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01 大勢になった西高吹部

「いや〜やっぱり1年生入ってくると音楽室いっぱいになっちゃうよね〜正直ちょっと狭いかもw」

あかりはそう音楽室のドアの前で祐樹に言った。

「まぁ、大勢入ってくれるのは部活的にはありがたいことなんだからさ。これくらい我慢しようよ」

「だってぇー1年生にもいい楽器使わせてあげたいじゃん?それなのに、、、」


時は5月。ゴールデンウイーク真っ只中である。そろそろ1年生も部活の雰囲気に慣れ始めた頃だ。幸いにも今年は多くの1年生が西高校吹奏楽部に入り、3年生19人、2年生18人、1年生25人の計62人となった。多くなったのはよいのだが、大会に出られるのは55人まで。つまり、7人は大会に出ることができないのだ。また、あかりの言うように楽器も完全に足りているとは言えない状態だ。

大会の話を出したが、今は7月の下旬に行われる大会曲の練習をしている時期である。

そして、今日は1年生が入部して初めて全体での基礎合奏が行われる日だ。

基礎合奏は顧問によって行われる。

ーはい、じゃあまず全員でチューニングのb♭。せーのっ


うわー。ひっどい音程。こりゃこれからが大変だ。

あかりはそう思った。

実はこの高校では10年以上県大会を抜けられていないのだ。いや、いわゆるダメ金さえも取っていない。とはいえ、例年銀賞の上位には位置しているため、がんばれば上に行ける可能性もあるのではと思われている。


その後もロングトーン、リップスラーなどなどと基礎合奏は続いたが、まだまだ改善の余地はある。いや、改善が急務という感じだった。


「んー、ちょっとトランペットパート音色違いすぎるんじゃないかな〜。音程以前にさ〜。」

美香に言われてあかりは

「音色ってどうやったらあって行くのかな?やっぱりチームワークをもっと深めなきゃなのかな?それとも、、、」

「うーん、なんか他の人の音を聞いてないって感じ?」

「あ、、」

美香にはっきりと言われてあかりは少し落ち込み気味になってしまった。

今年、トランペットパートはここ数年で最多の8人になったため、かなり合わせるのに苦労しているのだ。


「やっぱり、トランペットパートもっとがんばらないと他のパートに迷惑だよね、、、」

「んー。でも、ゆっくり確実にやっていけば絶対大会に間に合うよ!」

あかりは祐樹と帰りながらトランペットパートの相談をした。

二人は同じ中学のため家も近くいつも一緒に帰っているのだ。そのせいで部員からは付き合うのではないかと噂され続けているのだ。


これからいよいよ大会曲の合奏が始まる時期だ。

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