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祈りは続くよ、いつまでも

作者: 村崎羯諦

 僕がこの世界からいなくなってから十度目の夏は、いつになく日差しが強く、蒸し暑い夏だった。


 胸いっぱいに空気を吸い込むと水蒸気のような生暖かい空気が身体を満たして、アスファルトを照り返す太陽の日差しは、目を焦がしてしまうんじゃないかってくらいに眩しい。木漏れ日の色は濃ゆくて、風に揺れる木々の葉は鮮やかな緑色をしている。山の方から聞こえてくる甲高いセミの音は、夏の青空に吸い込まれていき、どこまでもどここまでも響き渡っていくような気がした。


「このイベントが十年も続くなんてさ、誰も思ってなかっただろうな」


 広い原っぱに張られたテントの下で、僕の幼馴染の棚橋が、隣に座っていた安藤にぽつりと呟く。二人は折りたたみの椅子に腰掛け、イベントの名前と今年の西暦が印字されたタオルを首に巻いている。額とこめかみからはじわりと汗が滲み出していて、Tシャツから覗く腕や首元は褐色に日焼けしていた。


「よく何百年も続いている祭りなんかあるじゃんか。あれも始めた最初の頃なんかさ、きっとこれが何百年にも渡って受け継がれるなんか考えてなかったんだろうな」

「ははは、確かに。今日のイベントがずーっと続いていったら面白いな」

「そうなるといいよな。そしたらきっと、あいつも……いや、あいつだけじゃなく、みんな報われると思う」


 原っぱに面した道路に数台のワゴン車が停まり、二人と同じイベントTシャツを着た人たちが、買い物袋を持って降りてくるのが見える。よし、休憩終わりっと安藤が笑いながら立ち上がる。棚橋も同じように立ち上がり、テント下の長い縦テーブルの上を片付け始める。ワゴン車の方から、棚橋と安藤の名前を呼ぶ女性の声が聞こえてくる。十年前からちっとも変わらない、透き通る、澄んだ声。その声の主である皆藤が小走りでテントまで駆け寄ってきて、買い出し袋を両手を持ったまま、興奮した表情で二人に話しかけてくる。


「ねぇ、ニュースだよ、大ニュース! 今日のイベントにさ、香奈が来るんだってさ! それも旦那さんと子供を連れて!!」


 香奈。その単語に、棚橋と安藤が動きを止め、お互いの顔を見つめ合う。それから、疑わしげに眉をひそめながら、香奈ってあの山口香奈だよなと皆藤に尋ねると、彼女は今は東尾香奈だけどねと訂正する。成人式の時にも会えなかったから、十年ぶりじゃん。安藤が嬉しそうにはしゃぐ隣で、棚橋が感慨深そうにぽつりとつぶやく。


「そっか……。長かったな」


 棚橋のつぶやきに、皆藤が違うよと首を振りながら答える。


「ううん、長くなんかないよ。それだけの時間がさ、香奈には必要だったってことなんだよ」


 そっかと棚橋が答える。他の買い出し組が戻ってきて、テントの中が一気に騒がしくなる。思い出に浸ってないでさっさと準備するぞと安藤が笑いながら棚橋と皆藤の肩を叩いた。イベントの実行員は色んな人たちで構成されていた。近所に住む人だったり、僕の知らない他の町の人だったり、数年前から参加している高校生だったり。


 日が傾き始めたころに、数人の花火職人が遅れて合流する。今年もお願いしますと代表の棚橋が花火職員に頭を下げた。それから花火職人の一人が、遠くに設置した花火台を指差しながら誇らしげに説明する。


「爆発事故の追悼祭も今年で十年目だろ? 今年は去年よりもずっと綺麗なやつを打ち上げてやるからな」


 強烈な日差しが少しずつ和らいでいき、影の色が淡くなっていく。実行委員の動きが一気に慌ただしくなっていくが、それでも張り詰めた空気はなく、テントの中は和気あいあいとした雰囲気で満たされていた。棚橋や年長者が中心となって、みんなにテキパキと指示を出していく。性別も年齢もバラバラな人たちが、それぞれに想いを抱えながらイベントの準備を進めていく。今年で十回目になる、僕を含む多数の人間が亡くなったあの化学工場での爆発事故の追悼祭の準備を。



*****



 始まりは、小さな打ち上げ花火だった。


 田舎町で起きた化学工場の大規模な爆発事故は、工場で働く人だけではなく、近隣に住む何十人もの住民が犠牲になるほどの悲惨な事故だった。燃え盛る炎は逃げ遅れた住民たちを容赦なく襲い、爆風は遠く離れた家屋の窓ガラスを割るほど。僕を含むたくさんの人間が一瞬で帰らぬ人となり、生き残った人たちもまた心と身体に言い表せないほどに深い傷を負った。多くの人間が大事な人達を亡くし、自分自身も傷つき、絶望の底に沈んでいった。あの爆発事故は、のどかで穏やかなこの町の日常を、一瞬で消し飛ばしてしまった。


 それでも。それでも生き残った人たちは一歩でも前へと進む必要があった。そんな中で、棚橋や安藤など僕の幼馴染が中心となって、爆発事故で犠牲になった人たちへの追悼として、真夏の夜空に打ち上げ花火をあげることを計画した。その夏は今年と同じような、むせ返るような熱気が満ちた暑い夏だった。


 損害賠償や保険金さえもまだ十分に支払われていない時期だったから、みんなで決して安くはない金額をカンパして、知り合いの花火職人とともに小さな小さな打ち上げ花火を打ち上げた。事故はまだ風化しきっていなくて、人々の傷もまだ癒え切っていない状態での打ち上げ花火だったから、中には不謹慎だと言って棚橋たちの行動を厳しく非難する人もいた。


 それでも、真夏の夜空に打ち上がった色鮮やかな花火はどうしようもなく綺麗だった。その日の夜は、棚橋たちだけではなく、爆破事故で大切な人たちを亡くしたたくさんの人たちが夜空を見上げた。彼らは故人に想いを馳せながら、目に涙を浮かべながら、その美しい花火に、祈りを捧げた。


 最初は数名から始まった追悼の花火の実行メンバーは、翌年には二倍に増え、さらにその翌年にはさらに二倍に増え、いつしか数え切れないほどたくさんの人からお手伝いしたいと声をかけてもらえるようになっていった。町の復興が進むにつれて花火の規模は大きくなり、追悼の花火を見に、たくさんの人が訪れるようになった。そして、初めは故人を偲び、涙を浮かべながら見上げる人でいっぱいだったこの会場にも、一つ、二つと夏が過ぎていくにつれ、楽しげな会話が、笑顔が、少しずつ、少しずつ増えていった。


 日が暮れ始め、会場に人が集まりだす。湿気を帯びた風が草原の草木を揺らし、葉が擦れ合う音が聞こえてくる。テントの下でせわしなく動き回っていた皆藤がふと動かす手を止め、顔を上げる。そして、会場の入口近くの方向へと視線を向け、彼女が歓喜の声をあげた。


「香奈!!」


 僕も皆藤の視線の先を追った。会場の入口には優しそうな男性の横で、小さな女の子と手を繋いだ香奈の姿があった。皆藤は自分が持っていた飲み物用のクーラーボックスを近くにいた安藤に押しつけ、香奈のもとへと駆け寄る。嬉し泣きの表情で彼女に抱きつき、久しぶりだねと嬉しそうに語りかける。


 皆藤の声を合図に、僕の幼馴染たちが香奈のもとへと集まってくる。香奈と手をつないでいた女の子が恥ずかしそうに後ろに隠れる。香奈の隣に立っていた男性が香菜の夫ですと丁寧に自己紹介をした後で、持ってきた差し入れを棚橋に手渡した。


 十年ぶりにこの町に戻ってきた香奈は、昔よりもずっと綺麗になっていた。うっすらと小麦色をした肌の腕を伸ばし、八重歯をのぞかせ、この町の空の下で、香奈が小さくはにかむ。それから香奈は皆藤と棚橋たちに、「十年も顔を出せなくてごめんなさい」とつぶやく。棚橋は肩をすくめながら、俺たちより先にそれを言う相手がいるだろとおどけながら答えた。


「墓の場所はわかるか?」

「うん。雄太のご両親に聞いてきたから」


 安藤が気を利かせて、香奈の隣に立っていた旦那さんと娘さんに、会場を案内しますよと提案する。旦那さんは娘の手をぎゅっと握った後で、香奈に「一人で大丈夫?」と尋ねる。香奈がその問いかけにうなずくと、彼は娘の手を握ったまま、安藤とともに会場の奥へと歩いていった。


 香奈は棚橋たちと別れ、一人で会場の外れにある墓地の方角へと歩いていく。雲の底は茜色に染まり、まとわりつくような風が彼女の髪を撫でた。車の轍でできた土の道を通り、段差の違う石段を登り、幼い頃、みんなで遊びまわった寺の裏へ進んでいく。時折歩みを止めて、周囲を見渡しながら、ゆっくりと、ゆっくりと。


 墓地は静かで、誰もいない。黒灰色の墓石の前で、供えられたばかりの色鮮やかな花が首をもたげている。香奈は手に握りしめた地図を頼りに墓地の中を進み、端っこに建てられた僕の家の墓を見つける。彼女は墓前の前で立ち止まり、そのまま何分もの間、何も言わず、ただその場に立ち尽くした。


「ごめんね、ここに来るまで十年もかかっちゃって」


 長い沈黙の後で、香奈はそうつぶやいた。周りの雑木林から、ヒグラシの鳴き声が聞こえ始める。甲高い声が静かな墓地の中で、切なげに響き渡る。彼女は手を合わせ、その場にしゃがみ込む。彼女の左手の薬指にはめられた指輪が夕日を反射して瞬いた。


「懐かしいよね。ちっちゃい頃さ、よくここでみんなと一緒に遊んだよね。追いかけっこしたり、缶蹴りしたり、それでお供物を倒しちゃって、住職に怒られたりしてさ。あの頃はこの町が私の全てだった。この町で歳をとって、いつか雄太と結婚して、もちろん時々は喧嘩をしちゃうけど、それでも笑いでいっぱいの家庭を築いて、最期は子どもたちに囲まれて、あー幸せだったなーって思いながら死ぬんだろうなって、本気でそう思ってた」


 山の向こうへと沈みつつある夕日が濃い色の影を落とし、彼女の顔を半分だけ覆った。灰色の石畳の上に、しゃがみこんだ香奈の影ができる。彼女がぎこちなく身体を動かすと、影もまた彼女の動きに合わせて、ぎこちなく揺れた。


「だからさ、あの事故で雄太死んで、この町がぐちゃぐちゃになった時、大袈裟でもなんでもなく、私の世界がガラガラって音を立ててぶっ壊れたの。町は少しずつ元に戻り始めたけど、もちろんそこに雄太はいない。だけど、通学路を通るたびに、同級生に会うたびに、雄太の顔と、それからあの事故で真っ黒こげになった雄太の姿がフラッシュバックして……。気がつけば、ここでしか生きていけないと思ってたこの町が、死ぬほど嫌いになっていた。現実を受け止めて、前を向いて生きていけるだけの強さが私にはなかった。だから……逃げるようにしてこの町を出ていって、それから十年も帰ってくることができなかった。


 ずるいってわかってる。棚橋くんとか穂乃果とかさ、みんな同じだけ辛い思いをしてたのに、悲しい気持ちとかを乗り越えて、この町とみんなのために必死に頑張ってるんだもん。私だけがみんなみたいに強くなれなくて、前に進むって気持ちにどうしてもなれなかった。ここに戻ってくることができなかったのは、それに対する引け目があったからかもしれない。その引け目と雄太の死から目を背け続けているっていう罪悪感が、ずっとずっと心のなかで暴れまわってた。


 健さん……今の私の夫なんだけど、彼からプロポーズされた時ね、雄太の顔がパッと思い浮かんだの。雄太が苦しみながら死んだのに、みんなが町に残って必死に頑張ってるのに、逃げるように町から出ていった私がさ、好きな人からプロポーズされて、一瞬でも幸せだって感じてしまった。そのことに気がついた瞬間、罪悪感で頭の中がぐちゃぐちゃになって、比喩でもなんでもなく、その場で吐いちゃったんだ。その場にうずくまって、誰に言うでもなくさ、ただただ、ごめんなさい、ごめんなさいって言うことしかできなかった。もちろん、雄太だったら……私の大好きだった雄太だったら、きっとおめでとうって祝福してくれるんだと思う。棚橋くんだって穂乃果だって、きっとそう。でも、私がそんな風に考えられるまでさ、長い長い時間が必要だったの」


 香奈が深く息を吐きながらうつむき、それから両手で顔を覆う。それから何かを振り切るように頭を振った後で、目に涙をためながら顔をあげた。子供ができたんだ。可愛い女の子。香奈が目の端に浮かんだ涙を手で拭いながら、そうつぶやく。


「私だけの人生じゃなくなったの。ごめんね。子供の小さな手をぎゅっと握った瞬間ね、自分でもよくわかんないうちに、生きなきゃって思ったの。雄太を忘れるわけじゃない。この町を忘れるわけじゃない。全部を背負い込んで、全部を受け止めて、生きなきゃって思った。単純だなって笑ってるかな。それか、今さらかよって笑ってるのかもね。生きなきゃって決めてからも、昔のことを思い出すのは死ぬほど辛かったし、この町に戻ってこれるまでそれから何年もかかっちゃった。でもね、いつか雄太に言わなきゃって、ずっとずっと思ってたよ。昔みたいにさ、私の目を見て、ちょっとだけはにかみながらさ、聞いて欲しいな」


 香奈が胸に手をあて、自分の呼吸を落ち着ける。夕日が山の後ろへと隠れていく。辺りが少しずつ暗くなっていく。風が少しずつ冷たくなっていく。そして、長い長い沈黙の後で、香奈は僕のお墓に向かって、今にも泣き出しそうな声で、語りかける。


「私……幸せになります」


 香奈の右頬を一筋の涙が伝う。気がつけばヒグラシの声は聞こえなくなっていて、遠くからたくさんの人達のにぎやかな声が聞こえてくるような気がした。彼女はゆっくりと立ち上がり、それから、棚橋たちがいる花火会場へと戻っていった。



*****



 花火会場は去年よりもずっとたくさんの人で賑わっていた。浴衣姿で仲睦まじげにおしゃべりをする人もいれば、打ち上げ花火を今か今かと待ち遠しそうに時折、空を見上げ、目を細める人もいる。深い藍色の空では、ポツリポツリと星が輝き始めていた。


 墓地から戻ってきた香奈が実行委員のテントに戻ると、テントの中ではちょうど香奈の娘と安藤が楽しそうに手遊び歌をやっている最中だった。棚橋が香奈に気が付き、それから彼女の濡れた頬に視線を向ける。


「もう済んだか?」


 棚橋の言葉に香奈がうなずく。棚橋が笑う。来年も来てくれるよな。来年だけじゃないよ、再来年も、その次の年も、絶対に来るから。棚橋の問いかけに香奈が笑い返した。


 打ち上げ花火の時間が近づいてくる。香奈や棚橋たちがテントの外から出て、花火が打ち上がる方角を見つめる。あたりはとっぷりと暗くなり、テントのそばに建てられた簡易の灯りだけがおぼろげな光を放っているだけ。棚橋がちらりと自分の携帯で時刻を確認する。そして長い長い沈黙の後で、一閃の光が笛のような音を立てながら空に昇っていった。光が夜空の真ん中まで到達すると、音が止み、夜空に吸い込まれ、何も見えなくなる。


 そして次の瞬間。一輪の花火が夜空に咲き誇った。黄緑色と紅色をした幾筋もの火花が大きな光の輪を描く。それを合図に、立て続けに花火が打ち上げられいき、夜空を、町を、花火を見上げる人々の顔を、鮮やかな色に染め上げていく。


「花火!!!」


 香奈の娘が安藤の膝の上で叫ぶ。その無邪気な声に周りの大人がつられて笑った。会場にいる人達も、会場の外でこの花火を見上げている人たちも、それぞれがそれぞれの想いを抱えながら花火を見上げていた。美しい花火に、爆発事故で亡くなった大切な人たちへの祈りを込めて。


「私ね、あの事故があった年の夏、家で首を吊って死のうと思ってたの。紐が私の体重を支えきれなくて、結局死ねなかったけど」


 香奈がいつの間にか横に立っていた皆藤の方へと振り返る。皆藤は香奈の方へと顔を向けることもなく、ただ黙って夜空の花火を見上げていた。花火が打ち上がるたびに、彼女の横顔が色鮮やかな光に照らされる。皆藤がようやく香奈の方へと顔を向け、切なげにほほえみ、言葉を続ける。


「工場で働いてたパパとママが死んで、一人ぼっちになって、毎日死ぬことしか考えてなかった。もう会えなくて悲しいとかじゃないの。病院でたくさんの管に繋がれたパパとママを前に何もできなかったことが、親孝行の一つもできなかったことが、どうしようもなく辛かった。最初の年の花火大会を手伝ったのだってさ、私にとっては現実逃避に近かったのかもしれない。


 でもさ、今は違う。こうやって毎年花火を打ち上げて、町のみんなが綺麗な花火を見て、一年に一度でもあの事故で亡くなった人たちのことさ、悲しい気持ちじゃない気持ちで思い出すようにするのが、私なりの親孝行だなって思えるようになったの」


 今まで一番大きな花火が夜空に打ち上がり、会場のあちこちから一際大きな歓声が上がる。


「私達がいなくなっても、また別の人達がこの打ち上げ花火を引き継いでくれて、それでこの花火がいつまでも続いて欲しいし、そのためにいっぱい頑張ろうって思ってる。それが、私なりのあの事故への向き合い方だし、カッコつけた言葉で言うなら、私なりの人生の目標なんだよね」


 泣かないでよ。皆藤が泣きじゃくる香奈をからかうようにそう言った。それから二人は何も言わず、夜空の花火へと視線を戻す。どこからか誰かの楽しげな笑い声が聞こえてくる。どこからか誰かがすすり泣く声が聞こえてくる。夜空を埋め尽くすように咲き乱れる花火は、そんな人々の想いを乗せて、藍色の夜空へと吸い込まれていく。


 きっと、続くさ。何十年でも、何百年でも。皆藤の言葉に答えるように、棚橋が夜空に顔を向けたままつぶやくと、安藤や周りの実行委員たちが笑いながら頷いた。


 終わりの時が近づく。会場に集まっていたすべての人達が息を止め、夜空を見つめる。人々の祈りを乗せて、最後の花火が打ち上がる。そして、かつて絶望の底に沈んだこの町の夜空に、色鮮やかな光の輪が広がり、散っていった。

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