琴美 〜からふるらいふ編〜
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( ;´Д`)楽しめたら幸いです。
私がパン派からごはん派にかわり、一週間たった頃だ。(ごはん派になった原因は第一作目、悪魔のクロワッサン編にあります。良かったらそっちもよろしくです)
私は琴美の家に呼ばれた。琴美はちょっと普通の子とは違う。電波ちゃんな私の友達だ。
今日は学校は休み、私は普段なら10時まで寝るのだが、琴美との約束があるので、7時に起きた。学校ある日と一緒じゃんか。
何故、こんな朝早いのかというと、昨日学校で、琴美が突然「朝食を共にしようぞ、れっつ、からふるらいふ!」と言ってきたのだ。
後半のからふるらいふは、まったくもって意味不明だが、ようするに一緒に朝食を食べたいらしい。
さすが電波ちゃんだ。休みなら朝食遅くてもいいのに、わざわざ朝7時半に家にこいとは
私の家から琴美の家まで約二十分。
急いで準備をして、なんとか間に合った。琴美の家のインターホンを押した。
瞬間、ドアが開き琴美が姿を現した。寝癖がくるくるなっている。服はパジャマのままだ。
「ふふふ、びっくりしたか!ずっと玄関で待っていたのだよ!あかりを驚かすためにねっ!」
いま起きたわけじゃないなら、寝癖なおして着替えてろよと思った。だがまぁ、かわいいからゆるしてやろう。
「それで?朝食はどうすんの?一緒に作るの?」
琴美は敬礼しながら言った。
「なに言っておりますか!作っておりますよ!」
「おっ、まじか!ちょう意外だよ」私は驚いた。絶対私が作るハメになると思っていたからだ。
「何を言っておられるのですか!作っていましたよ!一週間前から!」
「えっ、一週間?!」
「うん。一週間ね!大変だったよ!」
おかしいよね。朝食を一週間前から作る人はいないよ。嫌な予感しかしないよ。
「ささっ、あかり殿。こちらへ」
そう言って琴美は、わたしをリビングへ案内した。
四人がけのテーブルに座らされた。普段はここで琴美の家族が、食事をするのだろうか。
「それでは、特製フルコースをご堪能あれー」
「フルコース⁉朝食に⁈」
「えぇ、すごいでしょう。しかも和食のフルコースです。良かったですねえ。こんな、幸運な事なかなかないですよ」
「心配だ、それだけだよ」
今日が私の命日になるかもしれない。どんな変なものを入れられているのか。一品目から地球外生命体の煮付けとか出てきたらどうしよう。
「ささっ、まずわこの薬をお飲みください」
そういうと琴美は目の前にカプセルをふたつぶと水を置いた。
まさか、これは予想外だった。
フルコースでいきなり薬がでてくるなんて。
もう怪しさ100%だよ。
「琴美?このカプセルはなに?」
「大丈夫だから」
「いや、そうじゃなくて。このカプセルはどんな、意味があるの?」
「飲んだらわかるよ」
あやしすぎる。
急に口数が少なくなりすぎだ。
私は決めた。
絶対に飲まないと。
「琴美!私は飲まないわ!さぁ!朝食を出しなさい!」
私は琴美を見つめた。目で訴えた。
琴美はしぶしぶ頷いた。
「わかったあ。ちぇ!おもしろくないー!」
と言いながら、普通に茶碗にご飯をつぎだした。
やっぱりフルコースなんてうそだったのね。
あのカプセルを飲ませて、なんかする気だったんだ。
琴美はテーブルにご飯と、生卵を置いた。
「えっ!これだけなの⁈」
「うん。そうだよ。ありがたく思いな」
急に琴美は冷たくなった。私は悲しくなり、おとなしくご飯をたべた。
炊きたてだったのでホカホカだった。美味しい。
卵を割り、ご飯にかけて食べた。
うん。美味しいなぁ。
琴美は私の向かいに座っていた。顔は笑っている。
さっきまであんなに冷たかったのに。
「ほら、たんとお食べ」
「う、うん」私は直感した。
なにかやられたな、と。
とりあえず琴美に注意しつつ、卵かけご飯を食べようとした。
しかしなにかおかしい。
「ご飯が、赤い⁈」
真っ赤だった。それはもう鮮やかな。米一粒一粒が猛々しく、荒ぶっているようだった。米は怒っているのか?そんな訳ないか。
そしたらなぜ、ご飯が赤いのか。私は考えた。まさか気づかない内に、鼻血を垂らしていたのか⁈
すぐさま鼻をぬぐった。しかし鼻血はでていない。
そうなると答えはただ一つ。
私は琴美に言った。
「貴様、はかったな‼」
琴美は立ち上がった。
「騙されたな!すでにご飯に薬をもっていたのだ!」
ちくしょうちくしょう。やられた。
しかしなんの薬なんだ。ご飯が赤く見える薬?違うか。無意味すぎる。いや、相手はあの琴美だぞ?まさか・・!
琴美は私の横に立っていた。そして私の肩に手を置き言った。
「れっつ、からふるらいふ」
すごいニヤニヤしている。
「琴美、これは一体?」
「この薬はね、白いものが色付いて見える薬なの。いろんな色に」
「なぜ、それを私に?」
「面白いから」
「早く戻しなさい!真っ赤なご飯なんて食べたくないわ!」
「今日一日はそれよ。どんまい。まぁ、いいじゃないの。フルコース続きだすわよ」
そう言って琴美がだしてきたのは、真っ青な豆腐だった。露骨な嫌がらせだ。
味は普通だった。だけど食欲がわかない。むしろ気分がわるくなってきた。
くやしい。なにか仕返しを考えた。
駄目だ。私じゃなにも思いつかない。
その後私はフルコースを拒み、琴美の部屋でゲームをしたりして遊んだ。
でも時間が経つとお腹は減ってしまう。
「琴美、お願い。美味しいお米が食べたい。真っ白なお米が」
「あら、ギブアップなの?情けないわね。ほら、この薬を飲みなさい。すぐ治るわ」
やっぱり治す薬あったのか。なにが一日待てだ。覚えてなさい。
私は琴美に差し出された薬を飲んだ。
すると、今まで白いものがカラフルに見えていたのが変わった。
元の色が白いとか関係なく、全部がカラフルに見えた。
琴美の顔も紫色だ。ものすごいニヤニヤしている。
そして、琴美は言った。
「れっつからふるらいふ、ぱーととぅー」
それから一週間。からふるらいふは続いた。