この世界の日本プロ野球球団について
====球界再編問題について====
龍太朗たちが小学生のころ、大阪や奈良・京都・三重・愛知までの広大な鉄道網を持つ鉄道会社・関西鉄道が経営難に陥り、所有する球団・大阪関鉄バイソンズの保有権売却による、ジェネックスグランツへの統合合併の構想が、報道により表面化した。
バブル景気崩壊による大不況のあおりも受け、観客動員数や放映権収入も伸び悩む中で、選手年俸の高騰が球団経営を大きく圧迫しており、読日タイタンズ・阪陽ホーネッツ・広島スカーレッツを除いた9球団が、オーナー企業の「宣伝費」という名目による補填がなければ、ことごとく赤字経営であった。
この構想に端を発し、バイソンズだけでなく、東京ファルコンズや千葉カムロパイレーツ、福岡ホウエーラスターズ、本拠地を移転したばかりの北海道第一ハムアンタレスなどもひっくるめての合併構想まで現れ始め、球団数の大幅削減による1リーグ制移行への流れが唐突に、しかもオーナー間でばかり話が進んでいく異様な情勢となっていった。
しかし、これに待ったをかけたのが選手会側と、何より野球を愛するファンたちであった。選手会側がオーナー側との対談を求めた際、タイタンズのオーナーが選手側を愚弄する発言に終始し続け、選手会側が態度を一気に硬化。プロ野球の大幅な収縮を避けろと求める選手会側と、経営問題であるとして譲らない球団経営陣側との交渉は、日本プロ野球連盟『JPBF』を仲介させても決着はつかず、ついに日本プロ野球で史上初の“ストライキ”による試合中止が決行された。
代表として奔走したファルコンズの名捕手・選手会会長の鶴矢淳史へは、ファンからの温かい激励メールが多数寄せられた。ファンを味方につけた選手会側に、経営陣側は折れざるを得ず、グランツとバイソンズの合併承認と同時に、新規参入が容認。当初はIT企業・「NowSite」(経営状態を理由に結局否認される)、同じくネット関連企業・「永楽」、家電量販大手の「タジマ電機」が参入を表明する。
しかし、他に参入を希望する複数の企業側から「単独参入では負担があまりに大きすぎる」と、複数企業との合弁会社による運営を認めるよう連盟側に多数の要請が入り、既存球団の拒否反応は多かったものの、参入障壁を減らすため、これも容認。
すると球団減少どころか、さらなる参入球団が現れ、結局仙台をメイン都市とし、バイソンズとグランツの分配ドラフト受け入れ先として指定された東北永楽ファイアーウィングスを筆頭に、新潟・岡山・静岡・大阪と、5球団が新たに誕生。ウィングスを除く4球団は1年間、2軍のみ参加の上で力を貯め、2年目に本格参入し、エキサイトリーグに2球団、オーシャンリーグに3球団振り分けられ2リーグは存続の上、4地区に分割された16球団による、新たな日本プロ野球リーグが船出することとなる、はずだった。
創設初年度の内に、翌年におけるリーグ内の東西分割を決定させなければならなかったが、既存11球団中、特に人気球団であるタイタンズとホーネッツとの試合数激減に納得しないエキサイトリーグ側の球団がほとんどで、議論は完全に空中分解してしまった。これを見越し、ウィングスを除いた新規4球団の連絡会が別途創設。会談を重ねた結果、それぞれのリーグには所属せず、半ば追い出されてしまう形ではあるが、新リーグを設けることを目指し、さらに2球団の参入を求めた。
これにより、新たなるプロ野球リーグ「サンライズリーグ」が設けられ、新潟・宇都宮・静岡・大阪・岡山・長崎の6球団が所属することが確定。5月半ばから3リーグのインターリーグ「交流戦」が導入されることが決定し、3リーグ・計18球団による、日本プロ野球の新体制が幕を開けることとなった。
また、ラスターズを保有していた小売業大手・ホウエーの経営危機も表面化し、ネットインフラ企業・サイキックによる買収も行われ、これをもって球界再編の終結となった。
====日本プロ野球・チーム紹介====
〇エキサイトリーグ(指名打者制:なし、延長12回まで)
エキサイトリーグは元々、新聞社などマスコミ系親会社の球団主体。人気球団の読日・阪陽のライバル同士が「伝統の一戦」として特に人気カード。テレビの時代に突入すると、人気選手の台頭と共にあっという間にお茶の間の人気コンテンツとなって、オーシャンリーグとは比べ物にならないほど多くの観客を動員してきた。近年も日本における野球リーグの中心ではあるものの、新たな試みに関してはやや消極的な感は否めない。
・読日タイタンズ(本拠地:東京セントラルドーム)
大正時代に結成された野球倶楽部を発端として発展した、「球界の盟主」と称される常勝軍団。オーナー企業は、日本トップの購読者数を誇る新聞社・「読日新聞グループ」。とにかくパワーヒッターや実力派投手などFA戦線では札束の力を目いっぱい使って補強している。
近年は、FAの際に自チーム選手流出を全力で阻止するような、ルールの隙を半ば悪用するような動きが目立つなど、昭和時代に「紳士たれ(紳士であれ)」と忠告された頃以上に、他球団ファンから倫理観に関して文句を言われるケースも多い。
ホーム球場はキャパシティ4万7000と、日本最大の収容人員を誇り、国際大会も数多く開催される。超人気球団であるタイタンズのホームゲームではこのキャパを遺憾なく発揮し、毎度の超満員を記録している。両翼は広いが、ライト・レフトのスタンドは直線的で、ある程度のフライを打ち上げてしまえば、ドーム内の気圧の影響により、ホームランになる率が高い。
・阪陽ホーネッツ(兵庫・甲子園球場)
大阪から神戸を結ぶ私鉄・阪陽電鉄がオーナー企業の歴史ある球団であり、タイタンズとの宿命のライバル。外国人野手の獲得に長らく苦労している。広い甲子園を生かし、近年は投手陣の整備が一気に進んだものの、守備力の強化はいまだ放置されている。とにかく熱狂的ファンからのヤジがえぐい。
キャパシティ4万3000を誇る甲子園球場という、高校野球の全国大会で使用している球場をホームとしているため、センバツ大会のあるシーズン開幕すぐや夏場の選手権の時期には、「スカイドーム大阪」での主催試合を行ったり、長期間に及ぶ遠征試合で対応しており、夏場の遠征は「死のロード」と呼ばれている。
・広島スカーレッツ(広島・シビックボールパーク広島)
広島市民とともに歴史を紡いできた「市民球団」。昭和後期の優勝から長らく低迷していたが、近年ようやく上昇気流に乗ってきている。FAによる選手獲得は殆ど行わず、徹底してドラフト獲得した選手の育成で成り立たせている。絶対的エースの系譜と一定以上の守備力の高さ、そして足でかき回す傾向の強いチーム。
オーナー企業、というよりオーナーは広島の自動車メーカー・アキジ自動車の創業家一族の、持ち合いによる運営会社。
収容人員3万3000を誇る球場は、近年建設された市民球場だが、アメリカ大リーグのスタジアムを参考に作られ、スタンドも左右非対称なのが目立つ。それでも総工費は比較的安価なことも特筆点。かつての本拠地は他球団に比べて相当にサイズが小さく、昭和後期のころは強力打線を擁して優勝した経験も持つ。
・東京ファルコンズ(東京・神宮球場)
首位攻防と最下位争いを短期間に行ったり来たりしている、推移がジェットコースターのようなチーム。この20年ほどは速球派投手の系譜が続くと同時に、強力打線を有するチーム。ただ、投手陣が崩れ出すと一気に下位へ引きずり降ろされてしまう傾向が強い。
外国人野手のスカウトに定評があり、走攻守そろった選手から、超攻撃型選手まで優良選手が多く、得点力は凄まじい。オーナー企業は医薬品・飲料メーカーの「ラクルス」。のわりにシーズン中のケガ人はリーグでも屈指の多さ。
3万の観客を湛える球場は、大正の世から学生野球のメッカとして使用されているが、90年近い歴史を刻んでおり、大規模都市開発の只中で建て替えの刻限が迫りつつある。
・横浜DewLightベイレグルス(神奈川・横浜ベースボールスクエア)
テレビ局・関東中央放送が買収して以降、長らく優勝から遠ざかっており、近年IT企業・デュライトが買収してユニフォームなどイメージが一新。全くいいところ無しだった外国人補強にも近年は成功しており、ようやく戦力整備にめどがつき、戦える状態まで持ってきた。ワラワラ動画での試合生配信によって、ネットでの人気が上がってきている。
関西出身ながら、横浜を愛し、横浜に愛された投手、「ハマのカシラ」こと三笠豪介が長らくエースとして君臨している。
ホーム球場は都会のど真ん中にある市立公園の園内にあり、完成当初は両翼のポールまで最も遠い野球場であったが、以降に完成したスタジアムや改修工事などによって、気が付けば一番狭い部類になってしまった。なお、フェンスは高いが、観客席が傾斜のきついすり鉢状になっていて幅が狭く、場外ホームランが出やすい。キャパシティは拡張工事によって3万4000を超える。
・中京ワイバーンズ(愛知・東海ドーム)
愛知県の地方新聞・中京日報がオーナー企業で、堅固な投手陣が脈々と引き継がれている。中米からスカウトした外国人選手を打線の軸とし、絶対的守備力の高さと合わせて一時栄華を誇っていたが、近年は極度の貧打に苦しんでおり、さらにはフロントと選手の不和が深刻化している。低迷しながらも観客動員は多いが、一部ファンからは「身売りしろ!」というヤジが飛ぶ場面も。
東海地方を代表するドーム球場を本拠地としており、高いフェンスと広大なフィールド、そして天井にまで届く長ーいファウルポールが特徴的。キャパシティは3万6000。
〇オーシャンリーグ(指名打者制:あり、延長12回まで)
かつてはマスコミ系がエキサイトリーグに集まり、こちらは鉄道会社や映画製作会社が親会社として構成されていたが、テレビの時代が進むにつれ人気は低迷し、球場も閑古鳥が鳴いていた。それでも名選手は多数おり、『人気のエキサイト、実力のオーシャン』と長らく評されていた。
球界再編以降、ネット配信に特に力を入れ、地域密着を意識した経営方針が各球団に浸透していき、観客動員も増加。エキサイトリーグと遜色ない人気を獲得した。
・北海道第一ハムアンタレス(北海道・シルバードーム札幌)
かつては東京セントラルドームを本拠としていたが、球界再編問題の前年に本拠地を北海道へ移転。地味な球団から一転、地域密着を旗印に一気に人気球団へ。“ミーハードラフト”とも揶揄される、直近の最注目選手を徹底してドラフト指名し、競合しようとも強運で引き当てるケースも多い。オーナー企業は食品大手・第一ハム。
人工芝での野球開催と、天然芝のサッカー・ラグビー競技の開催が可能というこれまでにない特徴を持った、キャパシティ4万1000という北の大地随一のドーム球場を本拠地としているが、広大なフィールド且つ高いフェンスの影響で、ホームランがとにかく出づらい球場。なお人工芝については選手側からの不評が非常に多い。
最近は本拠地の管理会社との契約で泥沼の情勢となっており、FA補強もままならず、高年俸となった選手への容赦ない契約解除などで何とか窮乏をしのいでいるが、球団本部が業を煮やし、本拠地移転は時間の問題と言われている。
・東北永楽ファイヤーウィングス(宮城・Eリーブルスタジアム仙台)
球界再編時、バイソンズがグランツに合併され、サンライズリーグが奇数球団になることを避けるため、新たに参入企業を募った際に手を挙げたネット関連企業・「永楽」がオーナー企業に。
ユニバースが分配ドラフトにて有利な条件で選手を囲ったことから、初年度は大苦戦を強いられたが、投手力の強化と外国人補強がバチッとハマった年に、ユニバースよりも早く優勝・日本一の栄冠にたどり着いた。
キャパシティ2万8000と、東北地方でも比較的大きな地方スタジアムであった県営球場を本拠地に指定し、客席のクオリティアップのため、一度収容人員を2万まで減らした後、改造に改造を重ねてボールパークへと仕立て上げていった。現在のキャパは3万1000程度。
・千葉カムロパイレーツ(千葉・NONOスタジアム幕張)
韓国創業の食品会社・カムロの日本法人がオーナー企業の球団。幕張新都心の海岸沿いに構える球場は非常に海風が強く、打撃に守備に敵味方関係なく苦しむことが多い。
球界再編の時期、パイレーツにも身売りの噂が流れており、最悪の場合、10球団での1リーグ制に移行まで検討されていたようだが、これについては幻に終わった。2リーグ時代で史上唯一、シーズン3位からプレーオフを勝ち上がって、そのまま日本一まで上り詰めた経験があり、「短期決戦のパイレーツ」、「下剋上の海賊団」と称されている。
改修を重ね、キャパシティは2万9000ほど。ただ、海風に晒されたホーム球場は劣化が早く、行政と協力のもと、球場の建て替えあるいは市内での移転計画が進みつつある。
・埼玉上武グラディエイツ(埼玉・上武クイーンズドーム)
かつては福岡県の私鉄・福岡電鉄が保有し、福岡を本拠としていたが、八百長による賭博行為に関わった選手が複数在籍しており、球界追放となってチームは低迷。以降保有企業が4度も変わることになる。
最終的には関東の鉄道会社・上武鉄道が買収し、埼玉へ移転。しばらくの低迷ののち昭和末期に黄金期を築いた。現在も強力打線の系譜が綿々と引き継がれ、俊足選手も多く、攻撃面で非常に恐れられている。ただし昨今は投手陣、特に中継ぎが総じて良くない。
丘陵地帯のダム湖近くに位置するホームスタジアムは、元々屋外球場だったが、これに屋根を取り付けドーム化。キャパシティ3万1000の球場は、豊かな自然を感じられ、場外ホームランが出るドーム球場でもある。なお、グラウンドでは雨をしのげるが、乱天の場合は客席に雨が降りこんだり、空調が利くわけではないために、春先や秋深くなると寒く、真夏には熱中症対策が必要なほど熱気が籠もるため、「全天候型」ドームとは言えない。
・ジェネックスユニバース(兵庫・フォレストフィールド神戸)
かつては「大急エレファンツ」として、関西私鉄の雄・大急電鉄が保有していた球団。金融系企業・ジェネックスへと身売りしてしばらくし、チーム名が「グランツ」に変更され、兵庫県西宮から神戸市立の新球場に本拠地を移転した。平成初期の大震災で疲弊したホームタウンへの思いを胸に快進撃を続けて日本一となり、一時強豪球団としてオーシャンリーグの上位を争っていたが、短期間で低迷期に。バイソンズの経営危機により、球界再編のただなかで救済合併。球団名を再改称した。
有利な条件で行ったはずの、合併時分配ドラフトが全く機能せず、長い冬の時代があったが、近年は速球派投手をズラリと揃える投手王国に。神戸を本拠地とはしているが、リベルターズよりもスカイドーム大阪での主催試合開催が多い。
緑豊かな運動公園に立地する球場は、美しい内外野総天然芝を有し、プレイ環境の良さから「日本一のスタジアム」とも称されるほど。キャパシティは3万5000を誇り、地下鉄駅直結の好立地ではあるが、市街地から地下鉄でもやや時間がかかる。
・福岡サイキックレイダーズ(福岡・博多GAROO!!コロシアム)
大阪と和歌山を結ぶ私鉄・阪海電鉄が保有していたころは「レイラーズ」として、大阪難波が本拠地であったが、昭和の終わりごろにスーパーマーケットなどの総合流通企業・ホウエーへ身売りし、福岡へ移転。同時に「ラスターズ」に改称した。平成半ばから強力な先発投手陣と打線を擁し強豪球団となったが、球界再編に関連してネットインフラ企業・サイキックへさらに球団が売却され、「レイダーズ」に再改称。身売り後の近年は資金力をバックに大型補強・大規模な育成施設を備えた常勝球団と化した。
東京セントラルドームに次いで、日本で2番目に建てられ、かつ日本初の開閉式屋根を備えたドーム球場。キャパシティ4万に高いフェンスを擁して、国内随一のホームランが出にくい球場だったが、それでもなお当時の強力打線は、このスタンドを軽々と越していく猛者揃いであった。なお、屋根の開閉機構は非常に費用が掛かり、騒音問題もあって現在はほとんど使われていない。
○サンライズリーグ(指名打者制:なし、延長10回まで)
球界再編で新たに創設されたリーグ。既存リーグ合流を予定していた際の、アポロンズ・アイビス・トライデンツ・リベルターズの4球団は、開設1年目を二軍のみで戦ったが、新リーグ創設決定となった際に参入を決めたブリッツとヴァルカンズは、半ば「ぶっつけ本番」という状況で本格参入のリーグ戦を戦い始めた。公共交通機関にやや難のある地方の本拠地が多く、帰宅の足を確保させるため、延長戦は10回の1イニングだけ行うというルールを設け、『1軍外国人枠は6名まで』『アジア諸国出身者は0.5人扱い』など、既存リーグと異なるレギュレーションを盛り込みつつ、ほか2リーグに追いつけ追い越せと、シーズンを戦い続けた。
当初の交流戦では、エリーグ・オリーグに連戦連敗で、交流戦順位表では13位から18位までにサリーグ6球団が綺麗に並ぶことがしばらく続いたが、ドラフト会議参入による戦力の平準化や選手のレベル向上もあり、その状況は過去のものになりつつある。比較的関係が良好なオーシャンリーグと協力して、ネット配信に力を入れ、誘客効果を狙いつつ、更なるリーグの発展を目指している。
・瀬戸内ダイヤモンドアポロンズ(岡山ソレイユスタジアム・シトラスフィールド松山)
四国島内にて、日本国内初の独立プロ野球リーグを創設しようと準備していた矢先、球界再編問題が噴出し、その流れに乗って新規参入したチーム。岡山と松山のダブルフランチャイズを敷いているが、交通の利便性が考慮され、岡山での開催がやや多め。たまに徳島、および2軍の本拠地である高松での主催試合開催もあるが、球場環境の都合で高知での開催がなかなか実現しない。
ギリシャ神話における光明と芸術の神の名を冠し、堅実な守備力の高さが売りのチームであり、球場の芝生にエメラルドグリーンのユニフォームが映える。投手力が付き始めると、そこからはトントン拍子に調子を上げ、リーグ2チーム目のリーグ優勝を果たした。
オーナー企業は、焼肉のタレなどで知られる食品大手・「西海食研」と、日本最大手の紡績企業・「オカヨン」が出資した合弁企業。
ホーム球場・副本拠地ともに西日本でも屈指の主要球場であり、収容人員はともに3万人と申し分ない。両球場の特徴でもある広大なファールゾーンを生かし、守備力の向上も伴って、チームは安定した成績を残している。
・新潟ヴァーミリオアイビス(新潟RRRスタジアム)
球界再編時、アポロンズと同様に北信越地域をメインにして独立リーグ構想が沸き立った中で参入したチーム。菓子メーカーの「パルミ食品」、米菓製造の「新潟製菓」、ホームセンターチェーンの「クエビコ」と、新潟県下の3企業が出資した合弁会社がオーナー。ほとんど新潟での主催試合だが、長野や富山、石川など北陸地域での試合も少々。県鳥・朱鷺を球団名に持ち、鮮烈なオレンジ基調のユニフォームが非常に目立っている。
投手陣の整備に特に力を入れ、シーズン最少の被本塁打を記録して、サンライズリーグ初代王者に輝き、そこから3連覇を果たした。それでもまだ、日本シリーズには辿り着いていない。
北信越地方随一の大球場を本拠地とし、キャパ3万に外野席後方には芝生広場もあるため、立ち席利用も含めれば多くの人々が観戦できる。しかし、市街地からのアクセスに難があり、球場の周りは広大な駐車場を設け、試合開催日は引っ切り無しにシャトルバスが新潟の街中を走る。
・静岡タジマトライデンツ(静岡県沢村栄治メモリアルスタジアム)
積極的にプロ野球球団誘致を行っていた静岡県に呼応し、神奈川県に本社を置く家電量販大手「タジマ電商」が、買収を目論んでいた当時の横浜ベイレグルスに見切りをつけ、新球団を設立して参入。『攻守と作戦力』の三位一体で強豪チームになってほしいという思いの元、ギリシャ神話に登場する神・ポセイドンが用いた、三叉の槍をモチーフに名付けた。
長距離砲が長らく不在で、空中戦は苦手だが、まさに波状攻撃とも言うべき、どこからでもつながる打線が身上の攻撃型チーム。優勝にはまだ手が届いていないが、ワイルドカードから連勝に連勝を重ね、日本シリーズに駒を進めた現状唯一のチーム。ポストシーズンで勝ち続けるダークブルーの荒波達・トライデンツに、当時の野球ファンはまさに震撼していた。
本拠地は地方私鉄・大洋鉄道が、沿線開発を名目として大正時代に建設され、のちに県へと寄付した由緒正しき歴史ある球場。市街地からのアクセスも良く、およそ2万2000のキャパシティから、早急な拡張が迫られているが、地元はサッカー熱のほうが強いため、いかんせん逼迫した観客動員とは言えない状況。
・長崎明星ヴァルカンズ(長崎ピースフルフィールド)
福岡県創業で、現在では世界トップクラスのタイヤメーカー・明星タイヤがオーナー企業。長崎が本拠地だが、宮崎や鹿児島、熊本など、同じく九州が本拠地のレイダーズと競うように南九州興行を行っている。
創設初年度から1軍の荒波にもまれることとなったが、ローマ神話における火の神を球団名にしている通りに、トライデンツとは真逆で大砲が並ぶ重量打線が持ち味。毎度の乱打戦で「サンライズリーグの噴火口」と呼ばれている。ただし守備はいま一つで、投手陣も好不調の波は激しく、自分たちが火口に引き摺られ、下位争いも多い。それでも、混戦模様となった年には打線が大爆発して、3チーム目の優勝経験を得た。近年はワイルドカード争いと最下位争いを行ったり来たりしている。最近では熊本県の行政側から、新設する県営球場へと副本拠地として正式に誘致する計画が持ち上がっている。
長崎のホーム球場は三塁側に鉄道の高架、一塁側に川が迫っており、やや窮屈な形状だが、キャパシティは2万5000。しかしライト側にあった市営プールの屋外施設が移転したことに伴い、ライトスタンドに客席が増設。3万人の収容が可能となった。九州の大都市・福岡から在来特急で2時間程度はかかるが、野球熱の強い地域かつ、市街中心地から路面電車でのアクセスも良く、ど派手なゲーム展開で客入りは良好。青に統一されたフェンスやシートに、ユニフォームの黒と赤のコントラストがとても目立つ。
・宇都宮 Winzardブリッツ(栃木県・宇都宮ライトニングコロシアム)
ヴァルカンズと共に、初年度から1軍にもまれることとなった急ごしらえ球団。親会社は、ブログ事業の展開から一気に急成長した、メディア・ゲーム・ネット事業を手掛ける「ウィンザード」。
宇都宮のみのフランチャイズだが、群馬や茨城など北関東での主催試合も一定程度行っている。近年ではパワー重視の野球が席巻しているものの、ドイツ語で「雷」を表すチーム名のように、イエローのユニフォームを土まみれにしながらグラウンドを縦横無尽に駆け回る、快足自慢の選手たちが並ぶチームで、徹底して足と小技で試合をかき回していく。投手力は並ではあるが、足を生かした守備にも定評があり、チーム成績は比較的良好。優勝経験はないが、ワイルドカードシリーズからファイナルステージ進出までの経験はある、北関東のカナリア軍団。
本拠地球場は工業地帯の只中にあり、市街地からのアクセスはバスに頼っていたが、近年路面電車の新設が決定し、アクセスの大幅良化が期待されている。内野席は広大にとられ、キャパシティ3万を誇るが、手狭だった外野の芝生席をベンチシート整備のために外野スタンドを拡張。キャパ3万は維持し、観戦環境もかなり整った。あとはファンと歓喜の瞬間を手繰り寄せるだけ。
・浪速リベルターズ(大阪市ポートタウン球場)
球界再編期に参入し、長らく低迷を続けている弱小チーム。参入以降ぶっちぎちの最下位が続き、上がり目が見当たらない。創設2年目である1軍参入初年度には、シーズン20連敗の日本記録を更新してしまった程度には弱い。ブルーのユニフォームが半ば哀愁すら漂わせている。
かつて存在したバイソンズの本拠地である“スカイドーム大阪”を当初本拠としたものの、1軍初年度のあまりの弱さに観客がまるで入ってこず、使用料を賄えないという判断で、翌年以降数えるほどの主催試合しか行わず、ホーム球場を臨海部の市営球場に早々と移した。
オーナー企業は、新規参入した他チームが複数でも3社ほどであるのに対し、リベルターズの場合、関西エリアの主要家電量販店「ヤマブキ電化」を筆頭に、工作機械等の商社「谷善」、パソコン周辺機器メーカー「Compers」、麺類などの食品会社「ハオハオ食品」、目薬など眼科向けの製薬会社「アルゴス製薬」と5社が入り乱れ、資本力のバランスも、統率も取れていない。
球場は芝生席であるレフトスタンドを都市高速の高架に阻まれており、バックスクリーン付近のスペース及び新交通システムの高架が迫るライトに無理やり増設した客席と、これまた無理に増設した内野席で何とか体裁を整えた、収容人数18,000足らずのキャパシティであるが、それでもなお満員になるほうが稀。ちなみに、ビジター側のほうが埋まりやすい。
====1年の試合構成====
同リーグチームとの試合
:22試合×5チーム=110試合(3連戦×6+2連戦×2)
他リーグチームとの交流戦
:3試合×12チーム=36試合(3連戦(ホームアウェイは年度ごとに交代))
合計146試合
〇ポストシーズン
各リーグ2位以上および「各リーグ3位チームの中でもっとも勝率の高かったチーム」が“ワイルドカード枠”として、『クライマックスシリーズ』に進出。各リーグ優勝チームのうち、勝率1位(A)と2位(B)がシードとなり、まずワイルドカード枠と『各リーグ2位の中で勝率最低のチーム』が“ファーストステージ・ワイルドカードシリーズ”を戦う。3戦中2勝を挙げれば勝ち抜け(X)。
次に「各リーグ2位のうち勝率トップと2番手のチーム」(勝者はC)、「リーグ優勝で勝率最低チーム(Y)と(X)のチーム」(勝者はD)がそれぞれ“セカンドステージ”を戦う。(Y)チームには「1勝のアドバンテージ」が付与された状態で、先に3勝すれば“ファイナルステージ”に進出(Yは2勝すれば勝ち抜け)。
CとA、DとBがファイナルステージを戦う際、AとBには「1勝のアドバンテージ」が付与されたうえで、先に4勝すればファイナルステージ制覇(A,Bは3勝すれば制覇)。制した2チームが『日本シリーズ』を戦い、7戦中4勝で日本一が決定する。
●二軍の構成
〇クライマーズリーグ(主に東日本球団主体・指名打者制あり)
アンタレス・ウィングス・アイビス・ブリッツ
タイタンズ・ファルコンズ・パイレーツ
グラディエイツ・ベイレグルス・トライデンツ
以上10球団
〇ボイジャーズリーグ(主に西日本球団主体・※)
ワイバーンズ・リベルターズ・ホーネッツ・ユニバース
アポロンズ・スカーレッツ・レイダーズ・ヴァルカンズ
以上8球団
※オーシャンリーグに所属するユニバース・レイダーズ、およびサンライズリーグのうちアポロンズ・ヴァルカンズがホームゲームを行う場合、指名打者制を施行する。