02 トランペットsoloがあたらない
さて、大会、と言ったが、この学校はA編成に出ているため、大会で演奏するのは、課題曲、自由曲の2曲。2つ合わせて12分以内。もし、この時間を1秒でも越えてしまえば、その学校はもうそれで失格になってしまう。
西高校では、今年の自由曲にはトランペット、フルートにsoloがある。と、なると。問題はそのsoloをだれが吹くか、ということが問題になってくる。しかも、トランペットのsoloはハイトーンがある。難しいが、失敗してしまえば、、、
今の所は、soloは3年生であり、パートリーダーでもある金田和歌子が吹いている。しかし、実際、彼女はほとんど音が当たっていない。ということで他の3年生やあかりも念の為に練習するよう言われている。
そんな中、顧問から大会曲を6月上旬の市内のイベントでも披露することになったという知らせが入った。
つまり、あとおよそ一ヶ月で部全体の音をある程度まとめ、soloも人に聴かせられるレベルにしなくてはならないということだ。
和歌子は自分がsoloを上手く吹けないことにナーバスになっており、あかりに相談してきた。
「フルートsoloは結構上手くいってるのに私は全然ー」
「きっと、あと1ヶ月もあればできますよ!」
「だって、もし失敗しちゃったらとても目立つし、みんなにも迷惑かかっちゃうし、、」
「今から何言ってるんですか!そんな弱気じゃほんとに失敗しちゃいますよ!」
「だって1月からやってるのにちっともできるようにならないんだもん、」
「で、でも!今は調子が悪いだけかもしれないですし!」
「だったら長すぎるもん!」
和歌子はあまりにも悩んでいて、仲のいいあかりにもどうすることもできなかった。
「ちょっとー。あのトランペットsoloの所いい加減どうにかならないのー。あかりがやったほうがまだましなんじゃないの?」
こうあかりに言ってきたのはサックスパートの長田琴音だった。
「あの先輩、これだけこの曲初めてから時間が経ってるのにちっともできるようになってないじゃない。」
「そんなこと言ったって、和歌子先輩だって必死に練習してるんだもんそんなこと言わないであげてよ!」
「必死に練習してるのにこんなにできないんでしょう?だったらとっとと誰かが代わりにやればいいじゃない。1人のせいで全体が悪く聞こえちゃうのよ。」
「そんな、あまりにも言い過ぎだよ!」
「そんなに言うならしっかりトランペットパート全体で責任とって頂戴ね。くれぐれもこっちに迷惑かけないでね」
あかりはこのsoloに関してどうすればいいのか悩んでしまった。