実は俺、人間じゃないんだ
朝起きて、いつも通り身支度をして学校に行く。退屈な授業は聞き流して、休み時間は馬鹿みたいに騒いで、放課後もゲーセンに行ったりカラオケに行ったり……
そんな繰り返しの毎日。
満足とまではいかなくともそれなりに充実した日々、そんな日常に終止符を打ったのは──────
「実は俺、人間じゃないんだ」
「……は?」
話しは一時間前にさかのぼる……
少年が寝る前の日課の読書に飽きてきた頃、部屋に携帯の着信音が鳴り響いた。
幼なじみの千景が勝手に設定した、本人曰わく“キメ顔”がディスプレイいっぱいに表示されていた。
『…もしもし蒼、今大丈夫ならゼロダの伝説でさ、ボス倒せないから今から俺ん家来てくれね?』
『いやいや、いきなり何かと思えばお前今何時だと思ってんだよ……』
『えっと、夜中の2時だな。まあ来いって、すぐそこじゃん』
『……まあ明日休みだしな、仕方ないから行ってやるよ』
読んでいた本を片付けつつ普段気に入って使っているバックに適当に周りの荷物を積め、目と鼻の先にある千景の家へ向かうのであった。
「ここ俺も倒すの苦労したわー…」
テレビ画面には以前蒼も倒すのにてこずっていたボスが映っている。
「いや途中まで戦ってたんだけどさ、もう飽き……挫折しちゃって。で、電話した」
部屋には2人を囲むようにしてスナック菓子の袋が散乱している。蒼はその内の一つに手を伸ばす。
「ポテチポテ…ん?」
「ああそれ、新発売のポテトチップスカシュだよ」