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リファー・リエゾン

 立太子の儀式ではなにも起こらなかったけど!婚約パーティーでついにシナリオが動きだす!いえーい!


 皇女様は、皇室の決まりとやらで不特定多数の男性の前に出ることを禁じられている。だから別室で母や上位貴族の女性達と女子会してる。

 私は将来の義理の弟だから挨拶はさせてもらえたけどさ。あの空間、SAN値ガリガリ削られたわー。ちょー怖え。女子会つーか魔女会だった。サバトだった。悪魔召喚できそうだった。リア充女子とか敵でしかないわー。表面上は和やかに、その実言葉のナイフが肺腑をえぐる。言質を取られず、利益を逃さず。それに負けてない皇女殿下、パネェっす。ヴェルネラビリティー王国の未来は安泰ですね。


 そそくさとパーティー会場に逃げ帰った私。入り口で待っててくれたジェイン君に手を降る。


 「先に楽しんでても良かったのに。」

 「プレローマ様と一緒の方が楽しいですから。」


 はい、正義!ジェイン君は正義、これ決定事項ね。

 8歳になったジェイン君はますます可愛さに磨きをかけた。柔らかな茶色い巻き毛に若葉のような緑の瞳。そばかすがチャームポイントになって、へにゃりと笑うと余計に幼く見える。

 やっべマジ可愛いわ。

 

 私は母親似でキツ目の顔立ちだから、ホント羨ましーんだよねー。女顔ではあるんだけどさ、魔女系だし…。兄が白馬に乗った王子様系なら、王位簒奪を目論む悪役系だし。ストレートな赤毛に三白眼気味な釣り目の色は金。何故か高圧的に見える顔立ち。…うん、何も言うまい。美形で良かった。そうでしょ?


 今日は目出度い日ということで、無礼講の立食形式なパーティーだ。この国では13歳以上じゃないと宮廷主催のパーティーに参加できない決まりだが、今日は特別。なんたって無礼講だし。

 私が第二王子だと気づいた人達が寄ってくる。


 「プレローマ様におかれましては、お初に御意を得ます」


 うん。当然、私もジェイン君も初パーティーだしね。個人的に引見した事は何度もあるから、別に緊張はしてない。あくまでも、王太子の婚約を祝う場所だしね、今日は。私はほんのオマケだ。

 長ったらしい貴族式の挨拶を適当にやり過ごし、兄と父を探す。

 

 昨日、「明日はとても大事な人に会うからちゃんとするように」と、とてもしつこく言われました。父と母と兄と乳母、それぞれから言われました。さっきも部屋出てくる時にまた言われたし。

 

 これはあれだね。今度こそ婚約者来るね。ピーンときたわ。

 

 ワクドキしながら二人を探す。たぶん、あっちの人だかりの真ん中に兄はいるんじゃないかな。見えないけど。声も聞こえないけど。

 …どうやって近寄ろう。本日の主役を引っ張りだすのは大変そうだなー。父親探すか。

 と、ジェイン君と相談をしていたら。

 

 「プレローマ」

 「国王陛下」


 父がやって来た。

 プライベートでは父上と呼んでるけど、公式な場面では国王陛下と呼ばないといけない。オンオフの切り替は大切だもんね。

 ジェイン君はさっと私の斜め後ろに下がる。出来る男の子は違うね!

 父の隣にいるのは母の弟、つまり叔父のクロンバック公爵。その横には公爵夫人、ではなく知らないお姉さん。腕に生後何日ですか?と聞きたくなる、生まれて間もなさそうな赤ちゃんを抱いている。


 ………………

 

 読めた。読めちゃったよ、私。


 「本来なら、このような場に連れて来るべきではないのですが」


 そう思うならやめとけや。

 私の思いを他所に、クロンバック公爵は続ける。


 「我が娘、リファー・リエゾン・クロンバックに御座います。

  プレローマ殿下の御意を得る栄を浴しました事、娘に代わって厚く御礼申し上げます。」


 婚約者赤ん坊とかキイテナイデース。つーか、8歳も年下の女の子に嫌われるとか無理ゲーじゃん。下手したら私、いじめっ子じゃん。フォローできないくらい嫌なやつじゃん。詰んだ。

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