこと、あり得ません」

「嘘を言っても無駄だ」

「そんな……なぜそんなことを仰るのですか」

「レトミーが嘘をつくはずがない! だから貴様が嘘をついているというのが絶対なのだ!」


 もはや意味が分からない。

 彼の言っていることは完全に意味不明だ。


 なぜそこまで妹だけを信じる?

 そういう思考になるような魔法でもかけられているのか?


「嘘ではありません! レトミー様の証言以外に何か証拠がありますか?」


 一応反論してみるけれど。


「証言が一番強い証拠だ!」


 やはり無駄だった。

 彼はどうしようもないくらい妹だけを信じていた。


 もはや何を言っても聞いてもらえないし考えてみてももらえないようだ。


「滅茶苦茶です、そんなの。証言など怪しいものです、何とでも言えるではないですか」

「黙れ! 黙れ黙れ黙れッ!! 貴様、我が妹を嘘つき呼ばわりするとは……どこまでの真っ黒根性だなッ!! やはり我が王家には相応しくない女だ、とっとと消えろ! 立ち去れ!!」


 オーガンは激怒し、近くの椅子を掴んで、振り回し始める。


「出ていけ! 可愛い妹を貶めるクソ女! 出ていけ出ていけ出ていけ! 今すぐ出ていけ、そして、二度と俺の視界に入るな!」


 これ以上ここにいては危険だ、何をされるか分からない――そう判断して、私は彼の前から去ることにした。


 荷物をまとめてさっさと出ていこう。

 そう考えてはいるのだけれど。

 それでも心は痛くて涙がこぼれそうだった。


 どうしてこんなことになってしまったのだろう、と思わずにはいられない。


 こんなことになってしまったのはレトミーのせいだ。

 彼女が嘘を事実として口にしたせいで、私は城から追い出されることとなったのだ。

 信じ込んでいるオーガンも酷い人とは思うけれど、やはり、すべての元凶は嘘の主張をしたレトミーである。


 多分彼女は私を良く思っていなかったのだろう。

 それで私をどうにか消したかったのだろう。


 でもだからって、嘘をついてまで――。


 なぜそんな心ないことができるのか、謎でしかない。


 嘘で他人を陥れようとする王女。

 嘘を信じ込んで他人を悪く言い傷つける王子。


 そんな人たちがいずれ頂点に立つのだから、フォレ王国の未来は明るくはない……。



 ◆



 城を出た日の晩、私は、夜道を歩いていると男たちに絡まれる。


「なぁお姉さん? こーんなとこで何してんだぁ?」

「可愛いなぁ」

「麗しい人だな、どうだ、俺らと一杯しねえか?」


 厄介な人に絡まれてしまった……、と困っていると。


「なぁ! ほら! こっち来いよ!」

「もっと近づいてぇ」

「麗しい人、もうメロメロ、大好きだよ」


 男たちはさらに接近してくる。


 しまいには腕を掴まれて。

 引き寄せられてしまう。


「やめてください!」


 思わず叫んで。


「ああ!? 何だお前!!」


 男を怒らせてしまう。


「ふざけんな! くそぼけ!」

「殴ってやろう」

「黙らせてや――ッ!?」


 殴られそうになった、が、刹那、光が飛んできて男たちに命中した。

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