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恋愛フラグは建てない方向性で

 ゲームならこのまま看病イベ突入なんだろうけど、真面目な私は先生に後を任せて教室に向かった。

 先生を呼びに行ったら丁度補助の保健の先生もいたので、そのまま靴箱の前で女生徒が倒れていることを伝え、授業がヤバイからと言ってよろしくお願いしといたのだ。

 ブレザーは昼放課にでも取りに行こう。ちょっと肌寒いけど、窓側の席だから大丈夫だろう。今日の天気は良いし。

 

 ご期待に添えなくて申し訳ないが、よく考えてみても欲しい。

 全くの初対面、それも異性。そして私は王子様。これでもしヒロイン(仮)を気にかけて保健室待機した場合。

 

 彼女は私の側室候補とみなされる可能性がある。

 

 まだリファーちゃんとの婚約が正式には発表されていないとは言え、実際は公然の秘密状態な訳だし、これは駄目だ。大変よろしくない。下手したら暗殺フラグだよ。

 リファーちゃんはまだ5歳。

 飛ぶ鳥を落とす勢いなクロンバックの権力をどうにかしたい奴らには、年頃のヒロイン(仮)はさぞ魅力的に見えることだろう。

 身分なんて案外どうとでもなる。上位貴族の養女にしたり、なんならどこぞの王族の落し胤にすればいい。

 例えばヴェルネラビリティーの発展が著しい今、山向こうの王国ならば喜んで彼女を王女と認めるだろう。国内が荒れて国力が落ちれば、クレアトゥーラへの支配が緩む。大公の子を味方に付けられたりしたらとってもヤバイ。ともすれば戦争だ。

 政治に携わっていない私でもこれくらいは思いつくんだ。権謀術数渦巻く宮廷にはたくさんの腹黒狸共がいる。もっとえげつない策謀が出てくるだろう。

 そしてクロンバック派に命を狙われる、と。

 さすがにそれはいただけない。

 

 よって、私の最善行動は、恋愛フラグをへし折り、あくまでもお友達としてのハッピーエンドを目指すこと。

 これに尽きる。

 

 体と同じように心にも性別はある。

 肉体的には男でも、私は結局どう足掻いても女でしかなく、また恋愛対象も男以外考えられない。

 一昨年から性教育――夜伽の実施訓練が始まったのだが、はっきり言って無理でした。全く欲情しない。身体機能に異常はないから不能とかじゃなく、ただ純粋に、女の体に欲情できないのだ。ソロプレイならなんとかなるんだけど。

 そりゃあね、前世では姉が裸族で父さんが帰ってくるまではよくマッパでうろついてたし。妹とは死ぬまでずっと一緒にお風呂入ってたし。これで同性に性的興奮するとかないわな。

 前はよく「もし男だったら嫁(男)孕ませれたのになー」とか言ってたくせに、実際男になったら女扱いしてほしくて仕方ない。たまにはスカート履いて目一杯オシャレしたい。女性の色を含んだ視線が嫌だ。同性の気を使わない友達が欲しい。剣ダコだらけの手が嫌だ。戦いたくなんてない。

 私は、女なんだ。

 

 だから私はヒロインとは絶対に恋愛ができない。

 それでも。

 もし彼女に恋のお相手がいるなら全力で邪魔するだろう。決して応援はできない。私以外とのエンディングを迎えられるのは困るから。婚約者がいたら大変都合が悪いけど、その可能性は低いと思う。なんたって彼女は恋愛シュミレーションゲームのヒロインなんだ。略奪愛とかないと信じたい。


 ごめんなさい。

 私は、アナタの青春を台無しにします。

 残り少ない自由な時間を、私のために使わせてしまいます。

 もしかしたら、アナタの将来を壊してしまうかも知れません。


 その代わり、アナタを絶対に守ります。

 死亡フラグも。誰かの策略も。例え母が相手でも。

 あらゆる悪意から守ります。


 だからどうか私を好きになって下さい。

 恋じゃなくて良いので、誰よりも好きになって下さい。


 それが、この世界から抜け出す絶対条件だと思うから。

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