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怪奇討伐部Ⅲ  作者: グラニュー糖*
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お兄ちゃん

第一話 呪いと共に現れた兄弟愛



 十数年前のことだった。


 魔界と霊界の交流が途絶えてしまったのだ。人間界と霊界の交流は保たれたまま。もしそれも途絶えてしまったらもしかすると人間界が崩壊してしまう恐れがあるだろう。なぜなら、人間界に幽霊が溢れだしてしまうと、人々が怯え、仕事にならないやら怖いからなどと言って何もしない人たちが増えてしまうからだ。


 そしてそんな人たちを作らないように結成されたのがこの秘密組織……。世界から腕利きの人たちを呼び、ここ日本に集結させた。


 まず日本の刑事の黒池皇希。

 ロシアの警官、コードネーム「デス」。

 アメリカの一般人、姉であるベアリム・レストと弟のイリア・レスト。彼女は今回の作戦の紅一点である。

 そしてこの俺、シフ・ケヴェンティア。

 あとは俺らの国の戦闘員たちだ。


 最初に霊界に攻め込み、魔界へと進む。霊界とコンタクトを取れるイタコという職業の人に聞いてみると、霊王一人だけらしい。それになぜか弱りきっているようだ。こうなればやることは一つ。霊王を倒すか、捕まえるかのどちらかだ。


「あのー、質問いいですか?」

「どうしましたか?」


 質問だと言って手を上げたのは黒池さん。長いサラサラの黒髪で、青いコートを着ている。普通、刑事といえば銃だが、彼はなぜか剣を持っている。


「幽霊はわかりますが、悪魔ってどんなのですか?聖書とかに出てくるような奴らなんでしょうか?」

「悪魔と言ってもそんなに悪い奴ではありません。聖書は悪いところしか書かれていませんからね」

「じゃあ、脳みそ吸ったり、改造したりするのでしょうか?」

「映画の見すぎです。てかそれ宇宙人ですよ!?」

「……黒池さん、見て」


 はわわ、と怯えながら俺の話を聞いている黒池さんを呼ぶ声があった。アメリカのイリアくん。彼はちょうど十歳の男の子で、いつも携帯を弄っている。ただ弄っているのではなく、いろいろコントロールすることができるらしい。もちろん普通に携帯として使える。彼は天才発明家で、どこでも機材が揃えば爆弾も作れちゃうすごい人だ。

 イリアくんの携帯を覗き込んだ黒池さん。顔面蒼白になっていた。


「お、オバケ……」

「くくっ……やっぱり黒池さん面白い」

「何やってんの、イリア!黒池さんは怖がりなんだから!ごめんなさいね」

「い、いいんですよ……年頃の男の子のイタズラだと思えば……あははは……」

「もう……大丈夫かなぁ、このメンバー」


 俺は頭を抱えた。

 イリアくんはイタズラ好きだ。そんな彼のストッパーは姉のベアリムさん。彼女も黒池さんと同じく剣を扱っているが、ベアリムさんの方が圧倒的に大きい。

 この会議室がさらに騒がしくなったとき、ずっと沈黙を保っていたロシアのデスさんが口を開いた。


「……これが定め……か。この混沌を鎮められるのは……」

「もう、みんな黙ってくださーい!」


 俺は机を両手でバンッ!と叩いた。黒池さん、イリアくん、ベアリムさん、デスさんは驚いてこっちを向いた。やっと静かになってくれた……。


「やはり闇を操りし者はシフであったか……」

「そこ、黙る」

「……ふんっ」


 デスさんは中二病だ。それ以外わからない。本名だって教えてくれない。もし魔界に行ったらいろんな意味で誰も止められないだろう。


「では、この作戦メンバーのグループ名を発表します!名前は……怪奇討伐部!……異論は認めません!!」


____待っていてください、ヘラさん、ムジナ……必ず俺が……。


____俺が、倒します。



__________



 ここは魔界にあるコルマーという大きな城下町。ここには酒場が多いことで有名だ。オレはこの町の路地裏によく足を運ぶ。前はここを住み処にしていたが、今はバノンという町にある鍛冶屋で世話になっている。今日はその鍛冶屋の主人とは別行動だ。


「そろそろ暗くなってきたし、帰ろうかな。カリビアのお土産も買ったし!」


 軽い足取りで帰ろうとしたその時だった。何者かの気配を感じた。


「……誰かいるのか?」

「……ふふふっ、やっぱりお兄ちゃんは勘が鋭いね」


 クスクスと笑いながら建物の影から出てきたのは青い髪の少年だ。手には大きな針が数本ある。それが武器だろう。


「お前か、この殺気は」

「そうだよ。殺しはしないけど、戦えなくしてあげる」

「意味がわかんねぇな!」


 突然始まった戦い。いつもは戦闘音がすれば誰かが寄ってくるのに、誰も来ない。集中してみると、ここら一帯に呪いの力が発生している。こいつもオレと同じ呪術師なのか。


「お兄ちゃん、そのマフラー邪魔じゃないの?というかそんな柄買うような人じゃないし……誰かに貰ったの?」

「お前には関係無いだろ」

「冷たいなぁ、お兄ちゃん」

「さっきからお兄ちゃんお兄ちゃんって……何なんだよ!」

「……」


 彼は一旦離れ、左手を上げた。それと同時に地面から魔力の塊のようなものが突き上げてきた。オレは逃げる間も無く、思いっきり喰らってしまった。オレは全身に傷を負い、立つ体力さえ無くなってしまった。カリビアから貰った剣も手から滑り落ち、青い髪の少年の方へと滑っていった。


「なんだ、これ……!おい、剣……返せよ……」

「言われなくても返すよ、お兄ちゃん」


 少年は剣を拾ってオレの前に突き刺した。まるで墓標のように。そして彼は後ろを向いてどこかへ去ろうとした。どうしてお兄ちゃんだなんて言っているのか。それだけは聞き出さないといけない気がした。


「なぁ……教えてくれ……どうしてお兄ちゃんだなんて……」

「だって……」


 彼は振り向いてにっこり笑った。


「僕のお兄ちゃんなんだもん」

どうも、グラニュー糖*です!


いやー、怖い!怖いね!

急に出てきて「お兄ちゃん」とか怖いね!

……と、一人っ子の私が嘆くのでした。


そして、気づいた方は驚いたでしょうね。

そうです、シフがいるんです!

何でだ、お前助けてもらった身だろ、こんにゃろー。(棒)

彼らの戦いは、完結するのだろうか……?!


お楽しみに!


では、また!

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