部下(バカ)と異世界神(クズ)が大変なことをしでかしやがりました。
読んでくれてありがとうございます!!
いろいろ悩んだ結果、ジャンルを変更させていただきました。(2/14)
俺の名前は月詠。
主神の一人だ。
………………………………影薄いけどな!
何故かと言うと家族が濃いからだ。
母はヤンデレ、父もヤンデレ、姉は仕事中毒、弟はマザコン&シスコン。
これを聞いただけで日ノ本の人々は「もう十分です」、「満腹です」とか言いそうなほど濃い。飽和状態だ。
話は変わるが家族の中で俺が一番の常識人だと自他共に思っている。
だからひじょーに非常に不本意ながら家族のバランサーを務めている。
あの家族は喧嘩だけで下手をしたら日ノ本を消滅させるからな。
俺たちにとってそれは絶対に避けたいことだったからな。
そりゃあ死に物狂いでやったさ。主に俺が。
ここ最近は母さんの軽い怒りくらいで被害は少ない。おかげで最近は仕事が楽だ。
家族内のバランサーを務めていても俺は主神の一人。
主神としての仕事もある。
しかし、今の俺の机には書類がない。
何故なら姉さんが仕事中毒だからだ。
仕事という仕事を全て掻っ攫っていったのだ。
取り返そうとしたら姉さんは涙目で書類を抱きかかえてイヤイヤと首を横に振る。
侍女たちの目線がキツイ。俺は悪くないのに俺が悪くなる。
幾千、幾万の攻防で俺は折れた。書類はやらない。でも社交関連はやる。ということで。
だからバカな弟よ。姉ちゃんに仕事押し付けんな!、働け!ニート!!な目で俺を見ないでくれ。そしてお前こそ真っ当に働け!…いや、やっぱいいです。お前が働いたらゼロを通り越してマイナスに突入する。
あぁ、仕事したいな。あまりに暇だから相談事受けたり日ノ本の観察とかしてるけど仕事した感がない。
仕事の仕方を忘れそうで怖いから切実に。
仕事したい病と戦いながら過ごしていたある日、母さんと姉さんがキレた。
久しぶりのマジギレだった。
俺は母さんたちをマジギレさせた相手に何バカなことやってんだよゴラァ!と思いながら合掌しといた。
そして日ノ本に被害が及ばないように奔走した。
後日、このことは無慈悲なる行進と呼ばれた。この件で大勢の最下級神、下級神が処分された。
別になんとも思わない。
日ノ本は八百万の神の国と呼ばれていることから沢山の神がいる。
実際、ほんの些細なことで沢山の神が生まれる。
沢山の神が生まれ、居なくなる。よくあることだ。
人によって消されるか、上司によって消されるか、ただそれだけの違いだけだ。
母さんたちはすでに異世界に行ってしまった人たちを戻すのは諦めたようだ。
でも魂になった時、日本か異世界どっちに行くか選択肢を与えたいらしい。
姉さんは今日、異世界神と話し合いに行く。
母さんは凄く行きたがっていたけど留守番だ。母さんが居なくなったら黄泉が凄いことになるし、彼方が耐えられるか分からないからだ(俺的には多分、アウト)。
そして俺は姉さんが話し合いから帰って来るまで仕事をすることになった。
久々のちゃんとした仕事が嬉しくてドンドン片付く。姉さんほどじゃないけどね。
「あ、天照様のご帰還です!!」
姉さんについていた侍女が先行して帰ってきたことを知らせに来た。
心なしか顔が青ざめているように見えて俺は一瞬、イヤな予感がした。
「おかえりなさい。姉s…………」
止まった。
何故なら姉さんが笑顔だったから。背後に般若が見えるような笑顔だったから。
アレはマジで本気でガチで怒っている時の顔だったから。
最悪の事態を回避をしようと腰を浮き上がらせる。
「月詠、私暫らく書斎に籠ります」
姉さんはそう宣言するやいなや机の上に床に置かれた書類を全て持って行った。
間に合わなかった。
「ま、待って!!姉さん!机の上に置いといたやつだけは持って行かないで!!」
俺の静止は届かず、姉さんは書斎に籠った。
これは姉さんの悪い癖。
姉さんはガチギレや限界が来た時、書斎に引きこもる。書類を全て持って。
引きこもると大抵長いから期限が一ヶ月、二ヶ月近くのものを引っこ抜いておかないと大変なことになる。
もしもの時のための保険として分けて置いたけどそれを保護する暇もなかった。
取り敢えず、中には一週間以内のものがあったはず……なんとしてもそれだけは取り返さないと…………
『勇者召喚契約…………?あの元神、何変なもの結んでんのよ──────!!!バカなの?アホなの?なんで…なんでこんな重大なこと…最下神単独でやってんのよ!?
……………………もういいわ…………あの異世界神とバカたち殴り倒す。コロス。』
姉さんの怒りの叫び声を聞いた俺はガタガタと震えた。
書類を取り戻すのを諦めた。
書類より自分の命の方が大切だ。
あの後、姉さんの叫びを聞きつけた須佐男がやって来て大変だった。
姉さんが閉じ籠った原因、俺じゃないよ。寧ろ家族内で閉じ籠る原因になるのは弟よ、お前しか居ない。
時間はかかったが何とか追い返せた。
精神HPはガリガリ削られたが休んでいる暇はない。問題が起こったら即把握、即決断、即解決が望ましいからな。
「ゴメンちょっと大至急、天鈿女さん呼んできてくれる?」
頼れる助手、天鈿女さんが来るまでお茶を入れてHPの回復に務める。
侍女たちは姉さんが持っていった書類の把握に忙しそうだ。
ん?あの侍女は…………あっちの仕事の能率悪くしそうだけどこっちの方が最優先みたいなものだからいっか。
「ねぇキミ、姉さんと一緒に行ってた人だよね?ちょっとこっちきてくれる?」
近くに来たのを見計らって捕まえておく。
丁度、天鈿女さんが来たので一緒に座らせお茶を入れる。
「天鈿女さん、姉さんが閉じ籠りました。全ての書類を持って。」
「うん。見ればわかる。何で死守しなかったの?」
「それは…………死守する暇もなく取られたのと、命が惜しいと思うくらい姉さんが怒ってたからです」
「そう…………そんなに怒ってたんだ。えーと、説明よろしく」
天鈿女さんのふりにより、戸惑いながらも侍女は説明を始めた。
───────────────それはお二人の予想しているとおり、会談の時でした。
「お初目にかかります。私、日ノ本が主神の一人、天照大御神です。本日はお時間いただきありがとうございます」
天照様は何時もの礼儀正しさで接しておりました。
「僕は偉大なる神!ナルシクスだ!時間をとってやった僕の偉大さに感謝するのだな!!アマテラス!!」
私達はあまりの無礼に固まってしまいました。
天照様とナルシクスは同じ最高神の立場。なのに奴は天照様を下の者のように扱ったのです。
それだけではありません。普通、相手が訪問した時、キチンと対応するのが出迎える側の礼儀であるはずが奴は女とイチャイチャしていたのです。
話を始めてもイチャイチャするのをやめず、会談の約半分はそれに消費されました。
そして最悪なことに
「え?異世界召喚と異世界転生はもうしない?それは困るなー。大体、キミたちがお願いした立場なのに勝手にやめるだなんてマナーがなってないなー」
「はぁ?死亡時、僕の世界かキミの世界どっちか選ぶ権利を与える?バカじゃないの?田舎の世界に行くわけないじゃない。聞く必要なんてないね」
懇切丁寧に説明しても奴は聞く耳持たずで逆に天照様の火に油を注ぐ言動をしました。
それでも天照様は悪いのはこちらだと思い、我慢してくださいました。
「あーでも〜キミが僕と愉しいこと、してくれるって言うなら考えてあげてもいいかな〜?」
それが決定打でした。
本来なら最高神同士で結ぶ契約を位の低い神たちと結ぶのは許されない行為です。
すぐに破棄するべきものを奴は天照様の処女を奪うことで考えてやってもいいと卑猥な目をチラチラ向けながら言ったのです。
奴は女を侍らせているのにも関わらず言ったのです。言外で天照様を玩具にすると言ったのです。
今まで私達は耐えていましたがもうムリでした。
血管が切れる音が聞こえるほどムリでした。
「私をここまで怒らせる者は初めてです。
無駄でしょうが一応言っておきます。貴方は神の法を破りました。例え若気の至りでも許されない行為です。死ぬ覚悟を持っておいた方が宜しいかと」
天照様と私達は優雅に礼をし、去りました。
コンマ一秒でもあのクズと一緒の空気を吸いたくなかったので
「な!?この僕を侮辱するつもりか!!?おい、このアマを捕らえろ!!僕を侮辱したこと後悔させてやる!!」
ギャーギャー喚いていたようですが私達はさっさと帰りました。
───────────────以上がブチ切れた経緯です。
侍女の説明に俺は思わずあのクズのところに乗り込んで惨殺するとこだった。
天鈿女さんも御怒りだ。
日ノ本の神々は父さん達の影響か二心を許さない。そんなもの追放に値する。
それを堂々と要求するとはよほど殺されたいようだ。
取り敢えず、殺したい衝動は抑えて神に属する者の再教育が必要なようだ。
今回、追放された奴等から聞いたのとあのクズの話から騙される方が悪いらしいからね。あんな怪しい話にホイホイ乗っからないようにしないと…………
「月詠様、再教育は任せます。私はクズのこと、洗ってきます」
この時ほど女性を敵に回してはいかないと思ったし、頼もしいとも思った。
それからは父さんと母さん、それから古株の人たちに協力してもらって新人達を再教育した。
天鈿女さんはニッコニッコで旦那である猿田彦さんとクズに関して調べまくっていた。
姉さんは過去最速で書斎から出てきた。
有言実行で直様、日ノ本に降りてバカ達を全力で殴りに行った。
そのあと、天鈿女さんたちがまとめた書類を読みんでいた。
再教育がある程度落ち着いて通常業務に戻りつつある時、姉さんが俺の元にやって来た。
「ねぇ月詠、私、異世界神をブン殴ろうと思うの」
姉さんの怒りは最もだから俺は別に反対しなかった。
外交問題になろうと俺たちが勝つと分かってたし
「でも、その前に異世界を立て直そうと思うの」
姉さんの爆弾投下に俺は天を仰いだ。
姉さんはとことんお人好しだ。
「あ、大丈夫心配しないで月詠。創竜様にはちゃんとご報告もしたし、お母様たちもちゃんと説得したから」
そうじゃないよ、姉さん…………
部下たちと異世界神、何て大変なことをやらかしやがったんだ…………
話はまだまだ続きます。
紹介:創竜
世界の生みの親=神様の上司
神の中で一番偉い人。
面白いことが大好きで今回の天照の提案を笑って許可した。