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シャルロットの災難  作者: violet
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テオドアの策略

落ち着かない。

部屋がきれいすぎる。

シャルロットは、自分に与えられた部屋の居間で弟を待っていた。

ソファに座り、ドレスの裾は美しく見えるように侍女が整えてくれた。


テオドアはキエトから報告を受けているのだろう、待てど弟が現れる様子はない。

背筋を伸ばして座っているせいか、背骨が痛い。

ここで力を抜いて軟体動物のように、くにゃとソファに横たわりたい。


横目で見れば、侍女が壁に立っている。

立っている侍女が背筋をのばしているのに、座っているシャルロットが辛いと言いづらい。

はぁ、気づかれないように溜息をして、背筋に力をいれる。

こういうのは得意じゃないのよ。


コンコンとノックの音にシャルロットが飛び上がる。

待ってたのよ、動きたかった!

侍女が開けた扉から、テオドアとキエトが入って来た。

「キエトから聞きましたが、姉上おケガはありませんね?」

まだ制服のままのテオドアは、シャルロットが心配であったのだろう。

シャルロットが頷くのを確認して、テオドアはキエトを見た。

「父の事で話があるんだ。

少しの間、姉上と二人にしてくれないか?」


キエトは躊躇う素振りを見せたが、侍女を連れて部屋を出て行った。

「テオドア、お父様がどうしたの?」

「相変わらずですよ」

テオドアが部屋の様子を確認して、声をひそめる。

「公爵はどうですか?」

どうですか?と聞かれても、本人がいないのだから、昨夜話した以上の発展はない。


「公爵家で使用人の力が強すぎる。

ありえないでしょう。

こんな状態の屋敷に姉上を置いておくことなど出来ない」

「そうなんだけど、前公爵に問題があって、ナイジェルのせいではないわ。

もちろんフェルシモ伯爵領に戻るつもりだけど、支度金を貰ったからそれなりの事をしないと。

これから、融資も始まるし」

モゴモゴと言葉を繋ぐシャルロットに、テオドアは確認する。

「結婚式になってしまいますよ?

それは嫌ではないのですね?」

「公爵夫人として社交など無理だと分かれば、すぐに追い返されるわよ。

その時に、融資分を慰謝料にしてもらえば」

シャルロットの言葉は、テオドアの答えになっていない。


「姉上、公爵との結婚は受け入れるという事ですね」

再度、テオドアは確認する。

「最初から、そのために夜会に行ったのよ」


姉が、動こうと閉じこもろうと事態は動く。

出戻る前提だったが、公爵が姉を追い出さねばこのままだという事だ。

公爵も姉と暮らして、姉の生態に気がついているはずだ。

姉も分かっているのだろう。

伯爵家としては、公爵家との縁は繋がったままの方が理がある。

「姉上、これから工事だけでなく、農地から牧草地への転換と融資を止めるわけにはいきません。

頑張ってください」


「な、何を頑張ってと言うの?」

あ、あれかな、とシャルロットはドキドキしてしまう。


「部屋を汚さないで人並みであれば、公爵は籠絡出来ます」

テオドアの目は笑っていない。


「善処します」

シャルロットの答えは、目が泳いでいる。


「食べ残しは隠さない。

それに、使ったカトラリーをそこら辺に放置しない。

ゴミは捨てる」

テオドアのお説教が始まった。


学校を卒業して、領地経営に専念出来るまで資金が必要だ。

そして、姉には更生してもらって人間らしい生活を送ってもらうには、いいチャンスである。



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