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学園編突入!

 この国で学校と言った場合、それはこのヴェルネラビリティー王立国民学校を指す。

 王都から馬車で半日。二重の城壁に守られた、学園都市と言っても過言ではない学びの園。

 深い堀に囲まれ、高さ10m、総延長4㎞にもなる城壁の内側には兵舎や飲食店、雑貨屋などが軒を連ね、最早一つの町が形成されている。

 

 その中心。高さ4mの城壁の内側にある校舎は、意外なほど小さい。はっきり言って田舎の中学校レベル。初めて見た時は目を疑った。なんでも士官コースは基本的に野外訓練なので、校舎は小さくていいそうだ。妙なところで現実的だなぁ。

 その代わり――と言っていいものか、学生寮はかなり立派な物が建っている。校舎を挟んで右側のタウンハウス程度の建物が女子寮。左側のカントリーハウス程もあるのが男子寮だ。大きさの違いは、単純に女生徒が少ないからだろう。

 寮には専属の使用人がいるので、実家から従者を連れてくることはできない。また、例え王族であっても個室は認められておらず、最低2人、最大6人で相部屋生活を送ることになる。私のルームメイトは当然ながらジェイン君なんだけどね。権力バンザイ。

 

 全ての貴族が必ず通わなければならず(ただし卒業は必須ではない)、才能ある平民にもその門戸は広く開かれている、名目上は。生徒数はおおよそ千人。その内平民はわずか二百人ほど。

 男女比はだいたい7対3。平民のほとんどが男であり、半分の女生徒は成人と共に結婚中退するせいで、かなりむさっくるしい空間になっている。

 

 ちなみに中世ヨーロッパ風の世界観なのに何故か制服はブレザー。勿論ネクタイ着用で、色は学年により違う。爵位あるんだから学年なんかさして重要じゃなかろうに、何故色分けしたし。

 私服にガチドレスを装備している令嬢方も、普通にひざ上10㎝のスカートを履きこなしている。誰か疑問を感じないのか。

 ミニスカもあれだけど、ネクタイも十分あれだよね、世界観に合わない…。蝶ネクタイならまだしも普通のやつなんて見たことないし。

 …個人的にはハイソックスよりニーソックスのが好みかなぁ。絶対領域は正義。異論は認めない。男は学ラン一択だろ、JK。


 さて、入学式の朝である。しかしここは講堂ではなく校舎の外。時間も無いのに私が何をしているのかと言うと。

 ずばり、神からのミッションなのでしょう!

 

 朝起きたら枕元に呪いの手紙。ジェイン君に見つかる前にパパッと確認すると。


『ミッション!ヒロインと遭遇しよう。


 入学式に行く前に、校舎裏の花壇に行こう!

 ひょっとしたらヒロインに会えるかも!?』


 割とふざけた感じのミッションがインしました。

 ひょっとしたらって何。会えるかもって何。わざわざ行って会えない可能性あるってことだよね、これ。出会いくらい確定させとけや、コラ。


 とか思いながらもパパッと着替えてご飯食べてジェイン君撒いて花壇前待機してる私マジ良い子。ちょー神の下僕。

 やることないからアルラウネっぽい少女型植物に「いい天気っすねー」とか「梅雨ないと植物的にキツくないっすか?」とか話しかけてる。すごく、ぼっちです。

 アルラウネたんもギュイギュイ歯ぎしり(?)で返事してくれる。だからぼっち違うしー。ちゃんと友達できたしー。相手人間じゃねぇけど差別はイケナイと思いまーす。つーかこの子マジ可愛いな。愛着湧いてきた。持って帰ろうかしら。急募植木鉢。


 結局私はジェイン君が迎えに来てくれるまでアルラウネたんと友情を深めていた。

 ヒロイン?勿論現れませんでしたとも!ハハッ!

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