Ⅲ─獅子の落胤─
3話目です。
新キャラ2人投入しました。
楽しんでいただけると嬉しいです。
ジリリリ……。
いつもと同じ目覚まし時計の音で目が覚めた。
そう、本当にいつも通りの朝になるはずだった。
「これ、どうやって止めるんでしょうか……?」
「起きて」
枕元から、2つの声がした。
穣が寝ぼけ眼でそちらを見ると、そこには2人の少女がいた。
片方は満面の無表情。
カーテンの隙間から漏れる朝日が、彼女の金髪に鈍い輝きを持たせている。
もう片方は、優しげな印象の少女。
困ったような表情で目覚まし時計と格闘していた。
「……えっと、誰?」
2人が用意してくれていた朝食を食べながら、3人は話をしていた。
「私はおひつじ座のアリエスと申します。お気軽にリエとお呼び下さい」
1人はそう言って、優しげな微笑みを浮かべた。
「我はアンドロメダ座。アンでいい」
もう1人は相変わらずの無表情で一礼した。
「アリスから話は聞いた。今回我とリエはアリスの使いとしてここに来た。星座の化身にとって、身体の欠損は命に関わる。早急に解決したい」
「では、事件の詳細を説明します。かんむり座には、7つの宝玉が祀られています。今回盗まれたのは、第2の宝玉"蒼"……水を操る宝玉です。現場に残されていた証拠はほとんどありませんでしたが、唯一ヒントになりそうなものは……現場周辺に浮かんでいた水滴です」
「ここから、水に関する星座の化身であると予想される」
穣は話を聞いて、納得した。
「なるほどな……これで少しは条件が絞られたわけだ」
穣は最後の一口を食べきり、手を合わせてから立ち上がった。
「穣さん、どちらに?」
「学校。遅刻したくないから」
彼は鞄を肩にかけ、玄関に向かった。
穣は学校に向かいながら考えていた。
盗まれた水を操る宝玉。
犯人は同じく水を操る者。
動機はおそらく力の強化だろう。
犯人は星座の化身だった。
うお座やみずがめ座などが当てはまるだろう。
「って……こんなことを真面目に考えてる俺って……」
苦笑しながら、しかし何かが頭の隅に引っ掛かっていた。
「今回の事件、何か引っ掛かるんですよね……」
リエが呟くと、銀色の球体が飛んできた。
アリスが通信に使う宝玉だ。
「やっぱり?……何かがおかしいわ」
アリスの声に、アンが口を開いた。
「……アリス、ずっと気になっていたのだけれど」
「何?」
「何で、穣に依頼した?」
アリスの声が消える。
反応していないのは、思考の途中だからだろうか。
アンの疑問は止まらない。
「穣がしし座の子供だから?でも、彼が地球にいる理由……分かってるはず。彼は正式な子ではない。故に力をほとんど受け継いでいない。なぜなら彼は……」
言い淀むこともなく、アンは言った。
「獅子の……しし座の落胤だから」
いかがでしたか?
私は個人的にアンが好きです(笑)
無表情キャラ大好きです。
では、4話目でまたお会いしましょう。