表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/6

Ⅱ─交錯する過去─

2話目です。

どれだけ続くか分かりませんが、頑張ってみようと思います。

では、どうぞm(._.)m

「ただいま」

穣は自宅の玄関で、呟くように言った。

「お邪魔しまーす」

律儀に言う乳白色の球体を、彼はチラッと一瞥した。

階段を上る途中、アリスの声は不思議そうに尋ねた。

「人間の世界の家は窮屈ね。まるで箱か何かの中みたい」

一体何者なんだろう、と穣は思う。

人間ではなさそうだが、そんなことを簡単に信じるほど穣は純粋ではなかった。


部屋に着くと、早速穣は問いかけた。

「一から説明してくれ」

白い球体は部屋の中央で静止し、アリスの声は語り始めた。

「私の本名はコローナ・ボレアリス。かんむり座よ」

「ちょっと待て。かんむり座?」

「ええ。88星座の1つよ。知らないの?」

「知ってるけど……信じるわけ……」

「信じてもらおうなんて思ってないわよ。とりあえず話を聞いてほしいの。で……かんむり座には7つの宝石があるの。それぞれの星に1つずつ、宝石が祀られていたわ。でも……ある日、そのうちの1つが盗まれたのよ!」

憎々しげに言い放ったアリスの声に、穣も信じざるを得なくなった。

彼はため息を吐いて、苦笑した。

「つまり……犯人を見つけて宝石を取り返せ、と?」

「ええ。もちろん私も協力するわ。お願い……できるかしら?」

穣は決意の表情で言った。

「……分かった。協力する」

「本当!?」

声だけでも表情が想像できるほど明るい声音で、彼女は叫んだ。

「あ、あぁ……でも何で俺なんだ?」

「……貴方のお父様……彼小見優様、よね?」

思わぬ切り返しに、穣は狼狽える。

「父さん?」

「貴方のお父様は……しし座だったのよ。不死身という力を持った、とても強いお方だったわ……」

アリスの声はしみじみと語った。

穣は歯を食いしばった。

そして口を開き、噛みしめるように言った。

「父さんは……3年前に、死んだよ。家族皆で買い物に行ったとき、事故に遭って。不死身なんかじゃ……なかった」

俯く。

アリスはそれを察したらしく、勢いを失った。

「ごめんなさい……でも、それが貴方を選んだ理由よ」

半分宥めるような口調で、彼女は言った。

でもその声に、意志の揺らぎはなかった。

「わがままだって分かってるわ。でも私のすべきことだから」

淀んだ空気を消すように、アリスの声は笑った。

「明日ここに私の友達を使わせるわ。詳細はそのときに」

それだけ言って、彼女の声は消えた。

同時に、空中に浮かんでいた球体が床に着地した。

その音がひどく重く感じたのは、フローリングの床のせいなのだろうか。

それとも……彼の心境そのものなのだろうか。


お楽しみいただけましたでしょうか?

次回は新キャラ登場です。

では、3話目でお会いしましょう。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ